江口 尚 著
産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学研究室 教授
日本生産性本部生産性労働情報センター
産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学研究室 教授
日本生産性本部生産性労働情報センター

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 生産年齢人口の減少が進む中で、労働力の確保と人的資本の最適活用が最重要課題となっている。加えて高齢者の就労の増加や医療技術の進歩によって、病気の治療と仕事を両立する人が増え、誰もが健康問題に向き合いながら働く時代を迎えている。本書は、産業医として数多くの企業・組織で両立に悩む労働者や支援に戸惑う人事労務担当者と向き合ってきた著者が、法改正によって2026年4月からすべての企業の努力義務となり、喫緊の課題ともいえる「治療と仕事の両立支援」について解説する。
■ 第1部では、治療と仕事の両立支援の基本構造や支援の流れなど、基礎的な部分を丁寧に解説。第2部では「立場別の実践ガイド」として、当事者(患者)、企業、労働組合のそれぞれのポジションで取るべき対応を詳細にまとめている。第3部では、がん、精神疾患、若年性認知症など疾患別に、具体的な支援のポイントを確認する。締めくくりとなる第4部では、休職制度・勤務制度の整備や、制度を組織に根付かせるための運用上の視点を盛り込みつつ、今後の展望を語る。
■ 本書では両立支援を取り巻く状況から、行政が提供する様式例や支援プランの作成例などを引用した実務に直結する事柄まで、体系的に整理されており、要点を押さえながら読むことができる。また、企業や労働者本人だけでなく、当事者の家族や医療関係者など、支援に関わるすべての人が活用できる内容になっている。これからの社会で誰もが関わり得る仕組みについて、理解を深める一助となるだろう。