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新任担当者のための労働法セミナー [2014.04.22]

第24回 退職


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 退職勧奨とは、何ですか?


A1 会社が働きかけた退職に関し、労働者が合意するものです


 これまで、解雇について説明してきました。解雇とは、労働者の意思とは関係なく、会社が一方的に労働契約を終了するものです。そのため、これに納得できない労働者が、労働組合に駆け込んだり、解雇撤回を求めて労働審判を起こすケースなども増えています。解雇は、将来のトラブルの火種になる可能性があることを認識する必要があります。
 これに対し、退職勧奨は、会社が退職の働きかけをし、労働者が合意するものです。解雇とは異なり、合意した上で退職しているのですから、トラブルに発展することは少ないと考えてよいでしょう。ただし、労働者が合意するかどうかは自由なので、会社が強制したり、執拗(しつよう)に勧奨してはいけません。
 もし、労働者が退職勧奨に合意したら、労働者の意思表示である「退職届」を受け取るようにします。
 なお、退職勧奨は解雇ではありませんので、第20回で説明した、解雇における「30日前の予告または30 日分の解雇予告手当」は、必要ありません。


【解説】

■退職の形態はいろいろある

 労働契約を終了する形態を整理すると、[図表1]のようになります。

 [図表1]労働関係を終了する形態


■定年は60歳、継続雇用は65歳(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律8条、9条)

 現在、定年は60歳以上と定められています。また、65歳未満の定年を定めている場合は、次のいずれかの措置を講じなければなりません。定年は退職の一つであり、定めがある会社は、就業規則に記載しなければなりません。自社の就業規則がどうなっているか、確かめてみましょう。
 ①65歳までの定年の引き上げ
 ②継続雇用制度の導入
 ・勤務延長制度…定年年齢に達した後、退職することなく引き続き雇用する制度
 ・再雇用制度…定年年齢に達した後、いったん退職扱いとし、再び雇用する制度
 ③定年の定めの廃止
 これまで、継続雇用制度の対象者の基準を定め、労働者の過半数代表者と労使協定を締結して対象者を限定することができました。平成25年4月1日からは、法改正によりこの制度が廃止され、対象者を限定することができず、全員を対象にすることになります(経過措置あり)。

■休職期間満了は解雇ではない

 病気やケガなどで休職した場合、その期間が満了すると「退職」とするケースと、「解雇」とするケースがあり、会社の就業規則の定めに従います。
 就業規則に「退職」と定めてあれば、退職として扱うことは問題ありません。

■失業保険受給における自己都合退職と会社都合退職の違い

 失業保険の受給では、自己都合退職と会社都合退職により、取り扱いが下記(1)~(3)のように大きく異なります。支給内容では、会社都合退職のほうが有利であるため、労働者から「解雇扱いにしてほしい」と申し出されることもありますが、先に説明したとおり、解雇は会社による一方的な労働契約の終了であるため、将来のリスクを考えるとこうした申し出に応じることは避けるべきです。
 なお、解雇の場合でも、懲戒解雇のケースは自己都合退職と同様に扱われます。また、退職勧奨は解雇と同様に会社都合退職の扱いとなります。

(1)給付制限

 自己都合退職の場合は、3カ月間の給付制限の期間は受給することができませんが、会社都合退職の場合は、3カ月間を待たずにすぐに受給を開始することができます[図表2]

 [図表2]失業保険受給の流れ


(2)給付日数
 自己都合退職と会社都合退職では、 失業保険を受給できる給付日数が異なります[図表3]
 
 [図表3]失業保険を受給できる給付日数


(3)受給資格
 自己都合退職の場合は、離職日以前2年間に、11日以上賃金支払基礎日数がある月が12カ月以上必要ですが、会社都合の場合は、6カ月以上必要です(65歳未満で退職した場合)。つまり、入社後6カ月程度の労働者の場合は、退職した理由によって、失業保険を受給できるかどうかが違ってきます。


《復習&応用問題》

Q2 失業保険受給で有利になるのであれば、できるだけ会社都合扱いにしてあげるほうが親切だと思いますが、いかがでしょうか?


A2 会社都合退職にすることで、会社は助成金を受給できなくなることがあります

 解雇や退職勧奨などの会社都合による退職は、労働者が失業保険を受給するには有利ですが、会社は助成金を受給できなくなることがあります。
 例えば、60歳以上65歳未満の人をハローワーク等の紹介で雇い入れると1人当たり90万円(大企業は50万円)受給できます(特定就職困難者雇用開発助成金)。この助成金は、雇い入れの前後6カ月以内に会社都合による退職者を出していると、受給できません。
 また、今年新たに創設された若者チャレンジ奨励金は、訓練奨励金として1人1月当たり15万円、加えて正社員転換をした場合に100万円を受給できるものです。これらの助成金にも同様に、会社都合による退職者を出している場合は一定期間受給できないという要件があります。
 助成金には、このような要件があるものが多く、注意が必要です。
 ここでいう退職理由は、失業保険手続きでの「離職理由」がどうなっているかが問題になります。

 
※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2013年3月にご紹介したものです。


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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』『あなたの年金これで安心!―受け取る金額がすぐ分かる』(以上、成美堂出版)など。


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