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新任担当者のための労働法セミナー [2014.06.23]

第26回 年次有給休暇(2)パートタイマーの年次有給休暇(労働基準法39条③)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 当社には、パートタイマーが大勢います。週の労働時間が短いパートタイマーにも、年次有給休暇を付与しなければなりませんか?


A1 パートタイマーにも年次有給休暇を取得する権利はあります。ただし、週の労働時間30時間未満の者には、週所定労働日数の比率に応じて少ない日数となります


 パートタイマーにも、要件を満たせば年次有給休暇を与えなければなりません。パートタイマーだけでなく、アルバイト、契約社員など名称は問わず、同様です。
 ただし、通常の労働者に比べて所定労働日数が少ないパートタイマー等には、週または1年間の所定労働日数に応じた年次有給休暇を与えます(比例付与といいます)[図表]。このうち、週の所定労働時間が30時間以上の場合、または、週の所定労働日数が5日以上の場合は、通常の労働者と同じ日数になります。
 1日の所定労働時間が短い場合は、付与する1日当たりの時間も短縮されます。例えば、1日の所定労働時間が6時間の場合は、年次有給休暇を取得した日も6時間働いたものとして計算します。

【解説】

■所定労働日数に応じた日数を付与する

 パートタイマーの場合は、週の所定労働時間数が決まっているケースや週の所定労働日数が決まっているケース、これらが決まっていないケースがあります。具体的な年次有給休暇の付与日数は、「①週の所定労働時間数→②週の所定労働日数→③1年間の所定労働日数」という優先順位で、以下の[図表]に当てはめれば付与日数が分かります。

[図表] パートタイマーの年次有給休暇の日数

※[図表]の見方
(1)まず、週の所定労働時間数で判断します。30時間以上の場合は「30時間以上」のところで判断します
(2)週所定労働時間が30時間未満の場合は、次のようになります
①週の所定労働日数が決まっている場合は、週の所定労働日数のところを見ます。なお1日の所定労働時間が短くても、週の所定労働日数が5日以上の場合は「5日以上」のところを見ます
②週の所定労働日数が決まっていない場合は、1年間の所定労働日数のところを見ます


■待遇が変わっても勤続年数は通算する

 年次有給休暇の日数を算定する際の「継続勤務」とは、労働契約の存続期間、つまり「在籍期間」をいいます。例えば、次の①~⑦に該当する場合、実態として労働関係が継続している限り勤務年数を通算します(昭63.3.14 基発150)。
①定年退職者を引き続き嘱託などで再雇用している場合(退職と再雇用の間が相当あり、労働関係が継続しない場合は、通算しない)
②有期雇用契約を更新して6カ月以上に及んでいる場合で、実態として引き続き雇用していると認められる場合
③在籍出向した場合
④休職者が復職した場合
⑤臨時員、パート等を正社員に切り替えた場合
⑥会社が解散し、従業員の待遇を含め、権利義務関係が新会社に包括承継された場合
⑦全員を解雇し、その後一部を再雇用したが、実態は人員を縮小しただけで従前と変わらず事業を継続している場合


《復習&応用問題》

Q2 年度途中で所定労働日数を3日から4日に変更しました。年次有給休暇の日数は、いつから変更になりますか?


A2 年度途中で日数を増減せず、基準日において発生した日数のままとなります(昭63.3.14基発 150)

 年次有給休暇の権利は基準日に発生するので、基準日に予定された所定労働日数に応じた日数を付与します。例えば、基準日の週所定労働日数が3日であれば、所定労働日数3日に対する付与日数になります。年度の途中で所定労働日数が変更されたとしても、その年度の年次有給休暇の日数は変更されません。

Q3 当社のパートタイマーの労働時間は、日によって異なります。長い日に取得するほうが短い日に取得するよりも賃金が高くなり、不公平が生じます。不公平が生じない方法はありませんか?


A3 平均賃金(下記①)または健康保険の標準報酬日額(下記③)を選択すれば、取得日による不公平は生じません

 年次有給休暇を取得したときは、次のいずれかの方法で賃金を計算することになっています。
①平均賃金
②所定労働時間労働した場合の通常の賃金
③健康保険の標準報酬日額(過半数代表者との労使協定が必要)

②を選択した場合は、次の方法で計算します(時間給制の場合)。

  時間給額×その日の所定労働時間数  


 貴社では、②を選択していると思われます。この方法を選択すると、所定労働時間数が長い日に取得するほうが、短い日に取得するより賃金が高くなってしまいます。
 もし、①平均賃金や③健康保険の標準報酬日額を選択すると、所定労働時間の違いによるこのような不都合は生じません。
 いずれの方法で支払うのかを就業規則などに定める必要があります。

 
※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2013年5月にご紹介したものです。


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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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