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Point of view [2015.07.10]

第45回 山崎将志

部下に厳しく指導するためのヒント


山崎 将志  やまざき まさし
ビジネスコンサルタント
1971年愛知県岡崎市生まれ。94年東京大学経済学部経営学科卒業。同年アクセンチュア入社。2003年にアクセンチュアを退社し独立。その後、プロフェッショナル開発の知識工房、事業再生コンサルティングのアジルパートナーズをはじめ、数社のベンチャー企業を開発。2010年4月に出版された「残念な人の思考法」(日本経済新聞出版社)が34万部のベストセラーとなり、著書累計発行部数は100万部を超える。最新刊は「残念なエリート」(日本経済新聞出版社)

 

■「じゃ、よろしく」なのか「一緒にやろう」なのか

 近頃のリーダーの仕事は難しい。
 顧客の要求は厳しくなる一方である。企業はそれに応えるだけでは不十分で、顧客の期待を超えなければならない。それを実現しようとすれば、当然のことながら企業は目標を高く掲げ、それを達成する必要がある。
 高い目標を達成するには、社員が新しいスキルを身に付ける、何か問題が起こったときには解決するまでやり遂げるなど、「今までできなかったことができるようになる」ことが求められる。それは、社員にとって大変なことであるが、リーダーは社員にそれをやってもらわなければならない。
 一方で、昨今は労働環境に関わる社会からの目が厳しく、コンプライアンス面での問題が生じると一発アウトの風潮がある。世の中の多くのリーダーは「目標達成のために厳しく指導する」ことが、メンバーにとっては「理不尽に働かされている」と取られてしまうのではないかと、日々悩みながら指導に当たっているはずだ。
 結果が大事なのか、過程が大事なのかとよくいわれるが、ビジネスは結果の世界である。結果のためには手段も選ばず、非情さが必要なときもある。とはいえ、やはり相手は人だから、人材を育成しなければ中長期的に結果を出す組織を作ることができない。
 例えば、明日の朝までにどうしても仕上げなければならない仕事があるとする。一人のリーダーは「じゃ、よろしく」とだけ言って自分は帰る。もう一人は、「これから一緒にやろう」と言う。後者のように振る舞うリーダーに対しては、たとえその仕事が終電を逃すくらいまでかかってしまったとしても、そんなにひどい評価にはならないと私は思う。むしろ、その間に徹底的に話し合うこともできて感謝されるかもしれない。仕事もきっと最高の結果になるだろう。
 「できないことができるようになる」には、集中的な努力が必要である。自分からそれができる人ばかりが集まっている組織はない。だから、リーダーが厳しく指導しなければならない局面がどうしても発生する。ギリギリのプレッシャーの下で仕事をすると、一瞬で体得できる仕事の技術というものがある。ほとんどのリーダーは過去にそういう経験をしているはずだ。しかし部下に対しては、そこまで追い込むことがなかなかできない、申し訳ない気持ちや、いろいろ言われたりするのが嫌だから、といった理由だろうが、それははっきり言って逃げである。

■みんな自分のことが一番好きで、自分を分かってもらいたい。

 リーダーが部下に成長してもらいたと本気で思っているかどうかは、部下にははっきりと分かっている。リーダーが部下に厳しく指導し、部下がそれを受け入れる関係を作るためには、前提として十分な信頼関係が必要である。
 信頼関係を作るには、相手をよく理解することだ。好きな食べ物、趣味、学生時代にやっていたことなど些細(ささい)なことから、性格やキャリア目標など相手の人生にとって重要なことまで、何でも知っていたほうがいい。
 職場の人間関係が希薄になったといわれ、特に若い人にはあまり深入りしないほうがよいと考える人もいるだろうが、違うと思う。
 たくさんの人が写っている写真を見て、最初に探すのは自分の顔である。これは誰でもそうだ。またSNSで日々の出来事や写真をこまめに投稿している若い人がたくさんいる。つまり、これはみんな自分のことが誰よりも好きで、自分のことを分かってもらいたいという強い欲求を持っているということだ。
 リーダーは、まずその欲求に応えることから始めなければ、その先に厳しく指導することは難しいだろう。
 どれだけ部下のことを理解し、信頼しても、結果が出るとは限らない。ときには裏切られることだってある。それでも、リーダーはこれをやり続けなければならない。
 仕事は矛盾だらけである。会社は組織で動くから自分勝手はNGだ。それでもやっぱりみんな自分が一番である。じっくり取り組めと言いながら、今月の目標達成状況はどうなってるんだと尋ねなければならない。定時で帰れと言いながら難しい問題を解決しなければならない。
 このような矛盾だらけの状況は誰だって悩む。部下がどうしたらよいかと相談しに来るが、リーダー自身も答えが分からない。それでも、部下の考えをじっくりと聞いて、リーダー自身の答えを伝える。間違っているかもしれないが、よく話した上での結論ならば、結果が出なかったとしても部下は納得するものだ。

 私の仕事仲間の話である。サッカーを習っている小学生の息子がゴールキーパーをやっているというので、先日一緒に100本シュートをやったという。50本目くらいから弱音を吐き始めたが、何とか100本をこなした。息子はヘトヘトだったが、小学生相手とはいえ100本打ったこっちもクタクタだった、と友人は話していた。
 そこまでやってこそ、教えられる側にも教える側にも、超えられる何かが見えてくるのだと思う。


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