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新任担当者のための労働法セミナー [2014.05.26]

第25回 年次有給休暇(1) 付与基準と日数(労働基準法39条1、2、8項)


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 年次有給休暇は、入社後いつから取得できますか?


A1 入社後6カ月を経過した時に、8割以上出勤していれば権利が付与されます


 年次有給休暇は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力を維持することを目的に、賃金を払いながら労働を免除する休暇です。
 雇い入れ日から6カ月経過したときに、全労働日の8割以上出勤している場合に10日の権利が発生します。それ以降は、1年ごとに前1年間の出勤率が8割以上である場合に[図表1]のとおりの日数の権利が発生します。

[図表1]通常の労働者(パートタイム労働者以外)の年次有給休暇の付与日数

勤続年数 6カ月 1年
6カ月
2年
6カ月
3年
6カ月
4年
6カ月
5年
6カ月
6年
6カ月以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 この要件は、毎年基準日において前1年間の出勤率で判断します。ある年度の出勤率が8割に満たないために権利が発生しない場合でも、翌年度の出勤率が8割以上であれば、勤続年数に応じた日数が付与されます[図表2]

[図表2]出勤率と年休付与

【解説】

■出勤率は、所定労働日に対する出勤日で計算する

 出勤率は、次の式で計算します。
  出勤した日 ÷ 全労働日  
 この場合の「全労働日」とは、労働義務のある日、つまり所定労働日をいいます。例えば、パートタイマーなどで月・水・金曜日出勤と定めている場合は、その日が所定労働日です。会社都合の休業や休日労働した日は含みません。

■産前産後休業などは出勤したものとして計算する

 出勤率を計算する上での「出勤した日」は、全労働日のうち現実に出勤した日で、休日労働した日は含みません[図表3]。また、1日の労働時間の長さとは関係なく、労働日を単位とします。パートタイマーなどで1日の所定労働時間が短い場合でも1日として計算します。また、遅刻や早退など所定労働日の一部を就労しなかった場合でも、欠勤として計算することはできません。
 業務上の傷病による休業期間、育児休業期間、介護休業期間、産前産後休業、年次有給休暇を取得した日は出勤したものとして計算しなければなりません(平6.1.4 基発1、平11.3.31 基発168)。

[図表3]出勤率の計算方法


■権利は2年で消滅する

 年次有給休暇を取得しなければ、権利は2年で時効によって消滅します。
 年休の取得時に、新規発生分から取得すると、次年度に繰り越す残日数が少なくなります。そのため、新規発生分と繰り越し分のいずれから取得するかによって、使える日数が違ってきます。
 新規発生分と繰り越し分のどちらから取得するかは、労働基準法に定めはなく、就業規則や労働協約に定めがあればそれに従います。そうした定めもない場合は、会社が任意に決めることができますが、一般的には繰り越し年休分から先に取得するところが多いでしょう。

■基準日を統一すると事務処理は簡便だが会社の負担が大きい

 労働基準法に定める年次有給休暇付与は、労働者の入社日ごとに、その6カ月到達日に年次有給休暇を付与する「個別管理」を原則としています。個別管理の事務処理の労力を軽くするために、年1回、または年2回など、基準日を統一する方法があります。
 この方法は、次のいずれも満たす場合に認められています(平6.1.4 基発1)。
①法定の基準日以前に付与する場合、出勤率の計算では、短縮した期間は全期間出勤したものとみなすこと
②次年度以降の付与日についても、繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日よりも繰り上げること

 基準日を統一する場合には、必ず法律を上回る取り扱いをしなければなりません。そのため、次年度分を前倒しで付与することになり、結果として法律よりもかなり多い日数を付与することになります。
 例えば、10月1日を基準日にした場合には、3月1日入社者には、入社7カ月で21日の年次有給休暇を付与することになります[図表4]

[図表4]入社6カ月後に法定どおりの日数を付与し、その後到来する
     基準日(10月1日)で統一する場合の例


 なお、年次有給休暇の消滅時効は、2年とされています。基準日を統一する場合の時効についても、2年に変わりなく、取得可能となった時点を起算日とします(平6.5.31 基発330)。

■有給が義務付けられているのは年次有給休暇だけ

 年次有給休暇は、労働者が働かなくても給料を支払わなければならない休暇です。法律で「有給(給料を払う)」が義務づけられている休暇は、この年次有給休暇だけです[図表5]
 産前産後休業や育児休業などは、要件を満たせば休ませることが義務づけられていますが、「有給」が義務づけられているものではありません。
 また、結婚休暇や忌引休暇、誕生日休暇などは法律で定められたものではないので、制度を設けない、または設けたとしても無給扱いとしても問題はありません。

[図表5]法定の休暇と法定外の休暇

区分 区分
(法律によって必ず与えなければならない休暇
区分
(会社が任意的、恩恵的に与える休暇)
有給扱い 年次有給休暇
無給扱い
(有給扱いが義務づけられていないもの)
産前産後休業
育児休業
介護休業
看護休暇
生理休暇
通院休暇
公民権の行使に基づく休暇
有給休暇のうち法律を上回る部分
結婚休暇
忌引休暇
アニバーサリー休暇
リフレッシュ休暇
ボランティア休暇   など


《復習&応用問題》

Q2 病気のために休職し、その後復帰しました。休職に入る前に、年次有給休暇をすべて消化しましたが、いつから使えるようになりますか?


A2 次の基準日で前1年間の出勤率が8割以上であれば、権利が発生します

 もし、次に到来する基準日の前1年間の出勤率が8割未満であれば、その次の基準日まで年次有給休暇は使えません。同様に、毎年の基準日で前1年間の出勤率が8割以上の年に権利が発生します。

Q3 1勤務が2日にわたる交替勤務制で働く場合の年次有給休暇取得時の日数の計算方法を教えてください


A3 暦日単位で付与することが原則です

 年次有給休暇は、暦日単位(午前0時~午後12時)で付与することが原則になっています。ただし、8時間3交替制勤務の場合や常夜勤の場合などは、継続する24時間を1労働日として扱います。

Q4 年次有給休暇に関する法違反には、罰則があります。すべての日数を消化させなければ罰せられるということでしょうか?


A4 労働者から取得日の指定がなければ、取得させなかったとしても罰則の適用はありません

 年次有給休暇に対する違反には、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則があります(労働基準法119条)。
 この罰則は、すべての年次有給休暇を消化させることを会社に義務づけたものではなく、労働者の年次有給休暇取得の申し出に対して、年次有給休暇を与えない場合に適用されます。例えば、正当な理由なく時季の変更を求めて取得させなかった場合や、正当な理由なく労働者が指定した日に出勤を命じた場合、または取得した日の賃金を減額した場合などが考えられます。
 会社から取得するよう働きかけたり、取得できなかったために被った不利益を会社が補てんする義務はありません。
 なお、この罰則は、実際に行為を行った者と、罰金刑については事業主にも適用されます。

 
※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2013年4月にご紹介したものです。


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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