PwCコンサルティング合同会社
日本能率協会マネジメントセンター

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 女性や高齢者、障害者などの労働参画が進み、ダイバーシティの推進を掲げる企業は増えている。一方で、その具体的な施策は、数値目標の設定や単発の研修実施にとどまっているケースも多いだろう。本書は、豊富な現場経験を有する人事コンサルタントが、DEIB(Diversity:多様性、Equity:公正、Inclusion:包摂、Belonging:帰属)の観点から、組織開発に必要な視点と取り組みを提示するものである。
■ 第1章では、組織において多様性がうまく機能しない理由を、文化的な背景や社会構造などから解き明かしていく。第2章では、「チームの『知の多様性』を高める」「メンバーの『責任範囲』を明確にする」など、「DEIB組織開発」に求められる九つの視点を解説する。例えば「チームの『断層』を埋める」では、多様性が高まることで生じやすいメンバー間の分断を小さくする方法を説明している。第3章では、「施策の意義を腹落ちさせる」「啓発と浸透活動を行う」など、「DEIB推進」のための五つの取り組みを紹介する。このうち、「マネジメントを再考する」では、多様な人材を生かす上で管理職が意識すべきこととして、“管理型から支援型へのシフト” と “支配型から尊敬型のリーダーシップ” を挙げている。締めくくりとなる「事例編」では、資生堂、JTB、丸井グループの具体的な取り組みを紹介しており、実務の参考となる。
■ 本書の大きな特徴は、組織開発を進める上で重要となる心理学的な観点からの解説が充実している点である。ダイバーシティ推進に取り組む企業の担当者はもちろんのこと、広く「組織開発」に関心のある人事担当者にとっても有用な一冊になるだろう。