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Point of view [2021.08.27]

第187回 ぼのこ

最強のチームとは最強の「個」によって作られる

ぼのこ
クリエイター

アパレルショップで約7年勤務し、店長職を経験。その後フリーランスのクリエイターとしてSNSや大手Webメディア等で漫画を執筆中。『ひとりひとりの「個」を生かし、自他ともに尊重しあえる社会の形成』をビジョンに、「働き方や生き方」をテーマにした『ぼのこと女社会』シリーズが人気を呼び、読者は月間10万人に上る。ブログの総アクセス数は月間100万PV以上。著書に『女社会の歩き方』(KADOKAWA出版)

 当時、私は百貨店を中心に全国展開するアパレルブランドの店長として、売り上げに対する責任を背負いつつ、チームのメンバーたちとどう向き合っていけばよいかについて常に試行錯誤をしていた。今回はそのときの経験を踏まえ、より高いパフォーマンスを発揮するアウトスタンディングなチームの形成について考えてみたい。
 チーム全体の能力とは、リーダーの視座の高さ次第で大きく変化する。ぜひ、これまでとは異なる位置からチーム全体を見渡してみよう、そこにある無数の可能性に気が付くはずだ。

「個」の多様性を尊重することの大切さ

 人は誰もが必ず、自分だけの特別な才能や能力(個性や特性)を持っている。既に自身の持つ才能を理解し、仕事の中で上手くそれを活用している者もいれば、そうでない者もいる。むしろ、自身の才能に気が付かず「タネ」の状態のまま内に秘めている者のほうが実は少なくないのだ。
 リーダーはまず、個人ひとりひとりがどのような才能を持っているかについて理解する必要がある。そして、それを開花させるためには「どのような手伝いをすればよいか」について考えてみるとよいだろう。

 相手の才能を引き出すためには、気付きの「きっかけ」となる声掛けをすることが大切だ。例えば、「○○さんの~な行動が、チームにこのような貢献をもたらした。」というように、具体的に相手のどのアクションがどの成果に結びついたのかを示唆するとよいだろう。このようにどのような業務にもきちんと意義付けをすることで、部下は自身の業務に対し責任感と誇りを持つようになるのだ。

「苦手」ではなく相手の「得意」に着目する

 それぞれに「個性がある」ということは、言い換えれば、人にはそれぞれ「苦手と得意」を持っているということでもある。さて、ここで大切なのはリーダーがこの「苦手と得意」のどちらにフォーカスをしているかどうかだ。
 「苦手」を克服することは本人にとっても、リーダー自身にとっても、非常にエネルギーを使うことである。そして皮肉なことに「苦手」は克服することまではできても、その能力が卓越する可能性は極めて低いのである。

 では反対に、「得意」を伸ばすことに着目してみるとどうだろうか。もともとその者が「得意」と感じていることであれば、「苦手」を克服するよりも、はるかに少ない労力とリソースでそれを伸ばすことが可能である。それどころか、リーダーが個人ひとりひとりの「得意」(以下、「強み」と表記)に焦点を当てることにより、チーム内の個人ひとりひとりが自身の存在価値に気が付くことが可能になるだろう。
 そして異なる「強み」が互いにぶつかりあったとき、そこに大きなシナジー効果が生まれる。つまり、最強のチームとは最強の「個」の集まりによって成るのである。

ひとりひとりが自身の「強み」を生かせる環境づくりを

 自身の持つ「強み」を発見したところで、それを存分に発揮できる環境が整っていなければ意味がない。個々の持つ「強み」にフォーカスしたリーダーが次にすべきことは、それが十分に生かせる環境を整えることだ。
 また、人にはそれぞれ「個性」があるように、その者の持つキャパシティ(一度に抱えられる業務量)や力量もさまざまであるということを決して忘れてはならない。

 まずは与えすぎず、「少し頑張ればできるかな」くらいの量で様子を見ること。そして徐々にその器の大きさを広げていくという意識を持つことが大切だ。また反対に、個人の持つ器に対して業務を与えなさすぎることも問題である。与える業務が適量でないと「本当はもっとできるのに…!」「自分は上司から期待されていないのでは?」と、かえって部下の意欲を削ぎかねない。
 さらに、同じ業務量でも「Aさんにとっては軽い仕事、Bさんにとっては大変な仕事」というように、その者によって業務に対する捉え方の差があるということを理解しておくことも大切だ。
 このようにリーダーが常に個々の力量とキャパシティに気を配りながら、ひとりひとりに適した量の仕事が回るようコントロールしていくことで、それぞれが自身の「強み」を存分に発揮できる環境が整うのである。

主体的で自律した人材育成

「与えられた業務を自身の力でこなすことができた!」
 このような小さな成功体験を積み重ねは、部下の自信を育む上で必要不可欠だ。
 ただし、ここで注意しなければならないのは、ただ「達成するだけ」では部下の自信は育たないということである。

 自信や達成感とは、第三者(リーダー)からのフィードバックがあって初めて構築されるものなのだ。このように、こまめなフィードバックを繰り返すことによって、部下は徐々に自身の能力に自信を感じ、最終的に主体的で自律した人材へと成長していくのである。

「企業」と「個」のベクトルを合わせる重要性

 しかしその一方で、「過度な自信」はチームの調和を乱しかねない。
 主体性を持って行動することはよいことだが、「自身の価値観だけで行動してしまってはいないか」「企業のゴールとは全く別の方向へ向かって突き進んでしまってはいないか」と、ときにリーダーは部下の軌道修正を行う必要がある。
 「なぜ、われわれは今このゴールに向かっているのか」をしっかり部下に伝え、納得してもらうことが重要だ。「あなたの"強み"をどのように活かせば、より効率的に企業のミッションを達成することができるだろう?」そう問い掛けてみるのもよいだろう。
 もちろん、そのためにはリーダー自身が企業の理念やゴール(ミッションやビジョン)についてしっかりと理解し、明確な説明ができるようにしておくことが大事である。
 「個」の強みを生かした環境づくりは、結果として、企業の持続的な成長や発展を可能にするのだ。「企業」と「個」の力を掛け合わせることで起きる「化学反応」こそ、これからの時代に必要な新たな価値創造へとつながっていくだろう。

 最後になってしまったが、これを読んだ人事の方へ、当時店長であった私から伝えたいことがある。それは、リーダーが個人を育てるように、リーダーは人事によって育てられるということだ。だからこそ、目先の数字や成績のみでリーダーの力量を測るのではなく、企業の理念やゴールについて共感し「ともに組織をつくり上げていくんだ」という真摯さや誠実さを持ったリーダーの育成に励んでほしい。人事の力によってリーダーひとりひとりの人格が陶冶(とうや)されていくんだという意識で、各リーダーたちと向き合っていってほしい。

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