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[2010.12.02]

労働者の合意を得ずに、出向を命じることは可能ですか。


A 就業規則等に、労働者の利益に配慮した出向に関する規定が置かれている場合は可能です。

1.就業規則等における出向規定の効力

使用者が労働者の個別同意を得て出向を命じる場合は、出向命令は当然有効となります。
これに対し労働者の個別同意を得ずに出向を命じる場合、その効力が問題となります。まず、「労働者の承諾その他これを法律上正当づける特段の根拠」なくして労働者に出向を命じることはできません(参考資料①)。この場合の「承諾その他の根拠」ですが、必ずしも労働者との個別同意だけでなく、就業規則や労働協約の規定(参考資料②)、入社時の包括的同意(将来的な出向可能性も含めた同意)でも認められます(参考資料③)。
しかし、暗黙の了解(黙示の合意)があるだけでは弱く、少なくとも労働協約や就業規則に明文の規定が置かれているか、労働契約締結時に明示的に合意したという明確な根拠が必要と考えるべきでしょう。

2.就業規則等の根拠規定

出向を命じる根拠(就業規則、労働協約等)については、「出向を命じる場合がある」等のように、包括的・一般的な規定の仕方でも特に問題はないと考えられます。ただし、出向者の立場に立てば、勤務先が変わり、賃金などの労働条件も変わります。将来キャリアの面で不利益が生じる可能性も否定できません。そうすると、出向中の労働者の地位、賃金、手当等の労働条件について、労働者の利益に配慮した規定がなされていることが望ましいと考えられます。
裁判例においても、こうした規定が整備されているかを、出向命令の有効性の判断要素として重視する傾向にあるようです(参考資料④)。
なお、就業規則等に根拠があるからといって、使用者はいかなる出向も命じられるわけではありません。労働契約法(参考資料⑤)では、「出向の必要性」や「対象労働者の選定」等で問題があれば、出向命令権の濫用として出向命令が無効になると定めています。出向命令の必要性に比べ、命令を受ける労働者の不利益が大きすぎるような出向命令は許されないということです。

<参考資料>
①日立電子事件(東京地裁 昭41.3.31決定)
②興和事件(名古屋地裁 昭55.3.26判決)
③日東タイヤ事件(最高裁二小 昭48.10.19判決)
④新日本製鐵(日鐵運輸第二)事件(最高裁二小 平15.4.18判決)
⑤労働契約法14条:使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。

回答者:本田和盛 社会保険労務士(あした葉経営労務研究所 代表)
http://profile.allabout.co.jp/pf/honda/

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