Point of view [2017.07.14]

第90回 河田真誠

「しつもん」力が会社を変える

河田真誠 かわだ しんせい
しつもん経営研究所有限会社 代表取締役、ココロスタイル代表

印刷デザインの会社を経営後、現在は、しつもんコンサルタントとして、企業でのコンサルティングや研修を行うほか、ビジネスプロデュースも手掛ける。広島県で、口コミだけで1000人規模のイベントを毎月主催した経験を基に、独自の集客プログラムを開発。「しつもん」をするスタイルが、結果が出ると評判をよび、全国にクライアントを持つようになる。その後、集客だけでなく、問題解決、マネジメント、営業など、企業で成果が出た「しつもん」のノウハウをまとめて、「しつもん経営」としてプログラム化、多くの企業に提供。鉄道系企業、住宅機器メーカー、時計計算機メーカー、ハウスメーカーなど、中小~一部上場企業まで、多くの企業に「しつもん」を使った研修を行う一方、商工会議所・青年会議所などの経営団体での講演実績も多数。近年は、企業でしつもんする「しつもんコンサルタント」の育成や、起業家の育成にも力を入れる。著書に『革新的な会社の質問力』(日経BP社)がある。
http://www.shinsei-kawada.com

変化が激しい時代、企業はどう変化していく?

変化が激しい時代です。テクノロジーが進化し、消費者のニーズや価値観も変化・多様化することによって、多くの業界で、これまで通用していた方法が通用しなくなり、これまで売れていたものが売れなくなっています。昨日までは必要とされもうかっていた事業が、明日にはなくなる可能性が高い、変化の激しい時代です。

この経営環境の変化に合わせて変化できない企業は、どんな大きな企業でさえも経営危機にさらされます。逆に、変化に対応できている企業はどんどん成長をしています。

今、企業に必要なことは、「時代に合わせて変化をする」ことではないでしょうか。「そんなことは分かっているよ」という声も聞こえてきそうですが、分かっていると実際に変化できているは、大きく違います。「どうすれば具体的に変化できるのか」を一緒に考えていきましょう。

どうすれば、変化成長できるだろう?

「どうすれば、変化できるだろう?」と考える時、その答えを「外」に求めがちですよね。例えば、知り合いに相談したり、コンサルタントに聞いたり、セミナーに参加したり、本を読んだり。それはそれで大切なことかもしれないのですが、よく考えてみると、そこには「正解」はありません。社会全体が右肩上がりで、順調に成長していた時代には、昨日の成功事例が今日も通用したかもしれません。しかし、今、私たちは誰も体験したことのない世界を生きています。過去の成功体験が通用しない時代だと言っているのに、他人に答えを求めても、それは「ヒント」にはなりますが「正解」ではないですよね。

今のあなたとまったく同じ状況にいる人は、あなたしかいないのです。

そう考えると、自分(自社)が変わっていくための答えは、「自分」の中にしかありません。安易に他人に正解を求めて、その通りに行動していくのではなく、これまでの経験、知識、習慣、文化などを踏まえ、自分たちでしっかりと考えて、自分たちなりの答えを自分たちで見つけていくことが必要な時代です。

どうすれば、考えることができる?

「考えることが大切だから、しっかり考えて!」と言われても、何を、どう考えればいいのかも分からないですよね。そこで、私は「質問をする」ということを仕事にしています。企業に伺って、社長さんや社員さんに「質問」をするのです。

人は、質問をされると、その答えを自動的に探そうとします。例えば「昨日の晩御飯は何食べた?」と質問されると、自然とその答えを考えますよね。この機能を活かし、私が質問をして、それに答えてもらうことで、今必要なことを考えてもらうことをしています。

あのアインシュタインも「もし自分が死にそうな状況になって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、最初の55分は、適切な質問を探すのに費やすだろう」という言葉を残しています。

何かを考える時に、いきなり答えを求めるのではなく、その答えを導く質問があることで、より良い答えを導き出すことができます。良い質問は、良い答えを生み出すのです。

ぜひ、まずは自分に質問をすることから始めてみてください。

部下が答えを持っている。

ぜひとも部下にも質問をして、一緒に考えることをしてみてください。これまでのやり方が通用しなくて、柔軟で革新的な変化を必要としているのであれば、その答えやヒントは、もしかすると部下のほうが持っているかもしれません。

役職が上がれば上がるほど、経験や知識などが邪魔をして、柔軟で革新的な発想ができなくなります。逆にそれらがない部下のほうが、いい意見を言うことが多いようです。私自身もいろいろな業種の企業に質問をしに行っていますが、その業界のことは何も知りません。知らないからこそ、囚(とら)われない自由な発想ができるのです。

部下に質問をする時に大切なのは、上司の「受け取る力」です。どんなに部下がいい意見を言っても、上司側が「それはダメだ!」と言っていたのでは、何も変わりません。どんな意見でも上司の狭い価値観で良しあしを判断するのではなく、どんな意見もまずは「いいね」と受けてみてはいかがでしょうか。

オススメの質問

ここまで、今、変化を求めている企業には「質問」が大切だという話をしてきましたので、その重要性については、ご理解いただけたと思います。最後に、明日から使える質問をいくつかご紹介します。

■オススメしつもん‐1「本当に?」

人は慣れていく生き物なので、何も意識をしなければ、昨日と同じ毎日を過ごしてしまいます。それだと何も変化成長しないですよね。そんな時には「本当にそうなんだろうか」と自分に問い掛けてみてください。「今、大切だと思っていることは、本当に大切ですか?」「今、やっていることは、本当に今やるべきことですか?」と。

例えば、「昔からずっとやっているから」という理由だけで続けているものもあるかもしれません。環境が変わった今、それは必要でなくなっていたり、もっといい方法があったりするかもしれません。何気なくやっていて思考停止になっていることをいちいち見直してみましょう。

まずは、日常の業務の一つひとつを、「本当に、それがベストだろうか?」と見直してみてください。きっと、これだけでも大きな変化が生まれることでしょう。

■オススメしつもん‐2「じゃあ、どうする?」

人は変化を恐れる習性があります。昨日と同じほうが安心だからです。その習性があるので、新しいことを始めようとすると、必ずと言っていいほど「言い訳」が生まれます。また社内にも反対勢力も生まれてくるかもしれません。「やったことないから」「うまくいく根拠がないから」「予算がないから」「景気が悪いから」などなど。これらも確かに大切な発想かもしれません。しかし、「言い訳=できない理由」を考えていたのでは、いつまでも変化をしていくこともできません。

そこで、私は、それらの言い訳を全部踏まえた上で「じゃあ、どうする?」を考えることをしています。どんな時にも言い訳は生まれます。できない理由があるということは、逆に言うと、それらを乗り越えれば「できる」ということ。

「今、こういう状況にある。これを踏まえて、じゃあ、どうするか」を、みんなで考えていきましょう。この習慣を積み重ねることで、チャレンジし、変化をしていく企業風土を創ることもできます。

最後に

文字数の関係上、ここでは特に大切な二つの質問を紹介しました。企業に必要な変化を起こしていく上でも、自発的に考え行動する部下を育てていく上でも、会議を活性化させる上でも、お客様に長く愛されるようになるためにも、経営のいろいろなシーンで「質問」は効果的に使えます。そして、質問は、「どんな質問をするか」ということも大切なのですが、それよりも「誰がどんな心持ちで質問するか」のほうが大切です。そのあたりも含めて、拙著『革新的な会社の質問力』(日経BP社)をご一読いただけますと幸いです。

質問には、自分たちで未来を創っていく力があります。ぜひ、質問力を身に付け、望む理想の未来を手にしてください。私も応援をしています!

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