会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術 【深田晶恵】 [2011.02.28]

給与明細の見方をマスターすることが貯め上手への第一歩!


会社の制度をトコトン活用する 賢いマネープラン術(3)
深田晶恵 ふかたあきえ
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役

勤務先から毎月受け取る給与明細、みなさんはちゃんとチェックしていますか? おそらく、「支給額(銀行への振込額)くらいは見ているけど……」という方が大半なのではないでしょうか。

私はファイナンシャルプランナーとして3000件以上の家計を見てきましたが、相談にいらっしゃる方に聞くと、みなさん口をそろえて「給与明細の読み方なんて、教わったことがない」と言います。記載されている項目の意味を知らないという人がほとんどなのです。しかし、給与明細は大切な情報の宝庫。「お金が貯まる人」になるためにも、給与明細の読み解き方をしっかり押さえておきましょう。

●支給と控除の関係を押さえましょう

まずは、おおまかな見方からご説明していきます。下の[図表1]を見てください。

図表1 給与明細の見方-支給と控除の関係

一般に給与明細は「支給」と「控除」に分かれています。
「支給」とは、基本給のほか各種手当などの項目の金額を足し合わせた分で、会社があなたに支払ったお金の総額。
「控除」とは、銀行振込の前に給料から差し引くもののことで、強制的に差し引かれるものと任意のものがあります。総支給額から総控除額を差し引くと、「差し引き支給額(銀行振込額)」になるわけです。

[図表1]の左側の「総支給額」が「額面」のお給料ですが、では、いわゆる「手取額」はどこを見ればいいのでしょうか?
「手取額=銀行に振り込まれる額」と思っている方が多いのですが、実際は、任意で給与天引きしている保険料や財形貯蓄なども手取額の一部(図表2)。自分の手取額を把握するには、給与明細に基づいて「銀行振込額」と「任意で天引きしているものの金額」を足し合わせる必要があるのです。これは意外に多くの方が気がつかない点で、9割以上の人が間違えて認識しています。後述しますが、これを間違えると「お金が貯まらない人」になってしまいます。

図表2 手取額≠銀行の振込額! 保険料や財形貯蓄もチェックする

●給与明細の見方を覚えよう

次に、給与明細の中身を細かく見ていきましょう。チェックポイントは、大きく分けて以下の3つがあります。

①強制的に差し引かれる分がどれくらいあるか
②任意で支払っている分がどれくらいあるか
③給与天引きで貯めている分がどれくらいあるか

[1]強制的に差し引かれる分がどれくらいあるか
1つめは、「強制的に差し引かれる分がどれくらいあるか」です。

まず、健康保険料や厚生年金保険料などが、総支給額から13%弱差し引かれます。支給額が25万円の人なら、2つの保険料だけでおよそ3万円です。健康保険料や厚生年金保険料は、給与から引かれるのとほぼ同じ額を会社も負担していますから、支給額25万円の人は毎月約6万円を払っていることになるわけです(健康保険料や厚生年金保険料の会社と社員個人の負担は折半が多いのですが、なかには会社負担が6~7割という会社もあります)。これは言い方を換えれば、「毎月約6万円払って、ケガや病気の時の保障や老後の保障、死亡時の保障などを買っている」ということ。「思った以上に高い保険料を払っているんだな」と感じる方が多いのではないかと思います。

実はこれだけの保険料を払っているだけあって、健康保険や厚生年金保険では、病気や死亡、障害といった、「いざという時」に、さまざまな保障を受けることができます。こうした公的保障の具体的な内容を知らないままに民間保険会社の医療保険などに加入すると、保障のダブりが発生し、無駄な保険料を支払うことになりがちなので要注意。

2つの保険料に、雇用保険料と40歳からかかる介護保険料を合わせると、社会保険料の本人負担は、額面給与の約14%にもなるのです。公的保障の具体的な中身については、この連載で順次ご説明していきますから、まず今回は「自分がどれくらいの社会保険料を負担しているのか」を把握しておきましょう。

ちなみに、[図表1]の明細にある「福祉会費」とは、社員の互助会のようなものです。会社によって呼び方はさまざまですが、こうした互助会的な制度がある企業なら、ケガや病気をした時や死亡時、あるいは親族に不幸があった時や出産時といったシーンで、給付金を受け取れるなど何らかのサポートが受けられるはずです。自分の勤務先にこうした制度があるかどうか、ある場合はどんなサポートがあるのかを調べておきましょう。会社のサポートがあれば、その分だけ民間の保険にかけるお金は少なく済むかもしれません。

[2]任意で支払っている分がどれくらいあるか
2つめのポイントは、「任意で支払っている分がどれくらいあるか」です。

[図表1]でいうと、「ガン保険料」と「生命保険料」は、任意で加入した保険の保険料で、それを給与天引きで支払っているわけです。注意が必要なのは、このようにいったん給与天引きにしてしまうと、なんとなくそのまま加入しっぱなしになりがちなこと。家計を見直す際に、見直し対象から外れているケースが多いのです。もともと自分の意思で加入した保険なのですから、不要になれば、やめても構わないことを忘れないでください。

[3]給与天引きで貯めている分がどれくらいあるか
3つめは、「財形貯蓄や社内預金など、給与天引きで貯めている分がどれくらいあるか」です。

財形貯蓄などの積立額も、いったん設定するとそのまま放置してしまいがちなもの。積立額はいつでも自由に変更できるのですから、まずは5000円増やしてみましょう。無理なく生活できるのであれば、そのまま積み立てを続けるだけで、自然にお金が貯まるペースをアップできます。

また、給料が上がった時は積立額も引き上げることを習慣づけるのが理想です。給料が増えたからと生活を肥大させると、お金はなかなか貯まりません。生活サイズは変えず、お金を貯めるペースを上げていくのが「貯め上手」への道です。

深田晶恵(ふかたあきえ)Profile
ファイナンシャルプランナー、(株)生活設計塾クルー取締役
CFP認定者 1級FP技能士
1967年北海道生まれ。外資系電機メーカー、日本フィリップス(株)で8年間勤務後、1996年にファイナンシャルプランナーに転身。FP資格取得後、 実務経験を積んだ後、1998年にFPとして独り立ちする。その後、同じオフィスの仲間と特定の金融商品や保険商品の販売を行わない独立系FP会社「生活 設計塾クルー」を設立し、個人向けに住宅ローンや保障設計などマネープランのコンサルティングを行う。一般個人向けのマネーセミナーのほか、企業の従業員 や自治体職員向けのライフプランセミナー講師としても活躍。メディアを通じたマネー情報の発信にも注力しており、『住宅ローンはこうして借りなさい改訂3 版』(ダイヤモンド社)、『幸せになるお金のバイブル』(日本経済新聞出版社)など多数の著書があるほか、日本経済新聞夕刊、『日経ビジネス Associe』『日経WOMAN』などの連載も持つ。
ブログ「お金のおけいこ。」 http://www.akie-fukata.com/
Twitter  http://twitter.com/akiefukata

禁無断転載
▲ ページの先頭に戻る

シリーズ記事

キーワード

ログイン

  • ログイン

人事・労務に役立つ商品・サービス検索

  • カテゴリとジャンルから検索

検索

注目商品ランキング 新着商品