jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2021.03.09]

[201]『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』

(小室淑恵 天野 妙 著 PHP研究所 2020年9月)

 

 男性の育休取得率は、まだ7%台と横ばいを続けています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。少子化対策としても期待されている男性育休が普及しないのはなぜか、「男性育休義務化」が注目される背景は何なのか――本書は、自民党有志議員による「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」の民間アドバイザーである著者2人が、データや具体的事例を基に詳説したものです。

 第1章では、男性育休にまつわる誤解について解説しています。育休期間中は収入がなくなる、共働きでないと取得できない、男性育休の制度がある大企業でないと取れない――こうしたことがいずれも誤解であることは、人事パーソンであれば常識かと思いますが、意外と経営幹部や一般社員には、そうした誤った思い込みが一部あるかもしれないと思いました。

 第2章では、男性育休の現状をデータから分析してその課題を探るとともに、結婚・出産・子育てをしたがらない若者が多くなっているのはなぜか、その背景を探っています。調査では、新入社員男性の8割、男性中堅社員の9割が育休取得を希望するものの、育休を取得しづらい「職場の雰囲気」が大きな壁になっていることが判明したとしています。

 第3章では、男性育休を企業が推進することは、人材不足解決の切り札になるとしています。男性育休の取得率を100%にすることで、残業ゼロで、採用もうまくいった中小企業の例を取り上げ、さらに、男性就活生に人気の企業は、男性育休の取得率が高いといったデータを紹介しています。
 そして、男性育休がもたらす変化として、①時間当たりの生産性の向上、②エンゲージメントとロイヤリティの向上、③周囲の社員や部下の成長機会になる、④上司のマネジメント力の向上、を挙げています。

 第4章では、男性育休を「義務化」することを提唱しています。少子化対策としての企業啓発だけでは限界があり、対策を加速させるためには、義務化が必要であるとしています。平成は"女性活躍時代"の時代だったが、それは「女性のスーパーウーマン化」によって支えられたものであり、令和は、"男性の家庭活躍の時代"にしなければならないとも述べています。

 第5章では、具体的にどのようにして男性育休を「義務化」するかについて、企業の周知行動の報告義務化や、取得率に応じたペナルティやインセンティブの整備など、七つの提言をしています。

 男性育休について知るためのテキスト的要素もありますが、それ以上に、男性育休の「義務化」を提唱している本でした。企業の人事部には、男性が育休を取った前例が少なく、育休を取る人も出ないので、「いっそ、全員が取得することを義務付けてくれたらいいのに」という声も多いとのことです。先進諸国でも、取得が義務付けられていたり、インセンティブが用意されていたりした上での、高い取得率となっていることがうかがえます。

 コロナ禍によるテレワークの浸透などで、企業における生産性についても見直される機会の多い昨今です。効率性の概念が弱く、社員に果てしなく残業をさせるような職場は「問題」とされ、これから企業には、生産性高く効率的に働き、早く帰って家族に会いたいと思う社員自身の「欲求」を満たすことが求められるのでしょう。一般向けの新書ですが、男性の育休取得促進は、企業にとって経営戦略として位置付けられるとの思いを抱かされました。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2020年11月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒)
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに)
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格

1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー

労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!

労務行政eラーニング 詳しくはこちら

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品