2022年役員報酬・賞与等の最新実態

社長の年収は5039万円。社長に対する株式報酬の導入割合は53.1%

「役員報酬・賞与等の最新実態」は、毎年定例で同時期に実施しており、2023年調査を『労政時報』第4069号(23.12.22)で掲載しました。2023年調査について、調査結果の主なポイントはこちらで紹介しています。

当研究所では、調査資料が少ない役員の年間報酬(報酬月額・年間賞与)その他処遇に関する調査を1986年以降継続して行っています。今回は、例年調べている①常勤役員の報酬・賞与、②企業統治組織形態の採用状況、③社外取締役・社外監査役の設置状況および報酬・賞与に加え、④社長に対する賞与・株式報酬の導入状況について調査しました。以下では、『労政時報』第4048号(22.12.23)で掲載した調査結果の主なポイントをご紹介します。

■主な調査項目に見るポイント

社長の年間報酬:平均5039万円。5000万円以上は36.0%。規模別に見ると、1000人以上7502万円、300~999人4619万円、300人未満3501万円
他の役位の年間報酬額:規模計で会長4641万円、副社長4179万円、専務3055万円、常務2307万円、取締役(兼務は除く)2009万円
現在の企業統治組織形態:「監査役会設置会社」が64.1%で最多。「監査等委員会設置会社」は29.7%
社外取締役の設置状況と年間報酬:回答企業の98.4%が社外取締役を設置。年間報酬の平均額は717万円
社長に対する賞与・株式報酬の導入状況:単年の業績により金銭で支給する賞与を設けている割合は52.3%。株式報酬を設けている割合は53.1%。実施している株式報酬の類型では「譲渡制限付株式」が50.0%で最多

■役位別に見た年間報酬の平均額

 役位別に年間報酬(規模計平均)を見ると[図表]、会長4641万円、社長5039万円、副社長4179万円と4000万円超の水準。専務は3055万円と3000万円台。次いで、常務は2307万円、取締役(兼務は除く)は2009万円と2000万円台。以下、従業員兼務取締役1665万円、常勤監査役1391万円となっている。また、監査等委員会設置会社の企業で、監査等委員を務める常勤取締役の年間報酬は1488万円である。
 参考まで、調査対象や集計(回答)企業が異なることを前提に、当研究所で実施した「2022年度モデル賃金・年収調査」(第4045号-22.11.11)による従業員の年収と、今回調査による社長の年間報酬を比較してみると。大学卒・総合職25歳の従業員のモデル年収(2022年度の年間定期給与+21年年末賞与+22年夏季賞与)は389万円であり、社長の年間報酬(5039万円)はこの年収の約13.0倍に当たる。

[図表]役位別に見た報酬と賞与(常勤の場合)

[注]1.年間報酬は報酬月額を12倍したものに年間賞与を加えて算出した。賞与が不支給の場合も「0」として集計に含まれている。

2.「会長」「社長」を兼務する場合は「社長」のほうで集計した。従業員兼務取締役の水準は、「役員分」と「従業員分」に分けて回答いただいた企業も両者の合計額で集計した。

3.( )内は構成比(%)。報酬月額欄で示した構成比は報酬月額を12倍したもので算出した。

【調査要領】

1.調査時期:2022年7月15日~9月13日

2.調査対象:全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3768社と、上場企業に匹敵する非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上。一部「資本金5億円以上または従業員500人以上」を含む)89社の合計3857社。ただし、持ち株会社の場合は主要子会社を対象としたところもある。

3.集計対象:上記調査対象のうち、回答のあった128社。規模別の内訳は、1000人以上36社、300~999人45社、300人未満47社。



『労政時報』第4048号(2022.12.23)の特集記事

1.2022年役員報酬・賞与等の最新実態(労務行政研究所)

2.人事制度事例シリーズ:積水ハウス

3.労務関係の社内調査実施マニュアル

4.受け入れ企業で機能する「副業人材マネジメント」を考える

5.メンタルヘルス判例研究シリーズ:産業医、弁護士から見た判断のポイントと対応の留意点(第34回)

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