[2017.09.08]

BOOK REVIEW『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか? ─キャリア思考と自己責任の罠』

福島 創太 著
教育社会学者 
新書判/272ページ/860円+税/筑摩書房 


BOOK REVIEW 
人事パーソンへオススメの新刊




 日本企業の「終身雇用の崩壊」が語られて久しい。この話題は新入社員の意識にも影響しており、日本生産性本部の「2017年度 新入社員 春の意識調査」では「条件の良い会社があれば、さっさと移る方が得だ」という問いに対し、過去10年間で最高の36.2%が「そう思う」と回答している。一つの会社に固執せず、"自分らしいキャリア"を歩もうとする若年層が増えたといえよう。だが、そもそも"自分らしいキャリア"とは何なのか。本書ではこの問いから、いわゆる「ゆとり世代」のキャリア意識・行動とそれを取り巻く社会の現状を論じている。

 本書の第1章では、社会が若者たちに対し「自律的キャリア」の形成を推進してきた経緯を説く。第2・3章では、転職を繰り返す若者を〈意識高い系〉〈ここではないどこかへ系〉と分類し、それらのキャリア意識を分析する。第4章では、転職を繰り返す若者が将来に向けて蓄積していくリスクを述べた上で、第5章ではそうしたリスクが「自己責任」として片付けられることに異議を唱える。その上で第6・7章では、社会がこうした若者たちのキャリア形成をどう支援できるかを論じる。

 では、「若者の自律的キャリアは、社会が煽った結果にもかかわらず、転職に失敗した場合の責任は『自己責任』と断じられる」という本書の主張を踏まえ、人事パーソンはどうすればよいのだろうか。一つだけの正解はないが、第7章にある「『できること』を基準にしたキャリア選択」の可能性を広げる支援策を打つなど、さまざまな選択肢が考えられよう。「若者のキャリア意識」という問題の解答を得るためではなく、まずは問題を正しく整理するために、本書を読み、考えるきっかけとしていただきたい。

 



ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか? ─キャリア思考と自己責任の罠

内容紹介

いま、「ゆとり世代」の若者の転職が増えている。自分らしいキャリアを模索して転職をくり返す人や、「ここではないどこかへ」と気軽に会社を渡り歩く人が増えているのだ。本書は、若者たちに綿密なインタビューを実施、分析し、転職するように彼らを煽る社会構造をあぶり出す。“意識高い系”の若者は何を考えて転職するのか?転職する若者が抱えるリスクとは?若者のキャリアに社会はどう向き合うべきか?同世代の社会学者として、人材会社社員として、若者のキャリアに向き合ってきた著者が回答を示す。上司の世代も当事者の世代も必読の一冊。

禁無断転載
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