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新任担当者のための労働法セミナー [2013.02.06]

第9回 企画業務型裁量労働制

 

下山智恵子
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士



今回のクエスチョン

Q1 企画業務型裁量労働制の特徴を教えてください


A1 事業の運営に関する企画、立案、調査、分析の業務に限定された「ホワイトカラーの裁量労働制」です


 具体的には、経営企画、人事・労務、財務・経理、営業企画などの企画・立案等の業務が対象になります[図表1]。ただし、これらの部署でも単なる事務作業や補助的な業務は対象になりません。
 制度の特徴は専門業務型裁量労働制と同様に、現実に何時間働いたかにかかわらず、あらかじめ定めた時間を働いたものとみなすものです。また、深夜労働や休日労働は「みなし」から除外されていることも専門業務型と同様です。

【解説】

■労働者の意思が尊重される

 企画業務型裁量労働制も、専門業務型と同様に、業務の性質上、その進め方について大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があり、遂行の手段および時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしない業務に限定されています。
 この制度が、専門業務型裁量労働制やそれ以外の制度と大きく異なる点は、対象となる労働者の個別の同意を得なければならないことです。希望しない労働者に対し、会社が一方的に制度を適用することはできません。また、同意しなかった労働者に解雇その他の不利益な取り扱いをすることはできません(後述する「労使委員会」の決議事項として定められています)。
 専門業務型裁量労働制との相違点は、[図表2]のとおりです。




■制度導入には煩雑な手続きを経る必要がある

 企画業務型裁量労働制を導入するには、労使双方を代表する委員で構成する労使委員会を設置し、出席している委員の5分の4以上の同意を得なければなりません。また、制度導入後も労働基準監督署へ定期的な報告が必要です。
 制度実施までの流れは[図表3]のとおりです。専門業務型裁量労働制が労使協定の締結・届け出で実施できたことに比べ、手続きは煩雑です。




《復習&応用問題》

Q2 裁量労働制の対象者の中には、かなり長時間労働になっている者がいます。業務の遂行方法を労働者に任せていますので、長時間労働になっていることについて会社の責任が問われることはないと考えてよいですか?


A2 裁量労働制であっても、安全配慮義務を免れるものではありません。在社時間等の勤務状況も把握する必要があります

 裁量労働制は、業務の遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだね、使用者は具体的な指示をしません。しかし、企画業務型裁量労働制を適用される労働者の適正な労働条件を確保するため旧労働省が示した指針では、「使用者は、このために対象労働者について、労働者の生命、身体及び健康を危険から保護すべき義務(いわゆる安全配慮義務)を免れるものではないことに留意することが必要である」(平11.12.27 労告149)とされており、会社はその責任を免れるものではありません。
 裁量労働制は、労働時間の把握義務の対象外とされていますが、健康・福祉確保措置として勤務状況を把握することが義務づけられています。これらにより、使用者は勤務状況を把握したうえで、必要な措置を講じる必要があります。
 なお、使用者が勤務状況を把握する方法として、前掲の旧労働省指針では「いかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったか等を明らかにし得る出退勤時刻又は入退室時刻の記録等によるものであること」としています。

Q3 労使委員会とは、どのようなものですか? 

 
A3 労使の代表で構成され、当該事業場の労働条件について調査審議し、事業主に対して意見を述べることを目的とします

 労使委員会は、「賃金、労働時間その他の労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対して意見を述べること」を目的とするもので、次の要件を満たす必要があります(労働基準法38条の4第2項、同施行規則24条の2の4)。
(1)委員の半数については、労働者の過半数を代表する者(過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合)により任期を定めて指名されていること
(2)議事録を作成し、3年間保存し、労働者に周知すること
(3)労使委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項に関する規程が定められていること


※本記事は、人事専門資料誌「労政時報」の購読者限定サイト『WEB労政時報』にて2011年12月に掲載したものです


こんなときどうする? Q&Aでわかる! 労働基準法
  特定社会保険労務士 下山智恵子 著/労務行政
  A5判・256頁・1,782円

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 第1章  労働基準法とは?
 第2章 「労働時間」の基本を押さえる
 第3章 「賃金」の基本を押さえる
 第4章 「休暇・休業」の基本を押さえる
 第5章 「妊娠~出産~育児関連、年少者」の基本を押さえる
 第6章 「退職・解雇」の基本を押さえる
 第7章 「労働契約・就業規則」の基本を押さえる

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下山智恵子 しもやまちえこ
インプルーブ社会保険労務士事務所 代表 特定社会保険労務士

 大手メーカー人事部を経て、1998年に下山社会保険労務士事務所を設立。以来、労働問題の解決や就業規則作成、賃金評価制度策定等に取り組んできた。 2004年には、人事労務のコンサルティングと給与計算アウトソーシング会社である(株)インプルーブ労務コンサルティングを設立。法律や判例を踏まえたうえで、 企業の業種・業態に合わせた実用的なコンサルティングを行っている。著書に、『労働基準法がよくわかる本』『もらえる年金が本当にわかる本』(以上、成美堂出版)など。


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