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Point of view [2020.04.10]

第154回 中澤 信

バリアフリーな働き方を後押しする在宅ワーク
~新型コロナウイルス感染症が広がる中で考えること~

中澤 信 なかざわ まこと
株式会社バリアフリーカンパニー 代表取締役社長
ファシリティジャポン株式会社 顧問

1961年、東京都出身。久保田鉄工株式会社(現 株式会社クボタ)で経理、法務、人事部門などに従事する。2002年、株式会社バリアフリーカンパニーを設立。ナショナルクライアントを含む民間企業や地方自治体、行政機関などを対象に、バリアフリー、ユニバーサルデザインを広めるためのさまざまなコンサルティングを行っている。世界でも数百例しかいないといわれる希少難病のベスレムミオパチー(筋肉疾患)を生まれながらにして患い、現在も加療中。IPS細胞の研究対象にもなったが、いまだに有効な治療法は見つかっていない。

バリアフリーな働き方を広げる在宅ワークのメリット

 今の日本では、国連の「障害者権利条約」の批准、「障害者差別解消法」施行を経て、障害のある方の権利を守るための取り組みが進むようになってきています。
 障害のある方の生活、雇用については「合理的配慮」が求められ、「社会的モデル」としての「バリアー(障害)」をなくしていくという世界の趨勢(すうせい)に向けて日本もようやく追いついていこうとしているところです。
 現在、「新型コロナウイルス感染症」渦に巻き込まれている日本で、今後「何に」「どのように取り組んでいけばよいか」が一つの大きな課題になっています。そこで今、「自粛」ムーブメントの中で、「障害のある方と在宅ワーク」について考えてみたいと思います。現在弊社で、「障害者差別解消法」「ダイバーシティ・インクルージョン」に関するコンサルティングを進めているさまざまな会社でも、ご多分に漏れず「リモートワーク」に移行しています。私も事務所にこもり、「ZOOM」や「スカイプ」を用いて打ち合わせをする機会が多くなってきました。障害者にとって、在宅ワークはどのようなメリットがあるのでしょうか。

[メリット1]通勤が不要

 在宅ワークのメリットはこれが一番大きいです。在宅ワークにすることで、長時間の満員電車に乗らずに、毎日多くの時間と体力を温存し、有効活用することができます。
 仕事が終われば、すぐに自由時間です。友人や、家族とのコミュニケーションを十分に取ることができます。さらに、通勤に支障がある肢体不自由、視覚、聴覚障害、内部障害、精神障害者の方々にとっては、通勤不要によって感じられるメリットは何倍にもなるでしょう。

[メリット2]オフィスの環境が慣れたものである

 肢体不自由の方にとってみれば、普段生活しているバリアフリーな環境で働くことができます。聴覚障害者にとっては、常に周りに気配りし、慣れない口話などのコミュニケーションでストレスを感じなくてもよいのです。他にも、視線恐怖症などの精神障害の方、コミュニケーションが苦痛な発達障害の方なども、在宅ワークにするだけでかなりのストレス軽減が見込めるのではないでしょうか。

在宅ワークで成果を上げるために求められるもの

 以上のように、障害者にとって在宅ワークには大きなメリットがありますが、誰にでも勧められるものではないと感じます。向いている人には最高の働き方だと思いますが、それなりの資質が必要です。では、在宅ワークに向いているのはどのような資質を持つ人でしょうか。

[資質1]自律して仕事ができるか

 私はいろいろなことに興味・関心があるので、仕事が中断してしまうことがよくあります。オフィスに出社すれば大して気合いを入れなくてもできる仕事でも、在宅ではそれなりに覚悟を決めて取り組まないとなかなか進まない、ということもありがちです。もちろん、個人差もあるとは思いますが、集中して仕事に取り組めるかどうかは、自分が思っている以上に環境に左右されます。誰も見ていなくても、淡々と、黙々と自分の仕事に集中できる人でなければ、在宅ワークは難しいと思います。

[資質2]気持ちの切り替えが上手にできるか

 在宅ワークは、自宅がオフィスになるということです。日常の一部なので意識している方は少ないと思いますが、通勤は私生活モードと仕事モードを切り替えるための"儀式の時間"でもあります。その通勤という"儀式"がなくなると、私生活と仕事の境界線が曖昧になります。また、資質1とは反対に、在宅ワークでは「仕事をやり過ぎてしまう」という方も多いです。在宅ワークは、やろうと思えばいつまででも仕事をすることができてしまうのです。
 実際、私も「あとちょっとだけ頑張るか」が結局2時間、3時間となるようなこともありました。メリハリをつけて仕事をしないと、せっかく通勤時間を帳消しにして捻出した時間が無駄になってしまいます。私生活と仕事のモードをうまく切り替えられないと、在宅ワークは余裕のある働き方ではなくなってしまいます。

[資質3]在宅ワークに必要な能力・スキル

 実際に在宅ワークをして、そのメリットの大きさを実感したところではありますが、在宅ワークは誰にでも勧められるものではないし、事前に習得しておくべき必須スキル・能力もあると感じています。「在宅ワークならでは」というものではありませんが、在宅で仕事をするなら、以下のとおり最低限備えておくべき能力・スキルがあります。

(1)文章構成力・表現力

 在宅ワークをするなら、とにかく文章構成力・表現力が必要になります。なぜなら、TV電話やメール等の文章でコミュニケーションをとる頻度が多くなるからです。例えば、①その日に取り組んでいる仕事の進捗報告、②担当業務の問い合わせ対応、③上司への報告・連絡・相談などが挙げられるでしょう。
 在宅ワークには、「仕事仲間とのコミュニケーションが不足し、業務効率が落ちる」という指摘もあります。そのデメリットを補うためには、文章による迅速で正確な報連相のスキルが必要になります。「シンプルで、分かりやすく、正しく意味が伝わる日本語を書く」というのは、それだけで立派なスキルです。

(2)パソコンスキル(特にWord、Excel、PowerPoint)

 イラストレーターやデザイナー、プログラマーといった専門職を除くと、在宅ワークには事務系のパソコンスキルは必須です。在宅ワーク向けの仕事の例を挙げてみますと、①資料作成(企画書・会議資料・マニュアルなど)、②データ収集・確認・加工・集計・分析作業、③電話・メール照会(問い合わせ)への対応・記録などが主な業務内容になりますので、パソコンスキル、特にMicrosoft OfficeのWord、Excel、PowerPointを扱うスキルは中級レベル以上に身に付けておく必要があります。

 以上、注意すべき点もいくつかありますが、今の社会ではITを駆使して効率の良い「在宅ワーク」が現実のものになっていることを実感できます。そしてこのことが「障害のある方の社会参加へのチャンス」を後押ししていると、今強く実感できるのです。

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