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プロが語る 成果を上げる社員の条件【佐藤文男】
G&S Global Advisors Inc.社長 橘・フクシマ・咲江さん編
[2011.05.11]

G&S Global Advisors Inc.社長 橘・フクシマ・咲江さんが語る“デキる社員”の条件~コンサルティングには3つのスキルが必要(2/3)


各分野のプロが語る 成果を上げる社員の条件(14)

橘・フクシマ・咲江さん(2)

(G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)

インタビュアー:佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
文:千葉はるか(パンクロ)

各分野で活躍されている10人の方にご登場いただき、“デキる社員”にはどんな思考、行動様式が求められるのかに迫る本シリーズ。第5回のゲスト、G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長の橘・フクシマ・咲江さんは、MBA取得後も大きなキャリアチェンジが次々に訪れました。

大手金融機関からオファーをいただくも、「自分に合っているのはコンサルティング」と思うように

―MBA取得後、どのようなキャリアを積まれたのでしょうか。

はじめは年齢的にもすでに卒業時は37歳になりますし、金融業界に行くなら最後の機会だと考えていましたので、金融業界で働きたいと考えていました。当時はMBAが過大に評価されていた時代でしたから、ビジネス経験が浅く金融業界の実務経験がなくても、大手金融機関からのオファーを5社ほどいただきました。私の場合、日本人女性で当時30代後半ということもあり、「年齢を気にする日本企業を対象としたビジネスの場でも対応ができるだろう」という期待もあったように思います。

橘・フクシマ・咲江さん(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長)

コンサルティングは経験していましたので、戻るつもりはなかったのですが、仲の良かった同級生から「あなたに合っていると思う」と勧められたのが戦略系コンサルティング・ファームのベイン・アンド・カンパニーでした。それで「せっかくだから、とりあえず受けてみよう」と思って受けたところ、ベインからも正式にオファーをいただくことができたのです。

いったん、大手投資銀行に入ることを決めて、ベインの日本支社長に断りの電話を入れたのですが、話をするうちに「コンサルティングのほうが自分には合っているかもしれない」と思うようになりました。金融業界からの勧誘で何度も電話がかかったのですが、いつも「いかに金融のほうが稼げるか」という話が多く、お金の話をたくさん聞くことに少し疲れを感じていたのだと思います。そんな中、当時のベインのアメリカ人社長とマクロ経済について語り合うことができてほっとしたことを覚えています。

ベインでは、ボストンと日本で2年半働きました。土日も関係なく、ほとんど24時間仕事をしているような状態でしたが、いい仲間に恵まれて楽しかったですね。当時、仕事は非常に充実していたと思います。ところがある時、タクシー乗車中に追突事故に遭って、むち打ち症になってしまったのです。夜通しハードワークをこなすのが難しくなったため、いったん退職し、1年間ゆっくり身体を休めることにしました。夫は、当時、米国大統領府通商代表部に勤めていて、通商交渉に携わっており、遠距離結婚だったのですが、日本には、月に2~3回、日本政府との交渉のために来ていました。それが、民間に戻ることにしたので、日本に来る機会が減るとの話でした。そこで、アメリカに戻りました。

コンサルティングには、「仕事を取ってくる力」、分析力や戦略立案のスキル、「お客さまと良い関係性を築く力」の3つが必要

人財コンサルティング世界最大手のコーン・フェリー・インターナショナルから誘いを受けたのは、このころのことです。実は、ビジネス・スクールの就活時に金融業界とベインとどちらを選ぶべきか迷っていたころ、人材ビジネスを手掛けていた旧知の女性に私の適性をテストしてもらったことがあるんです。彼女は「あなたは投資銀行よりもコンサルティングファームのほうが向いている。けれど、最も適性があるのはエグゼクティブ・サーチの仕事」とアドバイスしてくれました。この時はコンサルタントの道を選んだわけですが、彼女の言葉は頭の隅に残っていたように思います。

―休養後、コーン・フェリー・インターナショナルに入って日本支社でエグゼクティブ・サーチの仕事を始められたわけですね。大きなキャリアチェンジといえますが、それまでのコンサルティングファームでの経験は活かされたのでしょうか?

コンサルタントとしての経験は、大変役に立ったと思います。

コンサルティングにおいては、3つのスキルが必要です。一つはビジネスディベロップメントスキル、つまり「仕事を取ってくる力」。2つめは分析力や戦略立案のスキル。そして3つめが、クライアント・マネジメント・スキルといわれる「お客さまと良い関係性を築く力」です。エグゼクティブ・サーチは、クライアント企業の戦略や経営課題に応じ、ニーズに合った優秀な人材を探し出して紹介するビジネスですが、必要なスキルを俯瞰すれば、コンサルタントに求められる3つのスキルのうちの2つめが「良い人材を探すこと」に置き換わるだけだと考えることもできます。

私はコンサルタントとして、クライアントの企業に、いかに付加価値を感じていただくかということが好きで、そのためか、クライアント対応のスキルを評価されていました。そのスキルは、エグゼクティブ・サーチでも同様に活かすことができるものだったようです。

もちろん、3つのスキルがすべてそろっていなければビジネスは回りません。この点、私は本当に良いクライアントに恵まれたと思います。また、人材を探す際は、クライアントの期待に応えるべくチームのメンバーがよく頑張ってくれました。そのおかげで、コンサルタントとしてアジアで一番の売り上げを上げるようになりました。お手伝いしたクライアントが、他のクライアントを紹介してくださり、クライアントが増えた結果でした。2年半でパートナーに昇格し、日本支社の社長になるまでアジアでトップの売り上げを維持することができました。

社長になってからも数年は、東京支社では最高の売り上げを上げていましたが、コンサルタントとしての仕事に加えて、支社の経営、本社の取締役、花王、ソニー等の社外取締役と仕事が増え、徐々にコンサルタントの仕事を減らし、外の仕事に重点を移していきました。

それが、昨年日本支社を退職し、アジア太平洋地区の最高顧問に就任し、サーチ以外の幅広いサービスを提供するために自分の会社G&S Global Advisors Inc.を立ち上げるきっかけとなりました。現在は会社同士の契約としてもらい、自由に活動しています。

社長になるため努力したわけではない。目の前のことを一生懸命コツコツやるうちに、巡り合わせに恵まれた

―コーン・フェリー米国本社取締役、日本支社社長、会長を歴任されています。女性としてこうしたキャリアを実現できた理由を、ご自身はどうお考えですか。

私自身は、仕事をするうえで自分が女性だという意識はあまり持っていないのです。また、キャリアについては「社長になるために努力した」というわけではありません。ただ目の前のことを一生懸命コツコツやっているうちに、巡り合わせに恵まれたのだと感じています。

エグゼクティブ・サーチは、24時間不安から脱却できない仕事だと思います。サインした後に「父親が亡くなって家業を継ぐことになった」「病気になった」といった理由で突然入社を取りやめる方もいましたし、企業側が買収されて話が流れてしまったこともありました。そういったさまざまな事態が起こり得る中で、企業側と候補者の方の期待値を一致させ、入社後に双方が「成功だった」と感じてくださるように力を尽くさなくてはなりません。常に必死で仕事に取り組んできましたから、気が休まることはありませんでした。

佐藤文男さん(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)

毎年「後1年で辞めよう」と考えながら、それでも20年近くも続けられたのは、この仕事ならではの喜びもまた大きかったからだと思います。エグゼクティブ・サーチを続けていると、クライアント企業や候補者の方にじっくりお話を伺う中でさまざまな業界について知識を得ることができ、それがどんどん深くなっていくのです。自分の経験がふくらんでいく楽しみは格別です。クライアントから「あの人を探してもらえたから今の会社がある」と言っていただいたり、転職された方が成功する姿を見たりするうれしさも、何物にも変え難いものがあります。

幸運だったのは、コーン・フェリーという会社に「男女の区別なく業績が良ければ評価する」という文化ができていたことです。私が入社する際は、創設者のリチャード・フェリーが、コーン・フェリーで女性初の取締役になった人の名前を挙げて「彼女の“日本版”になりなさい。君ならなれる」と言ってくれたのも励みになりました。仕事に邁進した結果、日本支社で好業績を上げることができたため、アメリカでの会合に出席するとだれもが私の名前を知っていてくれたのです。

profile  橘・フクシマ・咲江(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長)
清泉女子大学卒業。ハーバード大学大学院教育学修士課程修了。同大学で日本語講師を務めた後、ブラックストン・インターナショナルを経て、スタンフォード大学大学院経営修士課程修了。その後、1987年にベイン・アンド・カンパニー入社。1991年に世界最大手の人財コンサルティング会社コーン・フェリー・インターナショナルに入社。日本支社社長、会長を歴任する。2010年8月に同社アジア・パシフィック地域最高顧問に就任すると同時にG&S Global Advisors Inc.を設立し、代表取締役社長に就任。1995年よりコーン・フェリー米国本社の取締役を12年間務めたほか、花王、ソニー、ベネッセコーポレーション等で日本企業初の女性社外取締役を歴任。現在はブリヂストン、パルコの社外取締役を務めている。キャリアやコーポレート・ガバナンス等をテーマとして広く執筆・講演活動も行っており、『人財革命―あなたが組織に負けない「一流の人材」になるために』(祥伝社)、『売れる人材―エグゼクティブ・サーチの現場から』(日経BP社)、『40歳までの「売れるキャリア」の作り方』(講談社)等、多数の著書がある。夫はエアバス・ジャパン取締役会長のグレン・S・フクシマさん。

profile 佐藤文男(佐藤人材・サーチ株式会社 代表取締役)
一橋大学法学部を卒業後、総合商社、外資系証券会社、メーカーといった異業種においてキャリアを積み1997年に人材サーチ(ヘッドハンティング)ビジネスへ。2003年に佐藤人材・サーチを設立。
著書は共著1冊を含め転職に関する本を12冊出版。 主な著書に『40歳からの転職術」(日経BP社)、『ヘッドハンティング・バイブル』『転職後、いい仕事ができる人の条件』(共に経済界刊)。今年3月に『転職のバイブル2012年版』を経済界より出版。
佐藤人材・サーチ ホームページ: http://www.sato-jinzai.com/


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