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新任担当者のための労働法セミナー [2015.06.22]

第38回 就業規則②―就業規則の作成、届け出(労働基準法89条、90条、92条)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 当社では労働者を13人雇用していますが、そのうちアルバイトが8人います。就業規則を作成しなければなりませんか?


A1 アルバイトも含めて10人以上になれば作成・届け出義務が生じます


【解説】

 常時10人以上の労働者を雇用する事業場では、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。このときの人数は、常態として雇用する労働者で判断します。
 正社員だけでなく、アルバイト、パートタイマー、嘱託などすべての労働者の人数であり、週1日だけの労働でも含みます。ただし、お中元の時期だけ雇用するような、臨時で雇用する人はカウントしません。
 なお、派遣労働者は派遣先ではなく、派遣元の人数に含めます。
 また、人数は、会社単位ではなく工場、支店など事業場ごとにカウントします。
 就業規則は、前回ご説明したように、労働者の権利と義務、労働条件を明らかにするなど職場秩序を維持する上で重要なものです。10人未満でも作成しておくことが望ましいとされています。

■意見書には反対意見が書いてあっても受理される

 就業規則は本来、会社が作成するものであり、労働者や労働組合と協議して作成する必要はありません。これが労働協約や労使協定と大きく異なる点です。
 就業規則の作成、届け出をする際には、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません(労基法90条)。
 「意見を聴く」とは、文字どおり意見を聴くことで、同意を得るとか協議をするということではありません。また、意見を反映させて作り直すことまで要求されているわけではありません。
 反対意見が書いてある意見書でも届け出は受理され、効力も生じます。届け出の手続きの流れは、[図表]のとおりです。

[図表]就業規則作成・変更手順

■意見書と届出書を添付して各2部用意する

 届け出をする際には、過半数代表者の「意見書」と「届出書」「就業規則」を各2部(1部はコピーでも可)用意して、所轄労働基準監督署に届け出します。賃金規程や育児休業規程、介護休業規程など別規程として作成したもの(前回説明)でも、就業規則の一部規程としての性質を有するものは届け出が必要です。
 労働基準監督署で受理印を押されて、1部は事業場の控えとして返却されます。
 また、就業規則は、作成後も法改正などに合わせて随時見直し、変更が必要になります。変更する場合も、その都度同様の手続きをします。このとき届け出する就業規則は、変更箇所だけを分かるように記載したものでも全文でもどちらでも構いません。


■要件を満たせば本社一括で届け出ることもできる

 就業規則は、事業場ごとに届け出ることとされています。しかし、会社全体で同じ就業規則が適用される場合は、本社一括で届け出することもできます。この場合、次の要件を満たす必要があります。
①本社分を含めて事業場の部数を提出すること
②事業場の名称、所在地、所轄労働基準監督署名を付け、本社のものと同一内容である旨を明記すること
③事業場ごとに意見書の正本を添付すること

■労働者代表者は民主的な方法で選出する(労基法施行規則6条の2)

 労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は、その労働組合の意見を聴きますが、ない場合は、過半数を代表する者を次の方法で選出します。この選出方法は、36協定など、他の協定書も同様です。
 なお、「過半数」とは、正社員だけでなく、パートタイマー、アルバイト等、その事業場すべての労働者の過半数であり、いわゆる管理監督者も含めます。

労働組合がない場合の過半数を代表する者の選出方法(①②のいずれも満たすこと)
 ①労基法41条2号に定める管理監督者ではない者
 ②協定等をする者を選出することを明らかにして、次のような民主的な方法で選出
  すること
 〈よい例〉
  ○投票、挙手
  ○労働者の話し合い
  ○持ち回り決議
 〈悪い例〉
  ○会社が一方的に指名
  ○親睦会の代表者

 会社は、過半数代表者であることや過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、解雇、賃金の減額、降格など労働条件に不利益な取り扱いをすることはできません。
 「正当な行為」とは、例えば、労使協定を締結しなかったり、同意しなかったりすることなどが考えられます。


《復習&応用問題》

Q2  当社では、正社員用のほかにパートタイマー用の就業規則を作成しています。このたび、パートタイマー用の就業規則の改定をしましたが、誰の意見を聴けばいいのでしょうか?


A2 意見を聴くのは、労働者の過半数を代表する者です

 パートタイマー用の就業規則でも、意見を聴くのはすべての労働者の過半数を代表する者です。ただし、これに加えてパートタイム労働法では、パートタイマーの過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めることとしています(同法7条)。

Q3  当社の就業規則では、年次有給休暇を入社後勤続6カ月で8日付与すると記載していました。以前、労働基準監督署へ就業規則を届け出しようとしたところ、ここの記載を修正するように言われたことがありました。
 このたび当社では、家族手当の金額を引き下げることになり、変更の届け出をしようとしています。労働基準監督官から何かまた言われたりするのでしょうか?


A2 労働基準法などに違反していなければ、受理されると思われます

 労働基準監督署は、労働基準法や最低賃金法などについて、違反がある就業規則の変更を命ずる権限を持っています(労基法92条)。以前は、年次有給休暇の付与日数が労働基準法の定め(正しくは10日)に反する就業規則を届け出しようとしたため、変更するよう命じられたものと思われます。
 家族手当の金額を引き下げることは、労働条件の不利益変更ではあるでしょうが、労働基準法等に違反しているわけではありません。労働基準監督署では、労働基準法や最低賃金法などの強行法規に違反するものでなければ、変更を命ずる権限をもっていないので、変更を命じられることなく受理されることと思います(アドバイス程度はあるかも知れません)。

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2014年5月にご紹介したものです。


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  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
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 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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