2026年07月10日掲載

BOOK REVIEW - 『ジョブ型の真実とAIと協働』

山崎 憲 著
明治大学経営学部専任教授 
日本生産性本部生産性労働情報センター 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 近年、「ジョブ型」か「メンバーシップ型」かの議論が繰り返し展開されており、政府や経済界も、低成長といった問題への処方箋として「ジョブ型」を掲げ、日本型雇用慣行の見直しを求めてきた。しかし、筆者は日本の「ジョブ型」議論は本質を捉えていないと指摘する。本書では、日本や諸外国の歴史・政策・現場の実態を丹念にたどりながら、日本の「ジョブ型」議論の問題点を明らかにするとともに、今社会で起きている変化を読み解いていく。

■ 第1章では、欧米における「ジョブ型」の実像とその歴史を振り返ることで、日本における「ジョブ型」議論の問題点を指摘する。そこで筆者は、今日のアメリカ型グローバル企業の競争力の源泉は連携と協働にあると述べ、この「連携・協働」はかつての日本型システムの核心であり、アメリカがそれを輸入し磨き上げたのだという。これを受け、第2章では、かつて競争力を有していた日本型システムが欧米諸国でどのように評価され、それぞれの制度に影響を与えていったかを詳細に見ていく。続く第3章では、米国企業にキャッチアップを試みる日本企業の改革の実態を分析し、日本におけるジョブ型導入の現在地と課題を浮き彫りにする。

■ 書籍タイトルにあるように、「協働」に大きなインパクトを与えつつあるのが「AI」の進化であり、これにより「目に見えにくい協働」を可視化・管理することが可能となった。第4章以降ではこの変化を描くとともに、協働が企業内部へと集約され、労働組合や地域社会等の共同体が弱体化していく状況に警鐘を鳴らす。本書は「ジョブ型」の議論を出発点としながらも、その本質的なテーマは、これからの協働のあり方を問い直すことにある。人材マネジメントや今後の働き方を考える人事担当者にとって一読いただきたい内容である。

ジョブ型の真実とAIと協働

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