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使える!統計講座 【深瀬勝範】 [2010.08.26]

第2回 給与水準を調べる② ~平均値を使うときの注意点~


使える!統計講座(2)
深瀬勝範 ふかせかつのり

自社の給与水準を調べる最も簡単な方法は、賃金構造基本統計調査のデータと自社の給与の平均値を比較することです。ただし、平均値同士の比較は、気をつけて行わないと誤った結論を出してしまうことがあります。

1.平均値の落とし穴

賃金構造基本統計調査には産業別または職種別に労働者1人あたりの給与平均額が表示されており、これと自社の給与の平均値を比較すれば、給与水準を調べることができます。
「平均値」とは、すべてのデータの合計値をデータの個数で割った値です(正確には「相加平均」といいます)。たくさんのデータの特徴や傾向を表す値※として最もよく使われるものですが、平均値同士の比較は、気をつけて行わないと誤った結論を導き出してしまうこともあります。
※データの特徴や傾向を表す値を「代表値」といいます。代表値には、平均値のほかに中位数や最頻値(並数)などがあります。

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[図表3]の事例で説明しましょう。

A社の男性労働者の給与平均値は313,900円です。一方、「平成21年賃金構造基本統計調査」によると、製造業・男性労働者の所定内給与額の平均値は315,100円です。平均値同士を比較すれば、「A社の給与水準は低い」という結論に達するでしょう。
ところが、年齢階級ごとに見ると、ほとんどの年齢階級でA社のほうが賃金構造基本統計調査の数字を上回っています。つまり、「A社の給与水準は低い」という結論は誤っているのです。
それでは、なぜ、A社の平均値が賃金構造基本統計調査のデータ(製造業・男性の平均値)よりも低くなったのでしょうか。
その理由は、A社と賃金構造基本統計調査のデータの構成割合の違いにあります。平均年齢を見ると、A社は38.3歳、賃金構造基本統計調査は41.3歳となっています。A社のほうが、中高齢者に比べて賃金が低い若手労働者の構成割合が多いため、給与の平均値が低くなったのです。
平均値は、データの集まりを比較するときに最もよく使われるものですが、それだけで判断しようとすると、データの構成割合の違いに気づかないまま誤った結論を導き出す「落とし穴」があるので、注意が必要です。

2.データの構成を調整した平均値の比較

A社と賃金構造基本統計調査のデータの構成をそろえれば、両者の給与の平均値をより適切に比較できます。
この方法について説明しましょう[図表4]。
まず、賃金構成基本統計調査の年齢階級の区分ごと(「満19歳以下」「満20歳以上24歳以下」・・・)にA社の労働者数を算出します。次に、賃金構造基本統計調査の各年齢階級の給与の平均値(②)にA社の労働者数(④)を乗じます。各年齢階級の「給与平均値×労働者数」の合計値を出して、それをA社の全労働者数で割ります。こうすると「労働者の年齢構成がA社と同じ場合の給与の世間水準(平均値)」が出ます。このような調整を行った賃金構造基本統計調査のデータとA社の給与の平均値とを比較すれば、データの構成割合がそろっているので、より適切な分析ができます。
確認のため、賃金構造基本統計調査の「年齢」を同じように計算してみてください。A社の平均年齢と賃金構造基本統計調査のデータの構成を調整した後の「平均年齢」がほぼ同じになるはずです。
事例の場合、A社の給与の平均値313,900円に対して、調整後の賃金構造基本統計調査の給与の平均値は309,100円になりました。そこから「A社の給与水準は世間水準を5,000円程度上回る」という結論が出てきます。年齢階級ごとに比較すると、この結論が正しいことが分かります。
このように、平均値の比較において、集計対象となるデータの構成をそろえる調整を行うことを「ラスパイレス式(ラスパイレス比較)」といいます。この調整方法は、公務員の給与を民間企業の水準に合わせるときや、物価の動向を調べるときなどに使われています。

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