株式会社人材研究所
日本実業出版社

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 生成AIの存在は、採用領域にも波及している。企業の採用担当者がエントリーシートを読むために要約AIを導入する一方で、採用候補者もエントリーシートの作成・推敲をAIに任せている。すると、AIの分析と実際の候補者像にズレが生じる。こうした「AIが書き、AIが読み、人間がその間で迷子になる」現象が広がり始めていると、人材採用のプロである著者は主張する。本書では、AIの進化が採用にもたらす変化を整理しながら、AIに任せるべき領域と人間が担うべき領域の切り分け、それを前提とした採用戦略の再設計について、実務と理論の両面から検討する。
■ 序章では、生成AIが社会や雇用に与える影響を解説。第1章では採用活動の歴史を振り返りつつ、エントリーシートや面接がAIの登場でどのように変質しているのかを見る。第2章では人事部門におけるAI活用の現在地を確認し、採用実務のどの領域でAIが使われ始めているのかを整理しながら、面接やスカウトなどの領域で実際に利用されているAIサービスも紹介する。第3章ではAIを前提とした採用戦略を企業の知名度やリソースの違いに応じて考え、第4章ではAI活用に伴う法務・リスク管理について、差別、公平性、説明責任、個人情報保護などの観点から検討を行う。第5章ではAIを組織の中にどのように組み込み、人間がどのような役割を担うべきかを考察。第6章ではAIの発展が採用、評価、雇用、そして働く意味そのものをどのように変えていくのかを展望する。
■ 本書では、“AIによる変化が著しい中で、何を守り、何を変えるのか。その判断こそが、人間に求められる役割である” と締めくくられている。AIの活用手法だけでなく、法務上の注意等にも触れているため、今後の採用の在り方を検討したい採用担当者にとって、多くの学びを得られる一冊だろう。