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[2011.07.12]

治安悪化を理由に海外出張を拒否する社員を懲戒処分にできますか?


A 治安悪化を理由として海外出張命令を拒否しても、懲戒処分を科すことはできません。

先述のとおり、就業規則等において海外出張命令に関する規定が存在している場合などについては、それを根拠に海外出張命令を出すことができますが、当該出張命令権の行使が権利の濫用として判断されることになれば、それは無効となります。
危険海域に出張を命じた出張命令を拒否した労働者に対し、無効と判断して例として「電電公社千代田丸事件」(参考資料①)があります。

海外出張に限らず、使用者には安全配慮義務(参考資料②)があり、労働者が労務提供を行うに当たって予想される危険に対して万全の対策を講じなければならないことはいうまでもありませんが、出張先における治安状況等、その危険が具体的なものとして認識されるのであれば、安全対策は一つの要素にすぎず、業務上の必要性や危険時における措置、現地情勢の十分な把握などに努め、労働者に個別の同意を得たうえで出張を命じるべきであり、仮に労働者が治安状況の悪化を理由として当該出張命令を拒否したとしても、正当な理由があると考えられ、出張拒否を理由とした懲戒処分を科すことは許されないと考えます。

<参考資料>
①電電公社千代田丸事件(最高裁三小 昭43.12.24判決)
昭和31年、電電公社は、米軍の要請で朝鮮海峡の李ラインの向こう側で故障した海底電線の修理に赴くよう公社の敷設船千代田丸に指示。同海域は前年に韓国軍から「撃沈声明」が発せられ、現実に敷設船が狙撃される事件が起こるなど、同船が被撃その他の危害を受けるおそれが客観的に存在する状況であった。
公社は、米軍艦艇による護衛を伴ってこの海域に海底電線敷設に行くことを命じたが、当時の全電通本社支部が出航拒否を指令。このため幹部3人が公共企業体等労働関係法17条(争議行為の禁止規定)に違反するとして解雇された事案。
最高裁は「現実に米海軍艦艇による護衛が付されたこと自体、この危険が単なる想像上のものでないことを端的に物語るものといわなければならず(中略)、この危険が具体的なものとして当事者間に意識されていたからにほかならないというべきであり(中略)、米海軍艦艇の護衛が付されることによる安全措置が講じられたにせよ、これが必ずしも十全といい得ないことは実弾射撃演習との遭遇によっても知られうるところであり、かような危険は、労使の双方がいかに万全の配慮をしたとしても、なお避け難い軍事上のものであって、海底線敷設船たる千代田丸乗組員の本来予想すべき海上作業に伴う危険の類いではなく、またその危険の度合いが必ずしも大でないとしても、なお、労働契約の当事者たる千代田丸乗組員において、その意に反して義務の強制を余儀なくされるものとは断じ難いところである」とし、「上告人(編注:労働者)らが千代田丸の本件出航を一時阻害したというだけの理由によってされた本件解雇は、妥当性・合理性を欠き、被上告人(編注:公社)に認められた合理的な裁量権の範囲を著しく逸脱したものとして、無効と解すべき」としている。

②労働契約法第5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。


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