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Point of view [2015.06.12]

第43回 石川弘子

職場のモンスターから組織をどう守るか
~職場に侵食する「モンスター社員」の実態


石川 弘子  いしかわ ひろこ
石川社労士事務所 代表 特定社会保険労務士
産業カウンセラー キャリアコンサルタント
セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント防止コンサルタント
1973年1月福島県郡山市生まれ。青山学院大学卒。企業での総務業務経験後、社会保険労務士資格を取得、神奈川県厚木市で石川社労士事務所を設立。神奈川・東京を中心として主に中小企業の人事・労務に関する手続きや制度設計等を行う。

 

 今年の2月に文春新書から『あなたの隣のモンスター社員』という書籍を出版させていただいたところ、多数の反響を頂いた。
 「モンスター社員」という言葉に明確な定義はない。しかし、筆者が目の当たりにしたモンスター社員は、遅刻を繰り返したり、仕事をさぼったりする、いわゆる「問題社員」とはまったく違う。精神状態が不安定で、常に周囲とトラブルを起こしたり、平気でうそをついたり、自己愛が異常に強く、虚言で周囲の人間関係を意図的に操ったりするなど、放っておくと組織が崩壊するような事態を引き起こす。そんな「モンスター社員」が職場を侵食しつつある。

モンスター社員対策① ~モンスターを採用しないために~

 日本の法律では従業員の解雇についてハードルが高く、人事担当者も慎重にならざるを得ない。対象がモンスター社員であっても、解雇までにはかなりの時間と労力を要する。一番の対策はモンスター社員を採用しないことだ。採用時のプロセスで気をつけるべきポイントを幾つか挙げていきたい。

(1)履歴書や職務経歴書など応募書類
 中途採用応募者の履歴書で採用担当者が一番注目するのは、その人のキャリアであろう。どんな会社で、どのような仕事を、どの程度の期間行っていたのか? ここで注意したいのは、履歴書に記載されている企業の規模や知名度、職名で先入観を持たないことだ。例えば、「大手企業にいたから優秀なはずだ」「同じ職種を10年も経験しているから即戦力になるだろう」といった先入観は必ずしも正しくない。大手企業にも仕事ができない人はいるだろうし、同じ職種を経験しているといっても、具体的にどの程度の仕事を任されて遂行していたのかは詳細を聞いてみないと分からないからだ。

(2)面接時
 面接時にありがちな誤りは、「感じがよかった」などの曖昧な理由のみで採用を決めてしまうことだ。モンスター社員の中には、第一印象がとてもいい人がいる。しかし、その愛想のよさはどこから出ているものなのかをしっかり見極めることが重要だ。自分に自信がない、あるいは価値観が定まっていない人は、相手に合わせた対応をとることがある。また、採用してほしいがために本心を偽った回答をすることもあるのだ。こういった人は、質問を掘り下げていくと、どこかに矛盾した回答が出てくることがある。

モンスター社員対策② ~モンスター対処法~

 採用時に見抜けず、モンスター社員を採用してしまった場合はどうすればいいのだろうか? モンスター社員対策には、二つの面からのアプローチが必要と考える。一つはコミュニケーションを主軸としたアプローチ。もう一つは就業規則などのルールに沿ったアプローチである。
 コミュニケーションに主軸を置いた対策の大原則は話をよく聴くことだ。モンスター社員の言い分は、大体が自己中心的・感情的で、論理的にも理解し難いことが多い。その場合、つい相手の言い分を最初から否定したり、聞くことすら嫌になったりしがちだが、モンスター社員対策を行う上で、相手を知ることはとても重要だ。一見あり得ない理屈を持ち出しているように見えて、その人のパーソナリティや本質的な問題に気づくことがある。傾聴を心掛けるなどして、言い分を聞くことは対策を練る上で有意義だ。
 ただし、相手の言い分をよく聴くことと、相手の要求をすべて受け入れることとは別だ。相手の話をよく聴いた上で、毅然(きぜん)とした態度で対応することが重要だ。筆者が相談を受ける人事担当者と話していると、「モンスター社員に対峙(たいじ)するより、相手の要求を呑(の)んでしまったほうが早い」「うっかりしたことを言うと、パワハラだ何だと余計に問題を大きくされる」といった声を聞くことがある。しかし、理屈に合わないことや、会社のルール上できることとできないことは、はっきりと伝える必要がある。相手の要求を中途半端に呑むと、モンスター社員の言動はエスカレートするばかりだ。
 また、モンスター社員の言い分は、事実と個人的な見解(時には虚言)が混在していることが多い。モンスター社員があたかも実際にあったかのように言っても、事実関係を確認することは最低限必要だ。
 一方、就業規則などルールにのっとったアプローチは規程の整備が必須となる。実際にモンスター社員が現れても、就業規則が整備されておらず、処分をしようにもできない場合がある。ひな型の就業規則などをアレンジせずそのまま使用している場合、自社やその業種に合った内容になっておらず、いざトラブルが起こっても対処できない可能性もある。

モンスター社員対策③ ~モンスターを生まない組織づくり~

 会社にビジョンがない、あるいは経営陣のモラルが低い場合などはモンスター社員を生み出しやすい。サービス残業をさせていたり、経営者が自らパワハラ行為に及んだりしている企業では、似たようなモラルの低い従業員が集まってくる。会社がコンプライアンスを強化し、理念に向かって従業員との間でベクトルを合わせることが、モンスター社員を生まない組織づくりに必要なのである。




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