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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2013.04.26]

[25] 『雇用法改正―人事・労務はこう変わる』

 

(安西 愈  日経文庫 2013年2月)


 平成24年に改正された三つの労働関係の法律について、弁護士として労働分野の第一者である著者が、それらの改正によって企業の人事労務はどう変わるのか、人材活用や雇用のリスク管理はどうすべきであるかという観点から、それぞれの法改正の背景やその具体的内容、実務対応の在り方を解説した本です。

 三つの改正法の第1は労働契約法であり、有期労働契約を5年を超えて継続更新した場合における、無期雇用転換申込制度を定めました。第2は労働者派遣法であり、日雇い派遣の禁止、派遣先の1年以内の離職労働者の派遣禁止などが定められました。第3は高年齢者雇用安定法であり、老齢厚生年金の支給年齢の引き上げに伴い、「65歳までの高年齢者雇用確保措置」が義務化され、継続雇用の対象者を労使協定による基準で定める制度が廃止されました。

 この順に沿って、解説をしていますが、とりわけ改正労働契約法については、無期雇用転換のほかに、有期労働雇止め法理、期間労働者への不合理な労働条件の禁止のそれぞれについても単独で1章を割き、丁寧な解説がされています。

 例えば「無期転換申込みの手続」について、「無期転換申込みは契約期間満了前1カ月前までに行わなければならない」といった制限を設けることは、使用者が雇止めする際の予告期間として定められている「少なくとも30日前」とのパラレルな関係からみて、「合理的であろうと解します」と書かれています。

 また、「更新5年の期間満了をもって、雇用契約は終了する」との雇用の定めが有効であるかについては、労働契約は使用者と労働者の合意により成立するものであるから、合意された雇用期間の終了は有効であるとしています。ただし、当初から契約の趣旨に従い、例えば契約期間が1年ごとであるなら、その都度更新について労使間で協議して、きちんと有期労働契約を締結し、「更新5年まで」ということを明白にしておく必要があるとのこと。労働者に対し、最長更新の限度を超える合理的期待を発生させるような言動をしたり、さらに5年を超えて更新したりすると、「5年の期間限定」の効力はまったくなくなるとしています。

 それでは、現在の有期雇用者に「5年まで」の更新制限をつけられるかという問題については、「更新日から5年を超える期間の更新は行わず、最終更新日の満了をもって終了する」旨の新たな契約条項に合意した場合は、その契約は有効となり、合意しなかった場合は、使用者としては、「雇止め」という方法をとるか、法的リスクを避けるため、一応は更新して、今後5年間の間に本人と協議を続け、最終更新日までに合意を得るという方法もあるとしています。

 以下、有期労働の雇止め法理がどのような場合に適用されるかといったことから、期間労働者への不合理な労働条件の禁止における「不合理な労働条件」とは何か、さらに、労働者派遣法の改正によって派遣先で必要となる対応や、高年齢者雇用安定法の改正への対応まで、いずれも実務に沿ってかなり突っ込んだ解説がされています。

 今回の労働契約法の改正は「雇用体系を混乱させる法改正」であるとするなど、著者らしい批判が織り込まれている点でも入門書の枠を超えていますが、それでも形態上は新書であり、しかも実務寄りに書かれているため、手元に置いて実務の参考にするのにも便利です。実務に役立てながら、法改正の意義と問題点をも知ることができる本――といったところでしょうか。お薦めです。

※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2013年4月にご紹介したものです
<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります

 

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒) 
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長 
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格 
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに) 
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント 
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」 
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント 
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格 
    
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員 
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員 
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー 

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