Point of view [2013.09.13]

第3回 與良昌浩

「あなたは、なぜ、何のために働いていますか?」

與良昌浩 よら まさひろ
株式会社もくてき 代表 ハタモク 代表
伊藤忠商事、アクセンチュア、中小企業経営、ベンチャーで事業開発に従事。これらの経験から「人がすべて」と気づき、企業風土改革コンサルティングファームのスコラ・コンサルトに入社。2013年6月に「株式会社もくてき」を設立。「事業価値創造、組織風土改革、個々の働く目的がつながって重なれば、みんな幸せになる」が信条。現場の知恵を生かしたコンサルティング、人の成長支援、チームづくり支援が得意

 

なぜ、何のために「働く目的」を持つ必要があるのか

 私は、企業風土改革支援の仕事をしながら、「株式会社もくてき」という会社を2013年6月に設立した。目的の創造と実践を支援する会社である。自分らしく、いきいき楽しく行動するためには、目的を持つことが大事だと考えており、人や組織が大事なことを決める局面において、「なぜ、何のために」という目的を考え、対話し、実践する支援をしている。
 「あなたは、何のために働いているのですか?」 この問いを、これまで1000人以上の方に投げかけてきた。私の感覚値だが、7割以上の人が「考えたことがない」「生活のため」と答え、2~3割の人は、その人なりの「働く目的」を堂々と語ってくれる。その言葉や表情から明らかに、その人たちは仕事を楽しんでいることが伝わってくる。
 2年前、学生と社会人で「何のために働くのか」を語り合う「ハタモク(働く目的)」という活動を立ち上げ、これまで100回以上の場を実施し、延べ3500名もの方が参加してくれている。この事実は、「なぜ、何のために働くのか」を語り合いたい人、働く目的を持とうとしている人が多くいることを物語っている。

 そもそも、「働く目的」とは何なのか。
 仕事を通じて「こうなりたい」「こうしたい」という目指したい生き方の方向性ではないかと、気づいたのである。会社が社員の人生をリードし、保証してくれる時代が終わりつつある今、個々が自分らしくいきいき働くためには、あらためて働くことの意味や目的を考え、現在の仕事や立ち位置を自分にとって意味あるものとし、目的と仕事を重ねていく努力、創意工夫が必要になってきたのである。
 もちろん、「働く目的」をただ漠然と気持ちの中に持っているだけでは、何も変わらない。目的は、自分で実践し、実現するために持つものである。仕事での実践が、働く目的の実現に近づくのであれば、仕事は自分事となって充実していく。自己実現そのものとなる。失敗したり、悩んだりしながらも成長していく実感が生きる喜びを与えてくれる。多くの人にとって、仕事と人生は簡単に切り離せるものではないのが現実なのだから、「働く目的」を持つことは、充実した意味のある“自分の人生”につながっていくのである。

「働く目的」の本質

 実は、「働く目的」は簡単に持てるものではない。1000人以上の方と語り合ってきたが、多くの人が時間をかけて深く考え、対話を重ね、言葉にしながら、自分なりの「働く目的」をつくっていく。「働く目的」は、探すものでも見つけるものでもなく、自らつくるものなのだが、百点満点を目指そうとするあまり、なかなか「目的」を決められない人も多い。目的を決められないから行動を起こせない、と言う人もいる。
 「働く目的」には、共通の正解はない。自分なりの正解をつくることが必要である。正解がないことを決めるのは誰にとっても難しく、少し勇気が必要かもしれない。私は、「 “自分なりの答え”を仮でいいからいったん決めて、動いてみればいい。動いてみて、違うと思えば、修正すればいい。そもそも働く目的ってものは、時間とともに変わっていくものなのだから」といつも話している。完全に決めるのではなく、「仮決め」でいいのである。柔軟な思考で試行錯誤していかなければ、働く目的を決めるなんてことは、一生できないかもしれない。たとえ仮でもいったん「決める」ことで、前に進むことができるである。考え続けて、動くことが大切なのだ。

「仕事」の意味や目的を問う機会を職場につくる

 過去または現在の「仕事の意味や価値、目的」を見つめ直してみることで、働くことの意味・目的を確認することも効果的だ。「お客様は誰か」「提供価値は何か」「結果としてどうなりたいか」。それを深く考え抜くこと自体が現状の仕事の意味を変えることがある。仕事に誇りを見いだす人もいる。仕事が楽しくなり、見える景色が変わることもある。そんな変化を遂げた人をこれまでたくさん見てきた。
 最近、企業の中で「働くこと」や「仕事や事業」の意味・目的を職場の仲間と話し合う場にファシリテーターとしてお呼びいただく機会が増えてきた。これからの職場には、働くことや仕事の意味・目的を考え合い、語り合い、意味づけし合う場がより必要になってくる。そのことが、主体的に考える力を養い、会社における本気の“当事者”を増やすことにつながるのである。
 ちなみに、人事部のメンバーで「個々の働く目的、人事部の仕事の意味・目的は何か」などを語り合ったことはあるだろうか。そうした対話の有無によって、メンバー同士のつながりの質やチームとしての結束の強さも変化する。時代に応じて変化する組織のミッションも、一人ひとりの思いを語り合う対話の場から、新たに生まれてくることであろう。

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