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企業がEAPを活用するコツ [2011.09.13]

第5回 人事労務担当者や管理職からの相談(2) ~実際の利用例とEAPカウンセラーの機能~

亀田 高志 かめだ たかし

株式会社産業医大ソリューションズ 代表取締役社長・医師

人事労務担当者や管理職からの相談サービスの実際

前回に引き続き、人事労務担当者や管理職からの相談のサービスを説明するが、現実的なイメージを持っていただくため、仮のケースとともに、その活用例を紹介しよう。


<ある管理職からの相談> ~職場で離席の目立つ社員が出た場合~

離籍の目立つ若手社員がいます。離席せずに仕事に集中するように指示しても改善がみられません。それだけではなく、彼は命じられた仕事ができず、さらには、自分に聞こえるように同僚や先輩が悪口を言っていて、落ち着いて仕事ができないと繰り返し申し立ててきます。もちろん、本人の行動が奇異なので、他の部下が違和感を抱きながらその社員を見ていることは否定しません。しかし、あからさまに悪口を言っているとは思えません。上司として対応方法が分からずに困っています。

<ステップ1>本件の対応に関して、この管理職がEAPカウンセラーに相談したところ、次のような指摘と助言を受けた。

 まず確認するべきこと
▼病気の側面(職場のメンタルヘルスでは疾病性(しっぺいせい)と呼ぶ)
  •  頻回の離席という行動や悪口を言われているという被害妄想による可能性がある。その場合、統合失調症のような病気の可能性があり、専門的な治療を必要とする可能性がある。
▼事例性の側面
  •  離席
  •  個人の仕事ができないこと
  •  同僚たちへの心理的な影響
  •  統合失調症だと仮定した場合、進行した結果、自らを傷づけるような事象の起きる可能性

※事例性とは、職場で起きている問題のこと。詳しくは前回記事をご覧ください。

▼会社責任の確認
  •  不適切な行動が目立つ経緯において、過重労働の期間がないか、職場のいじめや嫌がらせを契機としていないかという点
▼職務適性の確認
  •  行動が目立つ前までは(例えば、配属当初)、本人の仕事ぶりはよかったか、もともと現在の業務に向いているかという点
▼プライベートな情報の確認
  •  家族関係
    ※特に病院での受診の付き添い、もしも療養となった場合の家族のサポートの有無はどうなのかという点
 連携・体制づくり
▼人事担当者との話し合いの場の設定
▼相談者の上司(例えば、上級管理職)への報告
▼産業医との連携
  •  産業医との面接や紹介状を書いてもらえそうな日程を確認する。

<ステップ2>次にこの管理職は、指摘・助言を踏まえて、本人・家族へのアプローチを行った

 本人へのアプローチ
▼離席を理由に指導を繰り返し、そのことから、EAPカウンセラーに、相談に乗ってもらうように説得する。
(EAPカウンセラーより、その場合の理由は悪口や上司としての違和感ではなく、仕事に集中できていない点を挙げてみてはどうかと提案があった)
▼本人の面接の予約と面接に成功したら、まず、情報の取り扱いについて、本人と合意する。
  •  EAPカウンセラーは、守秘義務を守る。
  •  ただし、会社の援助や上司の許可が必要な場合、本人の心身の問題が重大な場合には同意の上で、会社側に伝えること
  •  面接の際には何らかのの病気の有無の大まかな評価を行ったり、本人を取り巻く環境や過去からの問題の存在等を確認する。
▼面接後、管理職と人事労務担当者に問題のあるなしと事後対応を(本人の同意を前提として)報告する
 家族へのアプローチ
▼受診などの必要性が出てきたら、人事労務担当者とともに連携のために家族への連絡を行う。
  •  家族の心情に配慮し、統合失調症かもしれないなどといきなり言わない。
  •  家族の中に同様の問題を抱えた人がいるかもしれないことを考慮する。
  •  家族で本人が頼ることのできるキーパーソンを確保する。

この一連の経過を通して、管理職や人事担当者の相談に対して、EAPカウンセラーがどう対応するか具体的なイメージを持っていただけたかと思う。

EAPカウンセラーの機能

このケースにおけるEAPカウンセラーの対応は、以下の五つの機能に分かれている。

  1. 1) 管理職への助言
  2. 2) 本人の評価
  3. 3) 本人の問題解決のための戦略立て
    体制づくり、連携の構築を含む ~(場合によって)産業医や精神科医との連携
  4. 4) 本人の問題解決の実行
  5. 5) 管理職(人事労務担当者)への報告

その中で管理職や人事担当者は、回り道せずに事例性の解消に向かっていくことができる。

もちろん、EAPカウンセラーに対応の丸投げはできないが、EAPカウンセラーをまじえることで、問題の分析と対策の計画と実行という、職場での他の業務と同様の流れができていることが分かる。

従業員からの匿名での任意の相談とは違って、この管理職や人事労務担当者からの相談への対応サービスは、職場でのニーズに直接、合致したものである。また、リスクと労働損失や職場の生産性の影響の軽減にも確実に役立つ。

次回は、このようなサービスをEAP機関と契約する場合の注意点を説明する。

写真:亀田 高志さん

Profile

亀田 高志 かめだ たかし

株式会社産業医大ソリューションズ 代表取締役社長・医師
1991年産業医科大学医学部卒業後、NKK(現JFEスチール)や日本アイ・ビー・エム(株)で計11年間、専属産業医の実務に従事。2005年に産業医科大学産業医実務研修センター講師となり、2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。
職場の健康管理対策、特にメンタルヘルス対策を専門とし、現在は、企業に対するコンサルティングサービスと研修講師を手がけている。メンタルヘルス相談機関であるEAP(従業員支援プログラム)の活用やゆとり世代等の若手問題の防止やその育成にも詳しい。


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