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新任担当者のための労働法セミナー [2013.03.04]

第10回 労働時間に関する適用除外

 

下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士



今回のクエスチョン

Q1 管理職には割増賃金を支払う必要はないと聞きました。当社では、課長以上を管理職として、割増賃金を支払っていませんが、問題はありますか?


A1 法規定の適用が除外される「管理監督者」は、名称ではなく、実態により判断されます


 労働基準法41条2号では、「管理監督者」は労働時間等に関する法律の規定を除外すると定められています。ただし、この特例が適用される範囲は通達で定められており、該当しない場合は原則どおり割増賃金を払う必要があります。また、「管理監督者」であっても、深夜労働に関する規定の適用は除外されないため、午後10時から翌午前5時までの間に働いた場合は、37条の定めにより深夜割増賃金を支払う必要があります。
 「管理監督者」かどうかは名称でなく、実態によって判断されます(次の解説をご参照ください)。

【解説】

■管理監督者の判断基準(昭22.9.13発基17、昭63.3.14基発150)

 管理監督者かどうかは、次の基準により判断されます。

原則:部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者であり、名称でなく、実態によって判断されます。
ポイント:
(1)職務内容
職務内容は、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要なものであること
(2)責任と権限
重要な責任と権限を委ねられている必要がある。自らの裁量で決定できる権限が少なく、多くの事項について上司に決裁を仰ぐ必要があったり、上司の命令を部下に伝達するにすぎない者は対象外
(3)勤務態様
「何時から何時まで在社する必要がある」というように、労働時間について、厳格な管理をされている場合は対象外
(4)賃金等の待遇
基本給、役職手当、ボーナス等が地位にふさわしく、一般労働者よりも優遇されている必要がある。少なくとも、割増賃金以上の役職手当が支給されているなどの優遇措置が必要


■店長の場合の判断基準(平20.9.9基発0909001)

 小売業、飲食業チェーン店の店長の場合は、さらに具体的な判断基準が通達で出されています(『労政時報』第3737号-08.11.14参照)。
 次の権限がないことは管理監督者と認められない判断要素の一つになります(その逆に、これに当てはまらないからといって、即座に管理監督者として認められるということではありません)。

(1)職務内容、責任と権限
・アルバイト・パート等の採用、解雇の権限がない
・部下の人事考課(制度がある場合)の権限がない
・勤務割表の作成、時間外労働の命令の権限がない
(2)勤務態様
・遅刻、早退等による不利益な取り扱いがある
・営業時間中は常駐しなければならない等、労働時間に関する裁量がない
・一般労働者と同様の労働時間の規制が大半を占める
(3)賃金等の待遇
・割増賃金を払わないことを考慮すると、実際の労働時間数からみて、基本給、役職手当等が十分でない
・賃金総額が他店舗を含めた一般労働者と同程度以下である
・1時間当たりの賃金額がアルバイト、パートタイマー等のものに満たない。特に最低賃金に満たない場合は管理監督者性を否定する重要な要素になる


《復習&応用問題》

Q2 管理監督者から年次有給休暇を取りたいという申し出がありました。管理職であれば、年次有給休暇は関係ないと思うのですが。


A2 管理監督者でも、年次有給休暇の法律は除外されません

 法律上除外されるものと、されないものを簡単に[図表1]にまとめました。

[図表1] 労働時間・休憩・休日に関する規定のうち、「管理監督者」への適用が
       除外されるものとされないもの

除外されるもの除外されないもの
 ・労働時間(時間外労働割増賃金)
 ・休憩
 ・休日(休日労働割増賃金)
 ・深夜業(深夜労働割増賃金)
 ・年次有給休暇
 ・長時間労働による医師の面接指導など健康管理
  の措置

 

Q3 管理監督者のほかには、労働時間等の法律が除外される者として、どのような労働者がありますか? 

 
A3 機密の事務を取り扱う者や、監視または断続的労働に従事する者が該当します(労働基準法41条2、3号)

 例えば、秘書などが経営者や管理監督者の活動と一体的に勤務するため、厳格な労働時間管理になじまない場合、医師、看護師が宿直勤務する場合で、軽度かつ短時間の業務だけである場合などがこれに当たります[図表2]後者の場合は、労働基準監督署の許可を受ければ管理監督者と同様に労働時間等の規定が除外されます。
 このほか、農業、水産業に従事する者も除外されます。

[図表2] 管理監督者以外の適用除外

区分除外が認められた例除外が認められない例
 機密の事務を
 取り扱う者
 (41条2号)
・秘書(職務が経営者または管理監督者と一体的であり、厳格な労働時間管理がなじまない者) 
 監視または
 断続的労働

 (41条3号)
・修繕係(通常の業務は閑散だが事故に備えて待機するもの)
・寄宿舎の賄人(作業時間と手待時間折半程度まで。ただし、実働合計8時間まで)
・役員専属運転手(労働時間の半分以上は仕事がなく待っている状態)
・警備業務(身体の疲労、緊張が少なく、危険でない場所であるなど厳密な要件に該当する場合)
・宿直、日直勤務(ほとんど労働の必要がない勤務で、要件に該当する場合)
・交通関係の監視、車両誘導を行う駐車場の監視など精神的緊張の高い業務
・プラント等の計器類を常態として監視する業務
・危険または有害な場所での業務
・断続労働と通常の労働が一日の中で混在する業務
・タクシー運転手
・新聞配達員

[注]上記のうち「監視または断続的労働」の適用除外には所轄労働基準監督署長の許可が必要。


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2012年1月に掲載したものです


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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●労働時間、解雇、賃金など、問題となりがちな項目について、労働基準法の定め・取り扱い等を図解入りで解説

 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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