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Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳【河下太志】 [2011.10.11]

高血圧のホント!?―Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳(2)


Dr.カワシタの誌上健康診断・心得帳(2)

河下太志 かわしたふとし
リクルートグループ 統括産業医

毎年、健康診断結果を目にして、「最近飲みすぎかなぁ・・・」「そろそろダイエットしてみるか・・・」などと考える人も多いことでしょう。

年齢とともに血管は、硬くなり、血圧は徐々に上がってきます。基本的には下がることはありません。人は、長く生きれば生きるだけ、高血圧のリスクが高くなってくるのです。

では、健康診断のときに「私はちょっと血圧が高めだから」とか「緊張するから血圧が上がる」などという声をよく聞きます。その血圧、本当のところはどうなのでしょうか?今回は『高血圧』をテーマに解説をしていきます。

『高血圧とは』
~勢いの良すぎるホースのイメージ~

そもそも血圧とは、何のことでしょう? 血圧は、『血管の圧力』のことです。

水巻きをしているホースの上を誤って踏んでしまったことはありませんか? このとき、ものすごい勢いで水が流れていれば、踏んでしまったホースは、あまり変形することなく、ホースの先端から水は出続けます。しかし、水の勢いが弱ければ、踏んだことでホースが変形し、水の流れが途絶してしまうことで、ホースの先端から水は出なくなります。このホースを血管、水を血液に見立てたときの、ホースにかかる圧力が血圧なのです。

この圧力が高い(=水の勢いがある or/and ホースが細いなど)と確かに水を遠くまで飛ばすことができるのですが、ホースに亀裂があれば、そこからホースが裂けるか、もしくは、ホースの中のゴミを吹き飛ばしてしまうかもしれません。血圧に言い直すと、高い方が血を体の隅々まで送れますが、あまりに高いと、血管が裂けたり、血管の中の何らかの塊を流し出して、細い血管を詰まらせたりと、大病につながってしまうということになります。

『高血圧の怖いところ』
~自覚症状なく、脳出血、心筋梗塞などを引き起こす~

高血圧が怖いのは、高血圧そのものでめったに自覚症状がないということです(まれに頭痛や動悸(どうき)などの自覚症状を認めることもあります)。自覚がないままに、血圧の高い状態が続くと、ホースである血管が裂けてしまい、脳内でそれが起きれば「脳出血」となります。あるいは、ホースの中のゴミ、つまり、血管内の血の塊(血栓)を飛ばし、別の血管を詰まらせ、例えば「心筋梗塞」や「脳梗塞」を起こしてしまうかもしれません。

高血圧の別名『サイレントキラー』は、ぎりぎりまで死の足音を感じさせないところから来ています。症状がないけれども、念のために測った血圧や、1年に一度の健康診断の機会に発見されることが非常に多い疾患のひとつです。

『血圧検査の意義』
~血圧は、脳・心疾患を減らすための重要なバロメーター~

健康診断に血圧測定が加わったことの意義は、脳・心疾患を減らすためです。そのためには、早く高血圧に気づき、早く血圧をコントロールすることが重要です。

しかし、高血圧は、何の症状もないので、この怖さを実感されることなく、治療されず、放置されることの多い疾患でもあります。

『基準値、危険値』
~同じ高血圧でも、危険度はこんなに違う!~

では、実際のところ、血圧はどれくらいで病院に行く必要があるかを説明しましょう。

血圧は、上が140mmHg、下が90mmHg、このどちらかが上回れば、高血圧症と診断されます。もう少し細かく分類すると、その中でも、軽症から重症までの3段階に分けられています(別表 成人における血圧値分類 参照)。

(別表)成人における血圧値分類(mmHg)

Ⅰ度の高血圧以上であれば、原則治療の対象になりますが、実際には、医療機関を受診したとしても、Ⅰ度程度の高血圧は、すぐに内服薬は処方されるわけではありません。それは、血圧値だけではなく、年齢・喫煙歴・他の疾患や検査(脳・心・腎・血管・眼底疾患・糖尿病・脂質・メタボ)・家族歴などを総合的に考えた上、まず、食事や運動をはじめとする生活習慣を改善して、しばらく様子を見るグループと、そんな悠長なことは言っていられないので、直ちに内服薬でコントロールを開始するグループに分類されます。そのため、すぐには治療とならず、「様子を見ましょう」となる人も多いのです。

では、Ⅱ度以上の高血圧に対して、おおよその次のようにいえます。

「Ⅱ度高血圧」=「上が160~179 mmHg、または下が100~109 mmHgのどちらか」

・・・「激しい運動や脱水状態は避けて!とにかく早急に病院に行ってほしいレベル」

「Ⅲ度高血圧」=「上が180 mmHg以上、または下が110 mmHg以上のどちらか」

・・・「いつ、どうなるか予測不能の超危険状態。明日ではなく、今すぐ病院に行ってほしいレベル」

もし私が、Ⅱ度以上の高血圧であれば、すぐにでも病院に行きます。

『よくあるケース』
~経過観察での気の緩みが重症化を引き起こす~

健康診断で、血圧値が『要治療』という判定結果であっても、先に述べたようにⅠ度程度の高血圧では、すぐに投薬治療とはならないため、医師から「食事と運動に気をつけて、しばらく家庭で血圧を測定してみたら?」といったアドバイスを受けることもよくあります。

しかし、このことを「なあんだ! 日常生活の中で気をつけていればいいのか!」くらいに軽く受け止める人が多いようです。こういった具合ですから、ほとんどの人が日常生活でなんら注意することもなく、結局、徐々に血圧が上昇していくのです。そして、よくある怖いケースが、数年後、生活習慣の改善でなんとかなるレベルではなくなり、『重症化した高血圧+合併症』という状態で発見されるケースです。

Ⅰ度程度の高血圧であったとしても、たとえ症状がなかったとしても、“サイレントキラー”を進行させないよう心掛けることが大切です。

『次回の予告 ~血糖値~』
健康診断で血圧でひっかかる方は、大概、血糖値も高いです。「糖尿病は、よく耳にする病気だけれど、死と直結するイメージはないし、まあ、そのうちダイエットするから大丈夫」などと考えていませんか?

次回は、本当の血糖値の見方をテーマにお話しします。

■河下太志Profile
リクルートグループ 統括産業医
平成13年産業医科大学 医学部医学科 卒業。現在、産業医科大学産業医実務研修センター非常勤助教、株式会社産業医大ソリューションズ チーフコンサルタントとしても活躍中。著書に、「メンタルヘルス対策の実務と法律【職場管理者編】」(SMBCコンサルティング 実務シリーズ)、「メンタルヘルス対策の実務と法律知識」(日本実業出版社 共著)がある。


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