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人事パーソン要チェック! 新刊ホンネ書評 [2012.11.13]

[15] 『人件費・要員管理の教科書 (労政時報選書)』


(高原暢恭 労務行政 2012年8月)



 人件費・要員管理について書かれたこれまでの本は、本書の前書きにもその指摘があるように、もっぱら管理会計の視点から技術的な解説をしたものが多いように思われます。しかし、実務者の側からすると、実際には管理会計以外の要素が絡んでくることも多いと感じられるのではないでしょうか。

 例えば、企業として今どのような仕事に取り組むことが重要であるのか、あるいは、今の業績を維持しようとするとどれぐらいの業務量をこなさないといけないのか、また、現在その業務は本当にムリ・ムダなく最適に遂行されているのか、といったことも考えるべき要素に含まれるでしょう。

 どれを取っても結論を出すのが難しいものですが、著者はそうしたことを踏まえ、スピードが求められる現在の企業経営は、経営者の“大局観”に基づく判断が大事であるとしています。

 そして、要員計画策定と総額人件費管理において、正しい“大局観”を持ち、的確な判断を行うためには、「戦略アプローチ」「財務アプローチ」「業務アプローチ」という三つのアプローチの、それぞれの基本と組み合わせの必要性を理解し、管理技術を身に付けることが肝要であるとしています。

 「戦略アプローチ」とは、会社の投資を考えて、経営判断によって決定していくアプローチ。「財務アプローチ」とは、きちんと利益が出るようにするために要員を算出するアプローチ。そして「業務アプローチ」とは、発生する業務量をしっかりこなしていけるためのアプローチを指します。

 本書は、これらの管理技術の解説に主眼を置き、人件費・要員計画の策定の基礎から応用までを分かりやすく解説しています。各アプローチの解説に入る前に、「適正要員数と適正人件費算定の基本」等についても解説していますが、そこでは管理会計の専門的な技術解説には深入りせず、後半の三つのアプローチについての理解の助けとなるレベルにとどめています。

 管理会計に偏らずに、複合的な視野に立って解説されているのが良いですし、また、基本解説および各アプローチ解説において、常に事例を掲げながら説明しており、一冊の“例題集”を仕上げたような読後感でしたが、結局、このスタイルが一番飲み込みやすいのかもしれません(本書購入者は、現状分析から計画策定、将来予測までの各種エクセルツールをウェブからダウンロードすることも可能)。

 ここで言う“大局観”とは、単なる経験に基づく“ヤマ勘”を指すのではなく(もちろん経験も大事だが)、複合的な管理技術に裏付けされたそれであるということになるのでしょう。“大局観”を“センス”という言葉に置き換えれば、“技術あってのセンス”ということになるのではないかと。

 経営者の頭の中にあるイメージレベルも含めれば、ほとんどの会社が要員管理・人件費管理は行っていると思われますが、例えば、本書で言うところの「業務アプローチ」において、どこまで突き詰めて管理しているかというと、心もとなくなる会社もあるのではないでしょうか。

 人事パーソンにとってもこうした“大局観”を養うことは重要なことであると思われ、本書を読むことが自身の啓発だけでなく、自社の要員管理・人件費管理の在り方を見直すことにつながるかもしれません。お薦めの一冊です。

<本書籍の書評マップ&評価> 下の画像をクリックすると拡大表示になります


※本記事は人事専門資料誌「労政時報」の購読会員サイト『WEB労政時報』で2012年10月にご紹介したものです

【本欄 執筆者紹介】
 和田泰明 わだ やすあき

 和田人事企画事務所 人事・賃金コンサルタント、社会保険労務士

1981年 中堅広告代理店に入社(早稲田大学第一文学部卒)
1987年 同社人事部へ配転
1995年 同社人事部長
1999年 社会保険労務士試験合格、2000年 行政書士試験合格
2001年 広告代理店を退職、同社顧問(独立人事コンサルタントに)
2002年 日本マンパワー認定人事コンサルタント
2003年 社会保険労務士開業登録(13030300号)「和田人事企画事務所」
2004年 NPO生涯教育認定キャリア・コンサルタント
2006年 特定社会保険労務士試験(紛争解決手続代理業務試験)合格
   
1994-1995年 日経連職務分析センター(現日本経団連人事賃金センター)「年俸制研究部会」委員
2006年- 中央職業能力開発協会「ビジネス・キャリア検定試験問題[人事・人材開発部門]」策定委員
2009年 早稲田大学オープン教育センター「企業法務概論」ゲストスピーカー

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