代表 寺澤康介
(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)
ProFuture代表の寺澤です。
2025年5月23日、厚生労働省と文部科学省は、本年3月大学等卒業者の就職状況を共同で調査し、4月1日現在の大学生の就職率が98.0%だったことを発表しました。過去最高だった2024年卒の98.1%にはわずかに及ばなかったものの、コロナ禍前の2018年卒、2020年卒と並ぶ過去2番目の高さで、就職率が2年連続して98%以上となるのは、本調査を開始した1997年以降で初めてのことになります。コロナ禍による景気低迷の影響はもはや感じられず、「学生の売り手市場」が高い水準で続いていることを示しています。大学種別で見ると、国公立大学の就職率は前年同期比で0.9ポイント低下した97.6%であった一方、私立大学は同0.2ポイント上昇しての98.1%で、これは過去最高となっています。
折しも、2025年5月21日にNHKで放送された番組「あさイチ」では、1993~2004年卒の「就職氷河期世代」を特集していました。「就職氷河期世代」を紹介する際に、「大卒就職率が50%台に低迷した」とよく言われますが、その際の「就職率」の定義は「就職者/卒業者数」(文部科学省「学校基本調査」)であり、厳密には「就職者割合」と呼ばれるものになります。これに対して、本調査における「就職率」の定義は「就職者/就職希望者」とされています。ちなみに、「就職者割合」が55.1%で過去最低だった2003年卒の本調査における「就職率」は92.8%であり、「就職率」が過去最高だった2024年卒の「就職者割合」は76.5%でした。このように、二つの「就職率」(正確には、一方は「就職者割合」)は、全く別の計算式で導かれた指標であり、同一尺度で論じることは間違っていますので注意が必要です。
キャリアプランが明確な学生は4割程度
今回も、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2026年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」(調査期間:2025年3月6~8日)の結果から、キャリアプランの有無、インターンシップへの取り組み状況を中心に紹介します。ぜひ参考にしてください。
※以下、同調査結果の割合(%)は、小数点以下を四捨五入して整数で表示しています。
まず、2026年卒学生の「自身のキャリアプランの有無」について見てみましょう。本調査では、キャリアプランとは「将来の仕事や働き方の理想、社会人としてイメージする理想の姿などを実現するための計画」と定義しています。
文系・理系ともに「ぼんやりとしたイメージは持っている」が最多で、それぞれ53%、49%と半数程度に上っています[図表1]。これに次いで、文系では「明確に持っているが、行動はこれからである」が23%、「明確に持っており、実現に向けて行動している」が18%で、これらを合計した “明確に持っている” の割合は41%と4割に上っています。一方、理系では「明確に持っており、実現に向けて行動している」が25%で文系より7ポイント高く、逆に「明確に持っているが、行動はこれからである」は19%と文系よりも4ポイント低くなっています。ただ、両者を合わせた “明確に持っている” は44%で、文系と同様に4割程度となっています。少なくとも「ぼんやりと」はキャリアイメージを持っている学生が9割以上とほとんどを占めるものの、“明確に持っている” といえる学生は多数派にはなっていないようです。
[図表1]文理別 自身のキャリアプランの有無
資料出所:HR総研×就活会議「2026年新卒学生の就職活動動向調査」(2025年3月)([図表2~16]も同じ)
このようなキャリアプランの有無の状況を、“明確に持っている” 学生群、“ぼんやりとしたイメージは持っている” 学生群、“イメージを持っていない” (「ほとんどイメージを持っていない」と「まったくイメージを持っていない」の合計)学生群の三つのグループに分けて、これらのキャリアプランの有無別に、以降の調査結果の違いを見ていきます。
「キャリア教育」を受けた経験のある機会については、“明確に持っている” と “ぼんやりとしたイメージは持っている” 学生群では「大学の授業で受けたことがある」が最多で、ともに44%と4割程度となっています[図表2]。 “明確に持っている” 学生群では次いで「大学入学以前に受けたことがある」が18%となっており、2割以下ではあるものの、“ぼんやりとしたイメージは持っている” 学生群は7%、“イメージを持っていない” 学生群は5%にとどまり、他の二つのグループより顕著に高い割合であることが分かります。一方、“イメージを持っていない” 学生群では「受けたことがない」が最多で50%とちょうど半数に上っており、次いで「大学の授業で受けたことがある」が35%と4割未満にとどまっています。したがって、キャリアプランを “明確に持っている” 学生ほど、キャリア教育を大学やそれ以前に受ける機会に恵まれていたという傾向がうかがえます。
[図表2]キャリアプランの有無別 「キャリア教育」を受けた経験のある機会
キャリアプランの有無が、仕事に専門性を活かしたい意向に大きく影響
次に、自身の専門性を活かして働くことへの意向について、まずは文系と理系で違いを比較してみます。文系では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で35%、「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」の12%と合わせた “専門性を活かしたい” の割合は47%と半数以下となっており、「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」の21%をはじめ、専門性にこだわらない学生が半数以上いることがうかがえます[図表3]。
一方、理系では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が最多で38%と4割近く、次いで「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」が30%で、“専門性を活かしたい” が68%と7割近くにも上っています。「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」は、文系の21%に対してわずか4%にとどまるなど、専門性にこだわらない理系学生は2割程度と少数派になります。これまでの調査でも見られたように、文系より理系のほうが “専門性を活かしたい” とする学生の割合が顕著に高いことが分かります。
[図表3]文理別 自身の専門性を活かして働くことへの意向
続いて、自身の専門性を活かして働くことへの意向についてキャリアプランの有無別に見ると、“明確に持っている” 学生群では「学部や大学院での授業で培った知識を活かしたい」が45%と半数近くを占め、「研究活動で培った知識や経験を概ねそのまま活かしたい」と合わせた “専門性を活かしたい” は65%と3分の2近くに及び、“専門性を活かしたい” は “ぼんやりとしたイメージは持っている” 学生群では54%と半数を超えるものの、“イメージを持っていない” 学生群では30%にとどまります[図表4]。また、“イメージを持っていない” 学生群では「専門性や文系・理系の特徴を活かしたいと思わない」が25%と4分の1を占めるなど、キャリアプランが明確な学生ほど仕事に専門性を活かしたい傾向が顕著となっています。
[図表4]キャリアプランの有無別 自身の専門性を活かして働くことへの意向
2025年5月の本稿では、就職活動を開始した時期について、文理別と大学区分別に比較しましたが、今回はキャリアプランの有無別に違いを見てみましょう。
“明確に持っている” 学生群では、「2024年4月」が24%で最も多く、次いで「2024年6月」(20%)、「2024年5月」(16%)、「2024年3月」(10%)などが多くなっています[図表5]。「2023年12月以前」から「2024年4月」までを合わせた “2024年4月以前” に開始している割合を比較すると、“明確に持っている” 学生群では40%を占め、大学区分別で見た「旧帝大クラス」(45%)、「早慶大クラス」(43%)に準ずる高い割合となっています。
一方、 “ぼんやりとしたイメージは持っている” 学生群でも「2024年4月」が19%で最も多いものの、“2024年4月以前” に開始している割合は29%で3割以下となっており、“イメージを持っていない” 学生群に至っては「2024年3月」までゼロが続き、「2024年4月」になってようやく10%となり、最も多かったのは「2024年6月」の35%となるなど、就職活動の開始時期から見ても、キャリアプランを “明確に持っている” 学生のほうが早く動き出し、“イメージを持っていない” 学生はゆっくりしている傾向が見られます。
[図表5]キャリアプランの有無別 就職活動の開始時期
「対面型」の理系、「オンライン型」の文系
ここからは、インターンシップへの取り組みを確認します。まず、参加社数を文理別に比較してみると、「0社」は文系・理系ともに7%で同程度となっていますが、「4~5社」では文系15%に対して理系24%となるなど、比較的社数が少ない区分では理系が文系を上回っていることが分かります[図表6]。一方、「11~15社」では理系9%に対して文系は17%となるなど、比較的社数が多い区分では逆に文系が理系を上回っています。文系で最多は「6~10社」の22%に対して、理系の最多は「4~5社」の24%となるなど、インターンシップへの参加社数においては文系が理系よりも多い傾向が見られます。
[図表6]文理別 インターンシップ参加社数
続いて、インターンシップを「対面型」と「オンライン型」に分けて、それぞれの参加社数を文理別に比較していきます。
まずは、「対面型インターンシップ」への参加社数ですが、「0社」は文系の17%に対して理系は1割以下の9%にとどまり、文系が8ポイント多くなっています[図表7]。裏を返せば、「対面型インターンシップ」への参加は、文系が8割強なのに対して、理系は9割以上に上っているということです。また、「1社」の割合は、文系13%、理系15%となっており、「2社」以上(「2社」~「21社以上」の合計)は文系70%、理系76%と7割を超えます。コロナ禍を契機に、気軽に参加できるオンライン型のインターンシップが一般化したとはいえ、対面型のインターンシップへの参加を希望し、複数社に参加する学生が大半であることがうかがえます。
また、文系・理系ともに「4~5社」が最多で、それぞれ20%、22%と2割程度となっているほか、次に多い「3社」についても文系16%に対して、理系21%と理系のほうが多くなっています。「6~10社」「11~15社」は文系のほうが多くなっていますが、「16~20社」「21社以上」は理系のほうが多くなるなど、「対面型インターンシップ」に限定すれば、文系よりも理系のほうが積極的に参加している様子がうかがえます。
[図表7]文理別 対面型インターンシップ参加社数
これに対して、「オンライン型インターンシップ」への参加社数を見ると、「0社」は文系の18%に対して、理系は22%と理系のほうが4ポイント上回ります[図表8]。意外なのは、文系・理系のどちらも「対面型インターンシップ」よりも「オンライン型インターンシップ」に参加したことがない学生のほうが多い、ということです。文系ではわずかな差ですが、理系ではその差は2倍以上に及びます。参加した学生の社数を比べてみると、理系で最も多いのは「4~5社」の16%ですが、文系も「4~5社」が理系と同様に16%であるものの、「6~10社」が23%で最多となっています。ちなみに、理系の「6~10社」は9%と文系の半分以下です。
「2社」以上の割合を比較すると、文系では75%と7割を大きく超え、対面型より5ポイント高くなっているのに対して、理系では63%と対面型より13ポイント低くなっています。また、「1社」や「2社」など比較的社数が少ない区分を中心に理系のほうが多くなっており、前述した「6~10社」のほか、「21社以上」では文系が10%であるのに対して、理系はわずか1%にとどまるなど、文系のほうが積極的にオンライン型のインターンシップに参加していることが見て取れます。
これらにより、文系では対面型よりオンライン型のインターンシップに参加する学生が多い一方、理系では対面型のほうに重きを置いている学生が多い傾向にあることがうかがえます。
[図表8]文理別 オンライン型インターンシップ参加社数
長期休暇中に集中する対面型インターンシップ参加
次に、インターンシップへの参加時期を「対面型」と「オンライン型」に分けて、それぞれの状況を文理別に比較していきます。
まずは、「対面型インターンシップ」への参加時期です。最も多かったのは、文系は「2024年8月」で64%、理系は「2024年8月」と「2024年9月」が62%で並びます[図表9]。文系も次いで「2024年9月」が高く、58%と6割近くとなっています。文系では、その前後の「2024年7月」と「2024年10月」もそれぞれ32%、40%と3割を超えていますが、理系はそれぞれ25%、26%となっており、ピークの2カ月間との落差が大きくなっています。
その後、「2024年12月」に文系・理系ともに37%、38%と4割近くに盛り返すものの、それ以後は下降の一途をたどります。
[図表9]文理別 対面型インターンシップ参加時期(複数回答)
一方、「オンライン型インターンシップ」への参加時期を見ると、ピークは「2024年8月」で対面型と変わらないものの、参加率は文系が71%と7割を超えるのに対して、理系は61%と10ポイントの差がついています[図表10]。次いで、文系・理系ともに「2024年9月」が高いものの、参加率はそれぞれ63%、54%とやはり10ポイント近い差がついています。「2024年10月」から「2024年12月」までは、文系・理系ともに30%以上の参加率が続くなど、「対面型」と比較すると参加率は高くなっています。
また、「オンライン型インターンシップ」の特徴として2点挙げられます。一つは、「2024年10月」では文系50%に対して理系39%となるなど、すべての月で文系の参加率が理系を上回っていること。もう一つは、「2024年12月」は「2024年11月」と比べて、文系では4ポイント盛り返したものの、理系では逆に5ポイント減少するなど、「対面型」で見られた「2024年12月」が二つ目のヤマにならなかったことです。「対面型」のインターンシップ参加時期は、おのずと長期休暇期間に集中しやすい傾向にならざるを得ないのでしょう。
[図表10]文理別 オンライン型インターンシップ参加時期(複数回答)
文系はリクルーターフォローが倍増
インターンシップに参加した企業からの事後のアプローチについて見てみると、最も多かったのは「早期選考会の案内」で、文系81%、理系83%と8割を超え、大半の学生がインターンシップ参加から早期選考へとつながっていたことが分かります[図表11]。2025年4月の本稿で紹介した、2024年12月実施の「2026年新卒学生の就職活動動向調査(12月)」(以下、12月調査)の結果では、「早期選考会の案内」は文系(69%)・理系(71%)ともに7割程度でしたので、3カ月の間に10ポイント以上増加しており、2024年12月~2025年2月に早期選考会を実施した企業が少なくなかったことがうかがえます。
次いで「(プレ)エントリー受付の開始案内」が文系56%、理系42%で続きますが、文系と理系でほとんどポイント差がなかった「早期選考会の案内」と比べると、文系と理系の間には14ポイントもの開きがあります。また、12月調査の結果と比べて、理系(41%→42%)はほとんど同じ割合なのに対して、文系(同45%→56%)は10ポイント以上増加しています。理系には(プレ)エントリーを免除し、文系には改めて(プレ)エントリーの提出を求める企業があることが推察されます。
そのほか、12月調査からポイントの変化が見られた項目として、「リクルーターからのフォロー」が挙げられます。12月調査からの変化を比較すると、文系15%→30%、理系24%→29%と、いずれも3割程度の学生がリクルーターとの接触を挙げており、特に文系では倍増しています。選考会への参加誘導から早期内定者のフォローまで、企業の選考の進捗によって、リクルーターの役割が広がっていることが推察されます。
[図表11]文理別 インターンシップ参加後の企業からのアプローチ(複数回答)
上位グループは複数日程の対面型、下位グループは半日のオンライン型
学生が望ましいと考えるインターンシップの日数タイプについて、「対面型」と「オンライン型」に分けて、全体の傾向のほか、大学区分別の特徴を見ていきましょう。
まずは、「対面型インターンシップの望ましい日数タイプ」です。全体では、「2~3日タイプ」が37%と4割近くで最も多く、次いで「1週間程度タイプ」(24%)、「1日タイプ」(23%)が続きます[図表12]。せっかく会社・会場まで足を運ぶのであれば、「半日タイプ」では物足りないと感じるのか、「半日タイプ」を推す割合はわずか9%にとどまり、「1日タイプ」と合わせた “1日タイプ以下” を望む割合は32%と3割程度となっています。
大学区分別で比べると、「旧帝大クラス」「早慶大クラス」「上位国公立大」では “1日タイプ以下” を望む割合はいずれも2割未満で、残りの8割以上が “2~3日タイプ以上” の比較的長期間タイプを望んでいます。一方、「上位私立大」「その他国公立大」「中堅私立大」「その他私立大」では、“1日タイプ以下” を望む割合は3割以上となっており、中でも「上位私立大」は54%と半数を超え、「その他私立大」でも48%と半数程度に上っています。したがって、上位クラスの学生のほうが “2~3日タイプ以上” を求める割合が高い傾向にあることがうかがえます。
[図表12]大学区分別 対面型インターンシップの望ましい日数タイプ
続いて、「オンライン型インターンシップの望ましい日数タイプ」です。全体では、「1日タイプ」が39%でほぼ4割を占め、最多となっています[図表13]。「半日タイプ」も38%とほぼ同程度の高い割合となっています。「2~3日タイプ」は17%で2割に満たず、「1週間程度タイプ」(6%)と合わせてようやく2割を超えます。
大学区分別で比べると、「1日タイプ」の割合は「その他私立大」を除いて4~5割程度で大きな差異はないものの、「半日タイプ」は大学区分によって大きく異なります。「旧帝大クラス」と「早慶大クラス」がそれぞれ13%、19%と2割未満なのに対して、「上位国公立大」「上位私立大」「その他国公立大」「中堅私立大」では3~5割近くとなっており、「その他私立大」に至っては74%とほぼ4分の3に上ります。「インターンシップ(オープンキャンパス)」というよりも、「セミナー」の感覚で捉えている学生が多いようです。
“1日タイプ以下” を望む割合を見ると、「旧帝大クラス」が最も低くて58%と6割程度、次いで「早慶大クラス」が69%と7割程度、「上位国公立大」をはじめ残りの大学区分は全て8割以上を望んでおり、オンライン型では対面型と異なり、中長期タイプを望まない学生が圧倒的に多いことが分かります。
[図表13]大学区分別 オンライン型インターンシップの望ましい日数タイプ
就職活動の初期のステップとして、学生はさまざまなタイプの就活サイトに会員登録し、気になる業界の動向情報のほか、インターンシップの募集情報やエントリー、過去のエントリーシートの内容をはじめとした先輩の就活体験談など、多くの情報を収集するために活用します。2025年3月までの「就職活動中に活用している就活サイト」を複数回答で聞いた結果について、文理別にまとめたものが[図表14]。です。
まず、文系においては、「マイナビ」が88%と9割近くで最多、次いで「リクナビ」が61%と6割、「就活会議」が51%で半数、「ONE CAREER」が43%で4割などとなっています。上位二つに挙がる就活サイトは、例年どおりの傾向が続いているようです。
理系においては、「マイナビ」が最多であるものの79%と8割程度にとどまり、次いで「リクナビ」が57%と6割に届かず、「就活会議」と「ONE CAREER」がそれぞれ51%、49%で僅差となり、ともに半数程度となっています。上位に挙がる就活サイトの並び順は文系と同じでありながら、各サイトの割合で見ると、「マイナビ」の割合は文系より理系のほうが9ポイント低く、逆に「ONE CAREER」は文系より理系のほうが6ポイント高くなっているなど、文系と理系による違いもわずかながら見られます。また、理系では、「LabBase」(32%)、「TECH OFFER」(25%)、「アカリク」(13%)と、理系学生に特化した就活サイトが三つもランクインしています。
[図表14]文理別 活用している就活サイトTOP10(複数回答)
文系 | 理系 | ||||
順位 | 就活サイト | 割合 | 順位 | 就活サイト | 割合 |
1 | マイナビ | 88% | 1 | マイナビ | 79% |
2 | リクナビ | 61% | 2 | リクナビ | 57% |
3 | 就活会議 | 51% | 3 | 就活会議 | 51% |
4 | ONE CAREER | 43% | 4 | ONE CAREER | 49% |
5 | OfferBox | 38% | 5 | OpenWork | 32% |
6 | キャリタス就活 | 34% | 5 | LabBase | 32% |
7 | OpenWork | 22% | 7 | OfferBox | 26% |
8 | キミスカ | 16% | 8 | TECH OFFER | 25% |
9 | みん就 | 14% | 9 | キャリタス就活 | 21% |
10 | dodaキャンパス | 13% | 10 | アカリク | 13% |
「就職活動中に最も活用している就活サイト」について、文理別にまとめたものが[図表15]です。
文系・理系ともに上位二つは同じで、「マイナビ」が1位、「ONE CAREER」が2位となっていますが、得票率で比較すると、「マイナビ」は理系より文系のほうが高く52%と過半数に上る一方、「ONE CAREER」については文系より理系のほうが高く26%と4分の1以上を獲得しています。[図表14]では文系・理系ともに2位だった「リクナビ」は、文系では4位、理系では3位にランクダウンするだけでなく、それぞれ得票率は5%、8%と、ともに1桁台にとどまり、ポイント落差は最大となっています。「リクナビ」を活用はしているものの、メインで活用している学生は多くないということになります。
[図表15]文理別 最も活用している就活サイトTOP5
文系 | 理系 | ||||
順位 | 就活サイト | 割合 | 順位 | 就活サイト | 割合 |
1 | マイナビ | 52% | 1 | マイナビ | 44% |
2 | ONE CAREER | 20% | 2 | ONE CAREER | 26% |
3 | 就活会議 | 8% | 3 | リクナビ | 8% |
4 | リクナビ | 5% | 4 | OpenWork | 5% |
5 | OfferBox | 4% | 5 | 就活会議 | 4% |
5 | LabBase | 4% |
最後に、大学区分別に「 “最も” 活用している就活サイト」を見てみると、「旧帝大クラス」では、「ONE CAREER」で42%となっており、次いで「マイナビ」が24%となっています[図表16]。全体では、文系・理系ともに「マイナビ」がトップで、「ONE CAREER」は20%台でしたが、立場が逆転しています。また、「OpenWork」の得票率が11%で3位に食い込んでいます。
「上位私立大」では、順位こそ全体と同じく1位「マイナビ」、2位「ONE CAREER」となっていますが、こちらも「ONE CAREER」の得票率が伸びており、30%と1位の「マイナビ」とはわずか4ポイント差となっています。
「中堅私立大」では、「マイナビ」が70%と7割にも達している一方、「就活会議」(8%)が「ONE CAREER」を上回って2位にランクインしています。「旧帝大クラス」では4割以上の支持を受けていた「ONE CAREER」ですが、「中堅私立大」ではわずか5%の支持にとどまる結果となっています。
このように、文系と理系や大学区分によっても、活用度の高い就活サイトは異なる傾向がうかがえます。どの層の学生をターゲットにするかによって、利用する就活サイトを見直す必要があるかもしれません。
[図表16]大学区分別 最も活用している就活サイトTOP5
旧帝大クラス | 上位私立大 | 中堅私立大 | ||||||
順位 | 就活サイト | 割合 | 順位 | 就活サイト | 割合 | 順位 | 就活サイト | 割合 |
1 | ONE CAREER | 42% | 1 | マイナビ | 34% | 1 | マイナビ | 70% |
2 | マイナビ | 24% | 2 | ONE CAREER | 30% | 2 | 就活会議 | 8% |
3 | OpenWork | 11% | 3 | リクナビ | 9% | 3 | ONE CAREER | 5% |
4 | リクナビ | 7% | 4 | 就活会議 | 6% | 4 | リクナビ | 3% |
5 | 就活会議 | 5% | 5 | OfferBox | 4% | 4 | OfferBox | 3% |
4 | dodaキャンパス | 3% |
次回も、引き続き「2026年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の結果から、面接や内定などの具体的な就職活動の傾向を探っていきます。
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寺澤 康介 てらざわ こうすけ ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長 1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。 著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。 https://www.hrpro.co.jp/ |