[2010.12.02]
労働者からの退職の意思表示は、口頭でも有効となるのでしょうか。
A 退職の意思表示について、法律で定められた形式はありませんので、口頭やメールでも可能です。
1.退職の意思の通知
労働者が退職の意思表示を使用者に対して行う場合、それが、真に本人の意思によるものでなければならないのは当然ですが、退職の意思を通知する手段、方法に関しては、法律に規定があるわけではありません。もちろん、就業規則等で、「退職する場合、事由を明記した退職願を提出し、会社の承認を得なければならない」といったように、退職の意思表示の通知方法について定めておくことは問題ありません。
ただし、この場合でも労働者には退職の自由がありますので、労働者の退職の意思表示が会社に到達してから2週間経過した時点で、退職を拒否することはできなくなります(民法627条1項)。
2.口頭による退職意思の通知
意思表示は、口頭によってなされたものであっても法律上は有効です。よって退職の意思を口頭で通知すれば、それで効力を生じます。しかし、後に退職の意思表示の有無について紛争が生じた際に、「言った」「言わない」といった類の問題が生じる可能性があることから、退職の意思の確認は、書面で行うことが望ましいでしょう。
労働者から口頭で退職の意思表示がなされた場合は、別途書面の提出を求めるか、もしくは労働者から退職の意思表示がなされたことを確認する書面を会社側で作成し、本人の署名押印を得ておくことが、後日の紛争発生を予防するポイントとなります。
3.メールによる退職の意思の通知
退職の意思表示がメールによってなされたとしても、原則としてその意思表示は有効です。しかしメールは、たとえ本人のパソコンから本人名で送付されたものであっても、技術的には第三者が本人に代わって作成、送付、改竄等が可能ですから、後で労働者からの退職の意思表示の有無をめぐって紛争となったときに、信頼性がやや低くなります。可能な限り書面での意思の確認を行うことが望ましいでしょう。
http://profile.allabout.co.jp/pf/honda/
労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!
労務行政eラーニング 詳しくはこちら禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る