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新任担当者のための労働法セミナー [2013.06.18]

第14回 時間外労働、休日労働(2)〔労働基準法36条〕


下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

今回のクエスチョン

Q1 当社では急な受注を大量に受けることがあり、どうしても時間外協定の協定時間を超えてしまうことがあります。業務上やむを得ないことであり、協定時間を超えて働かせても構いませんか?


A1 協定した時間を超えて働かせることは法違反となります


 協定した時間を超えて働かせることは労基法違反となります。業務を減らすなどの対応ができず、やむを得ず超えそうな場合は、新たに協定し、届け出る必要があります。
 なお、時間外労働の上限として定められている限度時間(平成10年 労告154、詳細は第13回の解説を参照)を超えて時間外労働を行わなければならない「特別の事情」が生じた場合には、労使協定で特別条項を結べば、限度時間を超えて働かせることができます。

【解説】

■「特別の事情」により限度時間を超える場合は「特別条項付き協定」を締結する

 限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない「特別の事情」が生じた場合には、労使協定で特別条項を結べば、限度時間を超えて働かせることができます。この36協定を「特別条項付き協定」といいます。
 「特別の事情」は臨時的と認められるものでなければならず、単に繁忙というだけでは認められません[図表]

[図表]「特別の事情」の例

臨時的と認められるもの
 ○予算,決算業務
 ○ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
 ○納期のひっ迫
 ○大規模なクレームへの対応
 ○機械のトラブルへの対応
臨時的と認められないもの
 ○(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
 ○(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき
 ○(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき
 ○使用者が必要と認めるとき
 ○年間を通じて適用されることが明らかな事由



■年6回まで限度時間を超えることができる

 特別条項により限度時間を超えて延長する場合、それが認められる事情は「臨時的なもの」でなければなりません。「臨時的」とは、一時的または突発的に時間外労働をさせる必要のあるもので、限度時間を超える回数は「1年の半分を超えないもの(1カ月単位は6回まで、3カ月単位は2回まで)」とされています。
 なお、特別の延長時間の上限は定められていません。

■特別条項では記載する内容が決まっている

 特別条項付き協定では、協定すべき内容が決まっています。その内容を、36協定を締結する際に空いたところに記載するか、別紙を添付します。
 平成22年4月に労働基準法が改正されたことに伴い、限度時間を超える時間外労働をした場合の割増率を定めることになりました。また、その割増率については法定割増賃金率(2 割5 分以上)を超える率とするよう努めることとされています。

[記載すべき内容]
①原則としての延長時間(限度時間以内の時間)
②限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情
③特別条項を適用するに当たっての労使の手続き
④延長時間(限度時間を超える時間)
⑤限度時間を超えることのできる回数
⑥限度時間を超える場合の割増賃金率

【記載例】
 一定期間についての延長時間は、1カ月45時間、1年360時間とする。ただし、通常の生産量を大幅に超える受注が集中し、特に納期がひっ迫したときは、労使の協議を経て、1カ月60時間、1年500時間までこれを延長することができる。この場合、1カ月の延長時間が45時間を超える回数は、6回までとする。
 この場合の割増賃金率は、1カ月45時間を超えた場合は30%、1年360時間を超えた場合は35%とする。


■36協定は重要視されている

 厚生労働省は、過労死や、過重労働による脳・心臓疾患の発症などが増えていることを問題視しています。「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平18.3.17基発0317008)の中には、過重労働を排除する必要性や、36協定における限度時間の遵守の徹底などが盛り込まれており、36協定を重要視していることが分かります。
 現実に、筆者の経験では、労働者から長時間労働や割増賃金不払いの申告があったときや、労働基準監督署の調査があったとき、36協定は必ずチェックされ、法違反等を指摘されることが多いものです。違反の具体的な内容としては、協定時間を超えていたり、協定した回数を超えているなどが多くみられます。


《復習&応用問題》

Q2 36協定を超えてはいけないことは分かりますが、現実には超えないよう気を付けておくことは簡単ではありません。やり方についてアドバイスしてください


A2 時間外労働が一定時間や一定の回数になったらチェック機能が働くようシステム化するとよいでしょう

 人事担当者としては、このような指摘を受けないよう、以下のように日ごろからチェック機能を働かせておく必要があります。
○1カ月の時間外労働が一定の時間を超えたら部門長に注意を促す
○1年の時間外労働が一定の時間を超えたら部門長に注意を促す
○限度時間を超えた回数が1年に4~5回に達したら部門長に注意を促す


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2012年5月に掲載したものです


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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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