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現役ヘッドハンターが指南する“デキる社員”はここが違う 【佐藤文男】 [2011.11.15]

“デキる社員”はここが違うケーススタディ(7)-新規事業の立ち上げを突然任されてしまった場合


現役ヘッドハンターが指南する“デキる社員”はここが違う(14)
佐藤文男 さとうふみお
佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役

今回は新規事業の立ち上げを突然任されてしまった場合を考察します。突然の辞令で新規事業の立ち上げを任されたり、あるいは赤字続きの関連会社の再生を託されたりすることは少なくありません。特にリーマンショック後、業績の低迷からなかなか抜け出せない企業においては、事業の立て直しとして新規事業への進出、あるいは赤字の関連会社(支社・支店)の再生が急務となっています。
新規事業や赤字の関連会社の再生を任されるケースは、おそらく今後は珍しいことではなくなると想定されます。果たして、そういう状況に遭遇した場合にピンチ(左遷)と捉えるのか、あるいはチャンス(機会)と捉えるのかでビジネスパーソンの人生は大きく変わってきます。それでは、そんな辞令を受けた場合にはどう受け止めて行動すべきかを考えてみましょう。

■突然、アジア進出プロジェクトのリーダーに!

Nさんは、ある上場している大手流通・小売業の会社に勤務する30代半ばのビジネスパーソンで、経営企画部の課長です。

同期で一番早く課長になったこともあり、将来の役員候補と目されています。20代の頃に営業で実績を上げ、30歳過ぎに同期のトップバッターとして課長に抜てき、2年前から経営企画の課長を任されています。5名いる部下の中には自分よりも年上の先輩もいますが、非常に課の雰囲気もよく、さらに上司である部長のOさんとの連携もうまくいっており、充実した日々を送っていました。

ところが突然、Eコマースでのアジア進出プロジェクトの推進リーダーに、との打診がO部長からありました。確かにその案件が取締役会で決定したことは把握していましたが、Eコマースに対する実務経験や知識があまりないNさんにとっては、まさに寝耳に水であり、「いよいよ自分も左遷か。せっかく積み上げてきた出世階段もとうとう終わりか」と考え込んでしまいました。

「自分よりも、情報システムに詳しい同期のPさんのほうが適任ではないか」と思い、O部長にあらためて人選に関して確認したところ、「取締役会で今回のプロジェクトの旗振り役(リーダー)としてNさんの名前が出ました。取締役会ではNさんへの辞令がほぼ決定している」とのことでした。

さて、Nさんが“デキる社員”であるならば、この状況をどう受け止め、行動すべきでしょうか?

■リスクを取らなければ、可能性を広げることはできない

会社(組織)に勤務する限りにおいて、ビジネスパーソンとして時には納得しがたい辞令が出る場合もあります。

今回のNさんのように急に新規事業のリーダーを任された場合には、結果的にうまくいけばよいものの、成功する確率はおしなべて高くはないという先入観も手伝って、“左遷”のイメージがつきまといがちです。赤字会社の立て直しを命じられた場合にも、一般的には本社からの片道切符で、将来的に本社に戻ってこられないようなイメージに映るかもしれません。

しかしながら、いまや新たな事業を任されたり、赤字会社の再生を託されたりしたら、自分にとって大きなチャンスの到来と前向きに受け止めるべきでしょう。日本では人口が減少し、今後の経済の先行きが不透明な状況下で、新規事業への進出や赤字会社の再生を経験できることは、むしろ自分自身にとってキャリアアップのための大きな通過点と考えるべきでしょう。

うまくいくという誰からの保障もなく、結果によっては自らの評価を下げることになりかねない大きなリスクがあるのは事実です。しかしながら、あえて“火中の栗を拾う”行動は、将来かじ取りがより難しくなる企業(組織)のマネジメントに役立つことは間違いありません。今の時代、「リスクを取らなければ自らの可能性を広げることはできない」と考えるべきでしょう。

■巡ってきた機会をチャンスと捉えて、一歩前に踏み出す

それでは、Nさんはどう対処したのでしょうか?

割り切れない思いがあったのは事実ですが、今回のアジア進出プロジェクト案件を潔く引き受けました。既に取締役会でもほぼ決定されている辞令ですし、Nさんは前向きに気持ちを切り替えてリーダーを引き受けることを決意しました。

その上で、上司のO部長を通じて、リーダーを引き受ける以上、何とか成功させるために、同期で情報システムに造詣の深いPさんのプロジェクト入りの人事異動をお願いしました。もちろん事前に同期のPさんに了解を取り付けての行動です。リーダーとして事業を推進する上で、参謀役としてPさんのプロジェクト入りは必須であるとNさんは考えたのです。幸いPさんの人事異動はスムーズに進んで、二人三脚でプロジェクトを推進することとなりました。

Nさんは、今回のアジア進出プロジェクトの案件を引き受けた時点で、成功をもたらすべく組織固めに着手したわけです。その後、プロジェクトは順調に推移して3年目で黒字転換をしたそうです。Nさんの思い切った決断と最初の組織固めが功を奏したといえましょう。

基本的にビジネスの世界において辞令はそう簡単に断ることはできません。それがわかっていても、特に新規事業への進出、赤字会社の立て直し等は“もしも失敗してしまったらマイナス評価につながる”という思いが先立つために、一般的には遠慮したい辞令であるのかもしれません。しかしながら、これをチャンスと捉えて前向きに進むことができるならば、今の時代においては将来に向けた重要なキャリアアップにつながることは間違いないでしょう。

失敗を恐れずにチャレンジすることで、自分の可能性が広がっていくのです。失敗しても、それはそれで重要な経験となり、自らの糧になります。失敗から学んで次につなげていけばよいのです。もしもあなたの前にこうした辞令が来たならば、絶好の機会と受け止め、一歩前に踏み出しましょう。会社としても、そうしたミッションを与える限りは、あなたの活躍に大きな期待をしているのです。

profile 佐藤文男 佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役
一橋大学法学部を卒業後、総合商社、外資系証券会社、メーカーといった異業種においてキャリアを積み1997年に人材サーチ(ヘッドハンティング)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。
著書は共著1冊を含め転職に関する本を12冊出版。 主な著書に『40歳からの転職術」(日経BP社)、『ヘッドハンティング・バイブル』『転職後、いい仕事ができる人の条件』(共に経済界刊)。2011年3月に『転職のバイブル2012年版』を経済界より出版。
佐藤人材・サーチ ホームページ: http://www.sato-jinzai.com/


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