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Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳【河下太志】 [2012.01.17]

恥ずかしくても受けておきたい「尿検査」―Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳(9)


Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳(9)
河下太志 かわしたふとし
リクルートグループ 統括産業医

健康診断は、身体測定と違って、身長や体重を測るだけではなく、血液を抜かれるなどの痛い思いをしたり、列に並んで胸部のレントゲンを撮ったりと、いろいろと面倒なことが起こります。そのような中でも、とりわけ不評なのが、尿検査です。慣れない手つきで、採尿し、それを恥ずかしい思いをしながら提出するために、いい思いはしないようです。

尿で何が分かるの?

尿検査では、尿タンパクと尿糖を調べます。

尿は、腎臓から尿管を通り、膀胱(ぼうこう)にたまり、尿道から体の外に出ますから、この検査は、基本的には、腎臓とその周囲の臓器(膀胱や前立腺など)の病気を調べています。

タンパク質は通常排出されませんが(健康診断結果では「-(マイナス)」と表示されます)、例えば、腎炎や膀胱炎、前立腺炎といった病気があると、尿タンパクが+以上になります。そして、尿タンパクの量が多いほど、プラスの数は多く表示されます(病院によって使用している検査器具メーカーが異なりますが、メーカーによっては、「-」~「4+」まで分かれます)。

また、糖尿病を患っている人の尿に糖が混ざるように、(腎臓以外の)体の中で起こっている病気のために、通常は尿に混じり得ない物質が混ざっていることがあります。だから、尿検査で異常が見つけることができるのです。

このように、尿検査で見つけることもできる病気は幅広く、例えば白血病や多発性骨髄腫で尿タンパクが+以上になったり、ホルモン系の異常で、尿糖が+以上になったりします。

では、この2つの検査を中心に、もう少し詳しく説明いたしましょう。

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尿タンパクについて

尿タンパクは、偽陽性(※)の多い検査です。大量にタンパクが出ているようなケースはあからさまに異常だと分かりますが、異常がなくてもタンパクが排出されることもあるからです。

(※)偽陽性:病気ではない、他の理由で、検査では異常値が示されること

腎臓という臓器は、血液を濾(こ)して、不要な老廃物を尿として、膀胱へ送る役割を担っています。もしも、腎臓における「ろ過機能」が完璧であれば、ろ過の過程で、タンパクは濾し出されず、膀胱へ送られることはあり得ません。しかし、割と簡単に、病気でなくても、尿にタンパクは混ざります。「尿タンパク陽性」=「腎臓ろ過機能の異常」=「かなり高い確率で病気」とは言えないのです。

例えば、(子供に多いのですが)起立性タンパク尿と言って、横になっているときは尿にタンパクが混入することはないものの、起立すると背骨が腎臓を圧迫し、タンパクを混入させる状態が医療従事者の間では知られています。このような場合、タンパクはごく微量流出してしまいますが、病気ではありません(これを防ぐために、子供の検尿は、朝一番尿を採るように言われているわけです)。

つまり、尿タンパク検査は、これまでいくつか説明してきた検査よりも、病気でない人まで“陽性”となってしまう頻度が高い点で、精度が劣ると言えます。この検査で異常があったとしても、本当に病気かどうか、判断するのは非常に難しいのです。

さて、次に、尿にタンパクが混入する原因を考えてみましょう。私たちの血液の中は、白血球や赤血球、血小板の血球成分の他に、血しょうという栄養素が含まれる混合成分があります。この血しょうに、たくさんタンパク質が含まれています。タンパク質は、生命維持活動に必須な栄養素ですから、尿に混入し、どんどん体外へ放出されるのは、非常にもったいないことです。だから、普通はあまり放出されません。しかし、逆に血液中の老廃物などは、尿でどんどん体外へ放出しなければなりませんから、腎臓でろ過し、タンパク質は体の中に残し、老廃物は尿に混ぜるという仕分けを行うのです。

ところが、以下の三つの原因から、尿にタンパク質が混ざることがあります。

(1) 体内でタンパク質が過剰な状態にあり、漏れ出てしまうため

例)多発性骨髄腫や白血病といった血液のがん など


(2) 腎臓のろ過機能の低下のため

例)腎炎や腎不全といった腎臓の病気 など


(3) 腎臓以降のどこか(尿管や膀胱など)でタンパクが漏れ出てしまうため

例)膀胱炎や前立腺炎といった腎臓より末梢(まっしょう)の組織の病気 など

原因別にみると、(1)の全身疾患、(2)の腎疾患、(3)の腎臓周囲疾患の可能性が考えられます。

尿タンパクで異常が出た時には、もちろん精密検査をした方がいいのです。ところが、冒頭に説明したように、とにかく偽陽性が多い検査ですので、精密検査をしたものの、実際は「異常なし」となることが多く、とかく「あてにならない検査」とのレッテルを貼られかねません。しかし、重大な病気が隠されている可能性がゼロではない以上、

よく尿タンパク陽性となる方でも、少なくとも、2年連続で尿タンパク陽性であれば、一度精密検査をしてみる必要があるでしょう

これまで尿タンパク陽性になったことがない方が、初めて尿タンパク陽性になったような場合には、一度精密検査をする必要があるでしょう。

という2点にはお気を付けください。

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尿糖について

尿糖検査も、尿タンパク検査ほどではないのですが、偽陽性の多い検査です。

タンパク同様、本来ならば尿に混入して、糖が体外に放出されるということは不自然なことなのですが、タンパクと同様の理由により、尿に混入し、体外に出てしまうことがあります。分類をしてみると、次のようになります。

(1) 体内で糖が過剰な状態にあり、漏れ出てしまうため

例)糖尿病、ホルモン系の疾患 など

(2) 腎臓のろ過機能の低下のため

例)慢性腎炎、腎性糖尿 など

(3) 腎臓以降のどこか(尿管や膀胱など)で糖が漏れ出てしまうため

例)基本的にはない

糖尿病であれば、血液で血糖やヘモグロビンA1Cなどを調べる方が、精度が高いと言えますし、罹患(りかん)頻度からいえば、ホルモン系の疾患などは低いと言っていいでしょう。そのため、現在では、尿糖検査の意義としては、糖尿病のスクリーニング検査の補助的役割となっているように感じます。

尿糖で陽性であった場合は、数年間の空腹時血糖が徐々に上がってきていないか、よく注意してみる必要があるでしょう。もし、空腹時血糖が、徐々に増加し、100を超えてきたら、糖尿病の精密検査をした方がいいでしょう。

『次回予告 ~心電図~』
突然死なるものは、その6割以上に、心臓が関わっていると言われています。心電図で、すべての心臓の異常が分かるわけではないものの、健康診断の検査項目の中では、生命に直結する疾患を見つける最も重要な検査といえるでしょう。次回は、この心電図を説明します。


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