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採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント [2013.09.13]

2013年9月


HRプロ株式会社/HR総合調査研究所
代表 寺澤康介 てらざわ こうすけ
(調査・編集: 主任研究員 松岡 仁)


 HRプロ代表の寺澤康介です。
 先日、人事のエグゼクティブ層(部長以上)を主な対象として、理念経営に関するセミナーを、「第2回HRエグゼクティブフォーラム」として開催しました。
 今回のテーマは、『~激変時代における人事エグゼクティブの決断~「理念を浸透させ組織を変える人材戦略に、舵を切る」』です。
 ゲストとして、早稲田大学ビジネススクール教授/株式会社ローランド・ベルガー 会長の遠藤 功氏、元Google米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役社長の村上憲郎氏、第一生命保険株式会社の人事部部長兼人財開発室長の榎並重人氏らにご登壇いただき、お話を伺いました。採用の本題の前に、その一幕を少しご紹介したいと思います。

■企業理念を浸透させる組織の土台作り――当社エグゼクティブフォーラムより

 変化の激しい時代だからこそ、その動きに対応するためにはしっかりとした理念と、社員への浸透が重要である。今回のフォーラムはその主旨の下で、人事部としてなすべきことを共に考えることを開催目的としました。朝から夕方まで長時間にも関わらず、当日は約130名の方にご参加いただき、参加者同士の交流も積極的に行われました。アンケートでもほとんどの方から「満足」との回答を得て、主催者として安堵しました。
 このフォーラムで、「現場力と企業経営」をテーマに講演された遠藤 功氏は、アイスキャンディ「ガリガリ君」を販売し、毎年業績を伸ばし続けている赤城乳業を例として取り上げ、その取り組みを紹介されました。
 赤城乳業のコーポレートスローガンは「遊びましょ」。同社は若手社員を積極的に登用し、社員のモチベーションの高さを自社の財産として、フラットで垣根のない組織を作り上げています。あの、ガリガリ君の「コーンポタージュ味」の開発を担当したのは新卒入社からたった数年の若手社員1人。周囲に「売れるのか?」と心配されつつ開発作業を重ね、最後は社長の判断で商品化が決定。インパクトある商品はデビュー数日で売り切れ、市場からいったん姿を消したことは記憶に新しいところです。
 同社の社長が遠藤氏に語ったところでは、よく言われる「見える化」だけでなく、「言える化」が大事だとのこと。若手が何でも自由に言える環境と雰囲気を作るのは経営者の仕事であり、工夫と努力をしなければ組織は「言えない化」に陥るということです。
 現場には、気づき、アイデア、知恵が眠っている。それを引き出す会社の仕組みを作ることが重要だと、遠藤氏は語ります。それは会社の風土であり、そのような風土を作ることこそ人事部の非常に重要な仕事と言えるでしょう。経営と二人三脚でこうした風土を作ることが、理念を浸透させる組織の土台作りであると思います。

 さて、今回はこうした風土をいかに学生たちに伝えていくことができるのかをテーマに、今や企業を広報する最もポピュラーなツールとなった「採用ホームページ」について、考えてみたいと思います。

■文系では、電通が2年連続第1位

 HR総合調査研究所(HR総研)と楽天「みんなの就職活動日記」は共同で、2014年度新卒学生4000人を対象に、企業の採用ホームページについてのアンケートを行いました。学生から寄せられた評価の高いホームページとその理由をご紹介しますので、2015年卒に向けた採用ホームページ制作の参考にしていただければと思います。
 まず、文系学生の評価から見ていきましょう。第1位は昨年に引き続き、電通でした。次いで、日本郵政グループ、Plan・Do・See、三菱東京UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行と続きます。三菱UFJ信託銀行を除く4社は、昨年の調査でも上位5社に入っていました[図表1]。各社の評価理由を挙げてみます。

[図表1] 文系学生が選んだ印象のよい採用ホームページTOP10

順位企業名
1 電通
2 日本郵政グループ
3 Plan・Do・See
4 三菱東京UFJ銀行
5 三菱UFJ信託銀行
6 JTBグループ
6 オリエンタルランド
6 博報堂/博報堂DYメディアパートナーズ
9 第一生命保険
9 東海旅客鉄道(JR東海)
9 東京海上日動火災保険

 資料出所:HR総合調査研究所と楽天「みんなの就職活動日記」の共同調査

●電通
・彩りがとても明るくて、就職活動のイメージは暗かったのですが、明るいイメージに変わりました。前向きな考え方に変わりました!(中堅私大)
・デザインや音楽が素敵だった。さすがだなと思えたし、企業研究が苦にならなかった(その他私立大学)
・仕事事例が豊富だったため、仕事に就いた際の具体的なイメージが浮かびやすかった(早慶クラス)
・他とは違う動きのあるページが個性的で印象に残った。「さすが電通!」と思うページ内容だった(上位私大クラス)
・独特で面白いし、さまざまなデータが掲載されている(中堅私大クラス)
・すごくデザインに凝っていて、社員の紹介もあり、事業説明もあり、情報が多くて良かった(上位国公立大)
・見ていてわくわくするような仕掛けがたくさんあった(上位私大クラス)
・BGMが付いていて、楽しい雰囲気が伝わってきた(早慶クラス)
・学生が楽しみながら企業のことを知ることができる工夫が行われていたから(早慶クラス)

 サイトにアクセスしている間、ずっと流れる心地よいBGMに始まり、情報のありかが分かりやすいナビゲーション、洗練されたデザインと動きのあるつくり、プロジェクト紹介や社員の1日紹介など豊富な情報量が評価されています。登場する社員の多さ、職種の網羅性でも他社を圧倒しています。新入社員像をアンケート結果の報告という形で見せていますが、グラフの一つひとつがポップなデザインで、学生が飽きることなく最後まで見たくなるつくりになっています。楽しみながら、気が付いたらすべてのページを見ていたという学生も少なくないでしょう。

●日本郵政グループ
・ゆうちょ銀行・かんぽ生命などのそれぞれの業務を動画配信などで分かりやすく紹介していた(その他国公立大学)
・Webで説明会を開催しており、その場でコメントに答えてくれるシステムで、社員の方との距離が近く感じられたから(その他国公立大学)
・Web説明会など、実際の説明会に参加できなかった人のための救済策がある。配布資料なども掲載されており、後から興味を持った人に対しても優しい雰囲気がある(上位私大クラス)
・項目が多くあっても、目的別で調べることができたから(上位私大クラス)
・先輩社員のストーリーが職種別にあるため自分が働いているイメージをしやすい。選考フローの確認がしやすい(その他国公立大学)

●Plan・Do・See
・センスの良さと遊び心、高級感を感じ、企業の目指すイメージやこだわりが分かりやすかった(旧帝大クラス)
・とても見やすく、また社風を感じられる写真が多く掲載されていたため(その他国公立大学)
・社員を大切にしている風土や、働きやすさ、考え方に魅力を感じた(中堅私大クラス)
・目を引く工夫がしてある。わくわくさせられるから(中堅私大クラス)
・魅力をHP上で感じられることに加え、社員の方々の言葉が大きく心に響いた(中堅私大クラス)

●三菱東京UFJ銀行
・銀行の業務内容や行員のエピソードが豊富に紹介されていたので、企業研究に役立った。あと、コンセプトムービーがめちゃくちゃかっこいい(旧帝大クラス)
・デザイン性が高く、「お金をかけてるな」と感じたし、見やすかった。女性向けコンテンツも充実していた(上位国公立大クラス)
・働いている行員の方の声、詳しい仕事内容、ブログなど、研究しやすかったから(上位私大クラス)
・女性の働き方の特集があった(上位私大クラス)
・「偉業への挑戦」というキャッチフレーズが印象的だった(その他私立大学)

●三菱UFJ信託銀行
・コンテンツが豊富だった。人事部の方を身近に感じられるようなムービーが特に印象的だった(旧帝大クラス)
・いろいろなセミナーの情報や社員さんの働き方について分かりやすく書いてあった(旧帝大クラス)
・初心者でも非常に分かりやすく書かれており、業界全体の勉強になった(旧帝大クラス)
・目的の項目が見つけやすく、使い勝手が良かった(中堅私大クラス)
・文字と画像のバランスが良かったから(中堅私大クラス)

 上位の各社採用ホームページに共通するのは、「デザイン性」と「目的の項目の見つけやすさ」、そして豊富な情報量。社員の働きぶりを通じて、自分が入社した場合の仕事イメージを膨らませることができるかどうかが大切です。自社の採用ホームページとぜひ比べてみてはいかがでしょうか?

■理系では、カゴメが2年連続第1位

 理系学生から最も評価を集めたのは、カゴメとNTTデータ。カゴメは、文系の電通と同様に、昨年に引き続いてのトップ獲得です。次いで、東海旅客鉄道(JR東海)、旭化成、そして東日本旅客鉄道(JR東日本)、本田技研工業、野村総合研究所の3社が同率で並びました[図表2]。各社のサイトについての学生の声を紹介します。
 
[図表2] 理系学生が選んだ印象のよい採用ホームページTOP10

順位企業名
1 NTTデータ
1 カゴメ
3 東海旅客鉄道(JR東海)
4 旭化成
5 東日本旅客鉄道(JR東日本)
5 本田技研工業
5 野村総合研究所
8 日立製作所
9 NTTドコモ
10 オリエンタルランド
10 日清食品


●カゴメ
・社員の方の話やカゴメで働く際のイメージを持つことができた。カゴメという企業の業務内容とその魅力が伝わった(旧帝大クラス)
・写真などがきれいでコンセプトも分かりやすかった(早慶クラス)
・先輩社員の紹介のページが非常に充実しており、企業の社風や仕事の内容などのイメージを描きやすかった(早慶クラス)
・食への誠意ある姿勢が伝わってきた(早慶クラス)
・みんなでワイガヤしている雰囲気が伝わってきた。野菜への想いが伝わってきた(旧帝大クラス)
・トマトなどに関する情熱を感じることができたから(旧帝大クラス)

 とにかく社員紹介が充実しています。「研究開発部門」「技術系部門」「営業部門」「スタッフ部門」「海外部門」の5部門に分け、それぞれに「マネージャー」「6年目以上」「2~5年目」「新入社員」「内定者」(一部掲載のない部門もあり)と各年代の社員を紹介し、総数は100名近くに上ります。

●NTTデータ
・事業内容やビジョン、実際に働いている社員の方のお話等、とても充実していました。また、サイト自体も見やすく、情報がしっかりまとめられていて、リンクのさせ方などからも、丁寧に作られていると感じました(その他国公立大学)
・社員の方が200人以上載っていた(上位私大クラス)
・社員情報の掲載数が多く、仕事のイメージがしやすかった(旧帝大クラス)
・知りたいことが載っていたため(旧帝大クラス)
・レイアウトの見やすさ。レスポンスの良さ。内容の詳しさ。無駄がない(中堅私大クラス)
・見やすく、また情報量も豊富であった(上位国公立大クラス)
・リクルーターとの連絡、返信フォームが一番見やすく、使いやすかったので(上位国公立大クラス)

 誰もが見られるオープンサイトに掲載されている社員数は特筆するほどの人数ではありませんが、プレエントリー者向けのマイページには、実に217人(2013年9月5日現在)もの社員の日常を紹介しています。多くの社員を紹介することで、仕事の領域の広さをアピールすることに成功しています。

●東海旅客鉄道(JR東海)
・事業内容や採用情報について、豊富な情報が分かりやすく掲示されていたと感じたため(旧帝大クラス)
・社員の個別のインタビューが参考になった(旧帝大クラス)
・説明会や座談会の予約、業務内容概説などが豊富で、かつ見やすかった(旧帝大クラス)
・会社のビジョンが明確に示されていたから(会社のビジョンが明確に示されていたから)
・企業研究や仕事研究に役立つコンテンツが多かったため(その他国公立大学)

●旭化成
・先輩社員のインタビューや製品紹介等の情報量がかなり多く、一番充実した内容であったから(その他国公立大学)
・アニメーションが多用されていて面白かった。コンテンツに工夫が見られた(中堅私大クラス)
・SNSのように就活生がつぶやく欄と、企業の人事がつぶやいている欄があり、双方向の状況を知ることができた(旧帝大クラス)
・独特な雰囲気とか社風が出ていた(上位国公立大クラス)

●東日本旅客鉄道(JR東日本)
・先輩社員など多くの情報を魅力とともに得ることができた(上位国公立大クラス)
・部署ごとの先輩社員の体験談がかなり細かく載っていたから(その他私立大学)
・仕事の重要性とやりがいが伝わってきたから(上位国公立大クラス)
・内定者インタビューや、面接の心得などが載っていて良かった(その他国公立大学)

●本田技研工業
・自動車やバイクへの熱い気持ちが伝わってきた(その他国公立大学)
・予約など簡潔で分かりやすいサイトレイアウトだった(中堅私大クラス)
・それぞれの社員が夢をもっており、お客さま第一に考える方針が魅力的だった。技術者として理想的な環境であった(旧帝大クラス)
・見やすく、分かりやすかった。説明会の予約も、企業の規模にしては比較的容易で良かった(早慶クラス)

●野村総合研究所
・よくあるユーザーインターフェースではなくて企業独自のデザインだったから。オシャレで見やすく、コンテンツも充実していた(上位私大クラス)
・情報量が適切で見やすかった。デザインが良かった(旧帝大クラス)
・キーワードが大きく出ており、印象的だった(旧帝大クラス)
・就活生のための業界研究の方法など、知るべきポイントがまとまっていたり、人事の人がどのようなことを気にしているか、メールで送られてくるから(旧帝大クラス)

 上記各社に共通するのは、社員(仕事)情報の充実のほか、ストレスを感じないサイトレスポンスの速さ、エントリーシートや説明会予約などの機能面の分かりやすさです。デザインばかりに気を取られて、レスポンスが悪くならないように注意する必要があるでしょう。

■いよいよスマホページも用意すべき年に

 採用ツールを多く制作される会社の方に今年の特徴を尋ねたところ、すべての方が口をそろえるように「スマホページ(スマートフォン用採用ホームページ)です」と即答されました。昨年まで、弊社調査ではスマートフォン用の採用ホームページを用意されている企業は少数派で、1000名以上の大企業でもせいぜい1割強といったところでした。ところが、2015年卒採用のための採用ホームページの制作に取り掛かっている大企業の多くは、スマホ用の採用ホームページの導入をかなり前向きに検討しており、普及率は一気に伸びるのではと言われています。
 就活学生にとって、時間勝負となっている企業のセミナーや面接予約、企業からのメールチェック、SNSの更新やチェックのために今やスマートフォンは必需品となっており、普及率は文系で93%、理系で86%(2012年12月、楽天「みんなの就職活動日記」調べ)に達しています。おそらく、世代別普及率で断トツでしょう。文系学生の中には、PCをほとんど利用せず、スマートフォン中心で就職活動を行っている学生も少なくありません。ここまで来ると、さすがに企業側としても無視できなくなります。
 もちろんスマートフォンから通常のWEBページを閲覧することはできますが、ページごとにいちいちスクロールや拡大を繰り返しながら閲覧するのは苦痛です。スマートフォン用のページを用意することで、ストレスなく多くのページを見てもらうことが可能になります。ただし、スマートフォン用のページとして、通常のWEBページにある内容をすべて網羅する必要はありません。網羅しすぎることでかえって見づらくなってしまいます。動機形成につながるもの、リアルタイム性のあるものなどに絞り込んでいくとよいでしょう。
 学生の評価の高い採用ホームページを展開する企業の顔触れは、ここ2年間あまり大きな変化が見られませんでした。来年は新しい会社が上位に上がってくることを期待したいと思います。


110506terazawa_pic.jpgのサムネール画像寺澤 康介 てらざわ こうすけ
HRプロ株式会社 代表取締役
HR総合調査研究所 所長

86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(現HRプロ)を設立、代表取締役に就任。約20年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
http://www.hrpro.co.jp/

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