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『日本人事』特別企画 「私の視点―これからの日本・ヒト・人事」 [2012.10.24]

第4回 豊田 建


修羅場の経験と、さまざまな本を読むことで
自分を高める

豊田 建 とよだ けん
富士通株式会社 人事労政部 人材採用センター センター長

1986年富士通株式会社入社、川崎工場にて勤労業務、本社人事部にて採用業務を経て1999年SE部門の人事課長、㈱富士通鳥取システムエンジニアリングへ出向。2000年営業部門の人事課長、2002年㈱FFC(現 ㈱富士通アドバンストエンジニアリング)へ出向し総務・人事・秘書等を担当。2009年6月より現職。


1.昔先輩から言われた“人事の大切なこと”

 まず『日本人事』を読んで感じたのは、人事の先輩方が会社を問わず人事パーソンの後輩へ託すメッセージそのものだな、ということです。思えば若い頃、先輩方から酒席などでこのようなお話をよくお聞きしました。
 私は26年間人事業務に携わっていますが、人事の仕事では「どのような価値観に基づいて考え、どのような思いを持って実行するかが重要」ということがようやくここ数年で分かるようになりました。この本では、久しぶりに人事の先輩方にお会いできたような気がして嬉しくて、それぞれの皆さんがおっしゃっている事を書き出して、自分が大切にしている「価値観」と「思い」に照らし合わせてみました。

2.「人事は経営者の思いを形にする仕事」

 NEC 秋山裕和氏の「小林宏治社長が『社長の仕事の半分は人事』と言われた」、福武書店 金代健次郎氏の「目に見えない経営の志、経営理念を実現させること」という言葉には大変共感いたしました。以前、ある先輩から「10人の町工場が30人の規模になると社長は外から営業部長を連れてくる。100人の規模になると技術部長を連れてくる。300人になると優秀な経理部長を連れてくるかもしれないが、人事部長は連れてこない。それは人事部長に価値がないからではなく、人事の仕事は最後まで社長の頭の中にあり手放さないものだからだ」という話を聞いたことがあります。お二人のお話から、経営者の思いを常に探りながら、社員の状況を把握し、いかに素晴らしい会社にしていくかを考えるのが人事の仕事だということを改めて確認しました。
 規模の大きな企業の人事パーソンは、若い頃はともすると大きな全体の中の一部にしか関われず、経営を意識する機会が少なくなりがちです。その点でアサヒビール 丸山高見氏がおっしゃる「人事パーソンのキャリアでは、ずっと本社にいるより違う環境で働く期間を持つべき」というご意見はその通りだと思います。私自身も、丸山氏とはとても比較になりませんが、2回グループ会社で勤務した経験がありますが、その時に「経営はまさに人事。自分がこれまで学んできた事は役に立つのだ」と確認することができました。

3.「人事も新たなことを生み出してこそ価値がある」

 ソニー 桐原保法氏の「ソニーは毎年新製品を出す。だから人事も新しい制度を開発しなければいけない。人事はソフトウェアだから常にバージョンアップが必要」、花王 北原正敏氏の「what’s new? この仕事は何が新しいの? と常に問いかける」という考えにもとても共感しました。人事の仕事は継続性を重んじるあまり、ともすると制度の運用を行うことで仕事をした気になってしまう恐れがありますが、会社が世の中の変化に対応し勝っていくためには、人事部門も新たなものを生み出すことこそが求められます。
 私は入社当時、営業希望でしたから、若い頃は「営業の同期はお客様に新たなコンピュータシステムを買っていただき、世の中に新たな価値を提供できているのに、自分は何の価値を生んでいるんだろうか」と思い悩んだことがありました。そんな時、先輩から「いつか新しいことをやれる風が吹く、その日に備えてどれだけ蓄えて、吹いた風を捉えられる帆を作っておけるかが勝負だ」と言われたことがあります。新しいことは無から突然生まれませんから、私もこのことを後輩に伝えるようにしています。
 私は現在、採用を担当していますが、採用は1年ごとにリセットし新しいことがやりやすい仕事です。また、自社の理屈で施策を作っても、学生からそっぽを向かれては何もなりませんので、マーケットをにらんで良い人材を獲得するために、いかに新たな施策を生み出していけるかを肝に銘じています。

4.「現場主義」「勤めてよかったと思われる会社にする」で自戒

 セイコーインスツル 石田由美子氏が大切さを説かれる「現場主義」。昔の人事部長は、日がな新聞を読んでいるようで時々スッといなくなることがありましたが、あれは職場へふらっと顔を出し、社員が今どんな状況なのか、何を考えているのかなどを感じ取りに行っていたのだと思います。今、自分自身がこういうことをできているかと改めて自戒しました。
 また、堀場製作所 野崎治子氏や、江崎グリコ 北山 登氏が言われる「定年退職する社員がこの会社に勤めて本当によかったと思われる会社にするのが目標」というのはまったくその通りだと思いました。私が担当する採用という仕事も、採用の現場でどんなに知恵を絞るよりも、最終的に社員がみなそう思えるような会社になれば、放っておいても優秀な人材が志望してくれるのではないかと考えさせられました。
 そのほか、東洋エンジニアリング 遠藤勝巳氏の「人事は10年やれば権力に近づき、視野が狭くなる」、アフラック 湯本壬喜枝氏の「人事は好かれる必要はないが、尊敬されなければいけない」、テイクアンドギブ・ニーズ 桐山大介氏の「人事はノブレス・オブリージュたれ」、新日鉄ソリューションズ 中澤二朗氏の「高質な議論の場と問いかけで人事パーソンは育つ。それは上司の教養にかかっている」、トヨタ自動車 吉貴寛良氏が紹介された同社 畑 隆司氏の有名な「人事は愛!」など、珠玉の言葉に思わず背筋が伸びる思いがしました。

5.修羅場の経験と、さまざまな本を読むことで自分を高める

 人事の仕事はどのような価値観に基づいて考え、どのような思いを持って実行するかに
よって大きく左右される仕事だと思います。そのためいろいろな経験を通じて、自分自身を成長させることを意識してほしいと思います。人事パーソンに限らず、ビジネスパーソンはみな厳しい仕事の修羅場を経験することで、一皮むけて大きく成長するものです。
 私自身の人事パーソンとして残された時間は10年余りですが、この本を読んで、残りの時間で何をやり、何を伝えていくべきかを考えることができました。まだ十分な時間のある若手の皆さんは、修羅場を恐れず飛び込んで、それでも足りない経験はさまざまな本を読むことで先人から借りて補って、自分を高めていくことを心掛けてほしいと思います。

 



日本人事 NIPPON JINJI―人事のプロから働く人たちへ。
時代を生き抜くメッセージ

内容紹介
 この本には、大手企業の人事部長・役員が入社以来経験してきた悪戦苦闘の半生が描かれている。困難な問題に直面し、時には組織の不条理さにとまどい、悩み、もがき苦しみながら突破した壮絶な経験を綴っている。
 そこにはビジネスパーソンとして生きる貴重な教訓が含まれている。一つは“サラリーマン”という枠組みを超え、自分を磨き、自己実現を図るにはどうすればよいのか。もう一つは管理者として部下や同僚をやる気にさせるノウハウ。また、上級幹部なら社員を戦力化し、経営目標の実現を図るための人事戦略の極意を知ることができる。実体験に基づいた生の迫力に、読者が惹きつけられることは間違いないだろう。

労務行政研究所 編 取材・文 齊籐智文/溝上憲文 A5判・336頁・1890円(労務行政)

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