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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2011.07.14]

第19回 雇用情勢を調べる ~労働力調査と完全失業率~


使える!統計講座(19)

深瀬勝範 ふかせかつのり

景気低迷が続く中で、「失業率が高止まりしている」と言われます。ところで「失業率(正確には『完全失業率』)」とは、どのように算出されているのでしょうか。また、それは、どのように推移しているのでしょうか。

1.完全失業率とは

総務省は、日本における就業・不就業の状態を明らかにすることを目的として、全国約4万世帯を対象に、毎月、「労働力調査」を実施しています。この調査では、「15歳以上人口」を「労働力人口」と「非労働力人口(家事、通学、高齢等で労働に従事しない者の数)」に区分し、さらに労働力人口を「就業者」と「完全失業者」に区分しています。

ここで、「完全失業者」とは、次の3つの条件を満たす人のことです。

①仕事がないために、調査週間中(毎月の末日に終わる1週間)に1時間以上、仕事をしなかった

②仕事があればすぐに就くことができる

③調査期間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(なお「仕事を探す」ということについて、公共職業安定所に登録しているかどうかは問われません。)

「完全失業率」とは、「労働力人口に占める完全失業者の割合」をいいます。つまり、「学生、専業主婦、高齢者などを除いた15歳以上の者のうち、仕事をする意欲はあるものの、まったく仕事をしなかった者の割合」です。

2.完全失業率の推移

[図表2]は、1955年以降の就業者数、完全失業者数および完全失業率の推移を示したグラフです。1990年以降の完全失業率を見ると、バブル経済が崩壊した1992年ごろから2003年までは上昇し、その後、2004年から2008年までは下降しましたが、リーマンショック後の2009年から再び上昇に転じています。

1970年から1987年までも完全失業率は上昇傾向にありました。ただし、このころと1990年以降とでは、完全失業率の上昇といっても、性格が異なります。1987年以前は、完全失業率が上昇する一方で就業者数は増加していました。つまり、このころは、増加する労働力需要に対して就業者数の増加が追い付かなかった、あるいは求人側と求職側の希望が合致しなかった(ミスマッチがあった)ため、失業が発生したということになります。ところが、1990年以降の完全失業率の上昇は、就業者数が横ばい、または減少傾向にある中で発生しています。これは、企業が雇用を維持できなくなり、労働者数を減らす中で失業が発生したものと考えられます。

(クリックして拡大)

3.完全失業率と一般的な感覚とのズレ

2011年4月の完全失業率(季節調整値)は4.7%でした。近年、多くの企業でリストラが行われましたから、多くの人が「失業率はもっと高いはずだ」という感覚をもっているでしょう。このような一般的な感覚と完全失業率との間にズレが生じる要因として、次のことが挙げられます。

(1) 調査期間中に1時間でも仕事をすれば、その人は「就業者」となります。求職活動の合間に一時的・短期的な仕事をした場合、一般的な感覚からすると「失業者」ですが、統計上は「就業者」としてカウントされるケースがあります。

(2) 求職活動をあきらめてしまった人は、「完全失業者」ではなくなり、「非労働力人口」となって、完全失業率の算定対象から外されます。こういう人が大量に発生すると、「仕事をしていない人」の数は変わらないまま、完全失業率だけが下降する(改善される)ことになります。

(3) 「非労働力人口」となっている専業主婦や高齢者が就職すると、失業状態を経ないで「就業者」となります。この場合、失業者数が変わらなくても、分母の「労働力人口」だけが増えて、完全失業率は下降します。

4.GDP成長率と完全失業率との関係

企業活動が活発になれば、人材の採用が行われ、完全失業率は下降するものと考えられます。このことを検証するために、GDP成長率(国内総生産の対前年増加率)と完全失業率の関係性を見てみましょう。

[図表3]の左図は、横軸にGDP成長率を、縦軸に完全失業率をとって、各年度のデータをプロットしたものです。確かに、GDP成長率と完全失業率との間に高い相関があることが分かります(この場合、GDP成長率が上昇するにつれて完全失業率は下降するので、右肩下がりの傾向を示します)。

(クリックして拡大)

ところで、現実的に考えてみると、「生産・販売活動が活発な状態がある程度続いた後に、企業は採用者数を増やして、その結果、完全失業率が改善される」という流れになるはずです。つまり、GDP成長率の上昇と完全失業率の下降との間にはタイム・ラグがあるものと考えられます。そこで、前年度のGDP成長率と当年の完全失業率との間の相関を調べると、[図表3]の右図のようになりました。当年どうしのデータよりも、さらに高い相関が見られます。

この分析から、完全失業率は、企業活動の状況に応じて後追いで動く指標であることが分かります。これは、完全失業率の動向を見て自分のとるべき行動を考えると他者の後手に回ってしまう可能性があるということを示しています。

したがって、完全失業率は過去の状況を確認するためのデータとして用いるようにして、現在や今後のことを考えるには、別の指標(求人倍率等)を使ったほうがよいといえます。


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