講座概要
2025年2月19日にU.S. Equal Employment Opportunity Commission(EEOC)は「EEOCは雇用上、非アメリカ人を優先する雇用主に対し出身国による差別で取り締まりを強化する」旨、発表している。実際に2025年になってEEOCに日本人優遇で摘発されたケースも出てきている。米国でMAGA運動が根強く続く中、日本企業として意識しておくべき出身国による差別に関する法律を説明します。
本講義は、Zoom(ウェビナー)を利用してWebで配信いたします。
ご参加に伴い下記URLをご確認ください。
https://www.rosei.jp/seminarstore/seminar/zoom
【本講座のポイント】
①出身国による差別のクレームを防ぐために駐在員候補の選定に際し注意すべきこと
②過去に在米日系企業が出身国による差別で訴えられた事例の紹介
③連邦差別禁止法上、外国の親会社が被告として訴えられた事例等を紹介します
講座内容
Ⅰ.連邦差別禁止法の概要 - Title VII of the Civil Rights Act of 1964
1. 人種、肌の色、宗教、出身国、性別による雇用上の差別を禁止
2. 差別を訴えた者やその者に協力した従業員等に対する会社によるRetaliation(報復措置)も禁止
3. 意図的な差別の場合30万ドルまでのPunitive Damages(懲罰的賠償金)が認められる
Ⅱ.EEOCの非アメリカ人労働者優遇禁止の新方針と具体的なケース事例
EEOCの新方針下で非アメリカ人を優先雇用する理由として違法とみなされるケース
1. 低い給与の外国人を優先雇用すること
2. 顧客が好むという理由で非アメリカ人を優先雇用すること
3. 非アメリカ人の法律知識の欠如や法的権利意識の希薄さや権利擁護のためのアクセスの欠如を悪用している雇用慣習
4. 非アメリカ人の方が生産的とか高い勤労意欲を持っているという偏見に基づいた非アメリカ人の雇用
Ⅲ. 過去に日系企業が日本人、日系人優遇で実際訴えられたケース
1. 採用過程で日本人副社長が「出来たら日本人や中国人のようなアジア系をとってほしい」とのメールを発信したケース
2. 不況で人員削減やポジション・クローズが行われた際、アメリカ人は他のポジションへの異動の機会が与えられずに日本人だけが認められたケース
3. 米国子会社の人員削減が行われた際、米国採用の社員だけが対象になり日本人駐在員は一人も日本本社に帰任しなかったケース
4. 不況下に米国子会社の管理職に対し給与凍結措置がとられていた際に、日本からの派遣者だけが昇進したり大幅な昇給を受けていたケース
5. 解雇に相当するような仕事ぶりに関し、日本人駐在員は解雇されず米国採用社員が解雇されたケース
Ⅳ. 米国の差別禁止法上、親会社の行為や決定が子会社の違法差別行為に関し責任ありと判断されたケース
1. Single Employer Test
2. 米国子会社の人員削減時に駐在員の本社帰任時期を日本本社が指定したために親会社も被告として取り扱われたケース
3. ドイツの親会社の役員の発言が米国子会社の意思決定に影響があったと判断されたケース
Ⅴ. 米国子会社の出身国による差別訴訟リスクを避けるために
1. 米国における雇用訴訟頻発の要因
2.雇用訴訟の一般的流れ(EEOCの調査・判断、連邦地裁でのサマリージャッジメントの可否の判断、陪審員裁判)
3. 訴訟リスク回避のために必要な日本の親会社の協力
4. 業務成績不良による解雇に際し訴えられることを少なくするための方法
講師プロフィール

オグルツリー・ディーキンス法律事務所 インディアナポリス事務所 インディアナ州弁護士 (1996年) 、ワシントン州弁護士 (2021年)
本間 道治 氏
オグルツリー・ディーキンス法律事務所 インディアナポリス事務所 インディアナ州弁護士 (1996年) 、ワシントン州弁護士 (2021年)
本間 道治 氏
【略歴】
一橋大学社会学部卒業。三井不動産株式会社において人事研修部門、広島支店マンション開発担当、社長秘書、会長秘書、秘書室課長、都市開発事業部事業企画課長等の職務を経験し、1991年3月同社退職。1994年12月米国オハイオ州立シンシナティ大学ロースクールJ.D.課程卒業。2002年8月からオグルツリー・ディーキンス法律事務所に所属。著書『40歳からの米国での挑戦―米国で弁護士を目指す』(アマゾン)。