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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2018.04.03]

[131]『TIME TALENT ENERGY―組織の生産性を最大化するマネジメント』

(マイケル・マンキンス エリック・ガートン 著、斎藤栄一郎 訳
 プレジデント社 2017年10月)


 

 本書では、企業にとって本当に稀少な経営資源は「時間」「人材」「意欲」であるとしています。パート1「時間」では、時間管理をテーマとし、会議、オンラインコミュニケーション、官僚体質の構造など、大企業病の原因を探っています。パート2「人材」では、社員の能力とチームづくりに焦点を当て、効果的な人材管理の威力を探っています。パート3「意欲」では、当事者意識の意欲、やる気が生み出す効果について、現実的な視点で考察しています。

 さらに詳しく見ていくと、パート1「時間」では、第2章で、時間が失われてしまう構造を示すとともに、失われた時間をシンプルな時間管理のツールやテクニックで取り返す方法について考察しています。第3章では、無駄に複雑な組織構造が、無用な会議や連絡などのやりとりの原因となっているとして、効果的な時間マネジメントで成果を上げた企業例を紹介しています。

 パート2「人材」では、第4章で、本当に必要なのは、誰よりも組織の使命を理解し、戦略を実行に移すことのできる人材であるとして、いるといないとでは大きな差が出る「違いを生み出す人材」(ディファレンスメーカー)が、最も効果を発揮できる場を見極め、そうした人材を発見・育成して配置することが大切だと述べ、具体例としてリンクトインの事例を紹介しています。第5章では、最も優秀な人材でチームを編成すべきだとし、また、こうしたオールスターチームに組織の最重要課題を担当させよとしています。さらに、オールスターチームには優秀なリーダーと手厚いサポートが欠かせないとしています。

 パート3「意欲」では、第6章で、社員のやる気を奮い立たせるためのステップとして、①人間性溢れる理念を策定・導入する、②社員の自律性と組織のニーズのバランスを追求する、③成果を上げ、やる気を奮い立たせるリーダーを育成せよ、の三つを挙げ、ステップごとに解説しています。第7章では、社員の意欲を引き出して成果を達成させる優良企業の企業文化に着目し、読者が同じような企業文化を醸成するための方法を紹介しています。

 企業の競争優位につながるのは「時間」「人材」「意欲」の三つであるというのが筆者らの主張であり、「傑出した企業」とそうでない企業を比較してその理由を述べ、具体的な解決策までが示しているので分かりやすく、参考になります。

 例えば、パート2の「人材」では、先述のとおり、「違いを生み出す人材」を集めてチームを作り、こうしたオールスターチームに組織の最重要課題を担当させよとしていますが、各部署に優秀な人材を均等に配置する傾向にある日本の企業にとっては、発想の転換を促すヒントになるように思います。

 「時間」「人材」「意欲」という三つの指標は必ずしも目新しいものではなく、また、本書で紹介されている優良企業の事例には、ミレニアル企業と呼ばれる新興企業のものが多かったりもし、自社とは環境が違いすぎると思う読者もいるかもしれません。実際、本書で示されたすべての策が、あらゆる企業に当てはまる汎用性を持つとは言えないと思います。

 しかしながら、巻末で「日本企業への示唆」として、組織生産力指数がグローバル平均を大きく下回る日本企業の課題と、今後向かうべき方向について論じており、本書を通して「時間」「人材」「意欲」という三つのリソースの重要性を再認識し、具体的に何をすべきかを考えることは有意義だと思います。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2017年12月にご紹介したものです。

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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