jin-jour(ジンジュール) |人材育成、リーダーシップ、モチベーション、メンタルヘルス対策など 人事の視点から、働く人と会社の関係を元気にする情報を発信

ログイン
MENU

メニュー

×

人事コンサルティング業界の現状と活用のポイント [2012.03.01]

コンサルティングのプロセス


 一般の製造業やサービス業と比べ、コンサルティング業というのは「分かりにくい」とよく言われる。いままでコンサルタントを雇ったことのない方は、「いきなり高額なフィーを請求されるのではないか」とか、「何がどう進むのか分からない」といった不透明感を感じられるかもしれない。
 そうした敷居の高さを少しでも和らげるために、コンサルタントに電話やメールで問い合わせをすると、その後何がどうなっていくのか――そのプロセスをひととおり紹介しよう[図表3]。

【1】提案

 コンサルティング・ファームに問い合わせをすると、電話なりメールなりでニーズの概要を聞かれた後、「それでは一度お会いして、詳しいお話を聞かせてください」と言われる。そして打ち合わせの面談が持たれる。この段階でフィーが発生することは、まずない。
 打ち合わせでは、電話やメールで話した内容の確認と、さらに詳しい会社の状況や課題の説明が求められる。もちろん、顧客としては、このファームが信頼できるのか、十分な能力を持っているのかなどを見極めたいから、例えば類似ケースに関する過去の実績などを聞いたりするだろう。ちなみにこうした初期段階での打ち合わせに、ファームから出てくる人には2種類があり得る。コン

図表3 コンサルティングのプロセス

サルタントか、コンサルティング・ファームの営業担当者かである。このどちらが出てくるかはファームによって異なる。
 そして、大体1~2回こうした打ち合わせを経ると、コンサルタント(または営業担当者)から、「それでは次回に、ご提案書を用意して参ります」と言われる。この提案書というのが、プロジェクトの企画書であり、フィーの見積書である。顧客の側からの提案書のチェックポイントは後述するが、顧客のニーズや制約条件をきちんと満たしているかどうかを見て、必要なら提案を修正してもらう。そして、両者が合意に達することができたら、プロジェクトがスタートする。

【2】プロジェクト実施

 内容にもよるが、人事コンサルティングのプロジェクトは顧客常駐型で行われることは少ない。大体コンサルタントは数社を掛け持ちしていることが多い。これは一般的なITコンサルティングや戦略コンサルティングなどと異なる特色だ(無論、ITや戦略のコンサルティングでも、常駐型でない場合もある)。これは主にはプロジェクトの規模(すなわち金額規模)が、比較的大きくないことも影響している。ITや戦略のプロジェクトであれば金額規模は相当なものとなるから、プロジェクト・メンバーはフルタイムでそれにかかわることが可能だし、またそれが求められる。しかし、例えば税理士や社会保険労務士などは、常に数十社の顧客を抱えて仕事をしている。それらに比べると、人事コンサルタントはその中間と思っていただければイメージしやすいだろう。
 プロジェクト・チームは一般的には数名だ。小さなプロジェクトなら1名ということもあるだろうし、大きなプロジェクトでも10名を超えるのは珍しい。そして、この人数がプロジェクトの山や谷(繁閑)に応じて増減したり、プロジェクトの段階が変わるとメンバーが入れ替わったりすることもある。もちろん、プロジェクトを率いるリーダー格のコンサルタントは最初から最後まで同一人物だ。
 プロジェクトを遂行するうえでは、顧客の参加も重要となる。内容と規模によって、どれだけ顧客側の担当者の負担が大きくなるかはケース・バイ・ケースだ。例えば、コンサルタントが作業など一切を行うのであれば、顧客は定期的に進捗報告を受け、方向性の確認や修正をすればよい。それであれば、顧客側の負担というのはほとんどなくて済む。逆に作業など大方を顧客自身が行い、コンサルタントはアドバイスのみ提供するという形にするなら、期間中はプロジェクトに専念できる人手を社内で確保する必要が出てくる。

【3】アフターフォロー

 例えば、人事制度を変えるなどというプロジェクトの場合、プロジェクト期間は数カ月といったところだろう。コンサルティングは主に制度設計が中心となる。しかし、人事制度は導入した後が肝心であることは、いまさら言うまでもない。うまく機能して定着してこその新制度なのだから。それでは、制度設計が終わってから、コンサルタントはどこまでアフターフォローをしてくれるのか。
 一般的には、制度設計だけでなく、導入時およびその後のフォローもするというのが最近の傾向だ。例えば、導入時のコミュニケーション支援である。社員に対する分かりやすい説明資料を用意するとか、納得感を高めるような説明の仕方を準備するとか、中には制度導入の説明会に同席するなどということもある。
 また、評価制度の変更であれば、制度導入の後に、いまは必ずといってよいほど評価者研修を行う。社員が納得する評価ができるかどうかのカギは、制度のメカニズムが半分、運用する評価者の能力が半分を占めるからだ。そして、この評価者研修を定期的に行う会社も多い。さらに、社員一人ひとりが正しい目標を設定できるよう、コーチングを行うこともある。日本でも目標管理制度の導入が進んだが、目標管理がうまく運用できるかどうかは、実は目標が正しく設定できるかによって大半が決まるといってもよい。そして、標準的な目標管理制度では、一人ひとりが目標を設定するので、“目標の品質管理”が必要となってくるのである。
 こうしたアフターフォローは、当初の契約に含まれていなければ、原則として有料だ。したがって、顧客としては「ここまで頼みたい」という希望があれば、あらかじめコンサルタントにフォロー活動の見積もりをしてもらい、予算を確保しておくべきだろう。それでは無料で頼める範囲はどこまでかというと、ファームによって方針は違うだろうが、一般的には設計された制度の中身についての質問くらいは、フィーを取らずに対応してくれることが多い。
 制度以外のサービスでも原則は同じで、何か作業が伴う場合や、まとまった時間を取られる場合には、大抵追加のフィーが発生する。そうではなくて、例えばプロジェクト終了後しばらく経って、顧客担当のコンサルティング・マネジャーなどが顧客満足の確認に来た場合などは、ちょっとしたアドバイスをもらっても無料で済むことが多い。

舞田竜宣
まいた たつのぶ  
組織コンサルタント/多摩大学大学院 客員教授

 東京大学経済学部卒業。組織行動変革の専門コンサルタント会社を経て、マーサーおよびヒューイット・アソシエイツ(現・エーオンヒューイットジャパン)でグローバルな人事・組織コンサルティングを行う。ヒューイット・アソシエイツ日本法人社長などを経て現職。日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事。著書に『社員が惚れる会社のつくり方』(日本実業出版社)、『行動分析学マネジメント』(日本経済新聞出版社)、『10年後の人事』(日本経団連出版)、『18歳から読む就「勝」本』(C&R研究所、共著)など、監修書籍として『人事労務用語辞典[第7版]』(日本経団連出版)がある。


労務管理、人事評価、ハラスメント対応など充実のコース!

労務行政eラーニング 詳しくはこちら

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

ログイン

×

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品