2026年07月02日掲載

就業規則のモデル条文 ~定め方・見直し方 - 第9回 労働時間・休憩・休日・休暇②

寺前総合法律事務所 パートナー弁護士
岡崎教行

 第9回も前回に続き、就業規則における、労働時間・休憩・休日・休暇に関する条文について検討していきます。今回は、休日と休暇を取り上げます。

休日

[1]休日の意義

 休日については、労働基準法(以下、労基法)35条が以下のとおり定めています。

(休日)
第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 ここでいう休日とは、労働者が労働契約において労働義務がないとされている日のことであり、単に連続24時間の休業ではなく、「午前0時~午後12時」(「午後12時」は翌日の午前0時の意味)までの暦日の休業をいいます(昭23.4.5 基発535)。
 実務上、よく休日と休暇の違いを聞かれることがあるのですが、休日は、上述のとおり、労働者が労働契約において労働義務がないとされている日です。他方で休暇は、労働者が労働契約において労働義務があるとされている日について、労働者がその権利を行使して、労働義務を消滅させる日のことをいいます。つまり、労働義務の有無が違いになります。

[2]法定休日と法定外休日の違い

 労基法35条に定めている休日を法定休日といい、同法を上回る休日制度(週休2日制や国民の祝日を休日とする制度など)を採用した場合に、法定休日に加えて付与される休日を法定外休日といいます。両者の共通点は、労働義務がない日ということです。
 同法36条に定める休日労働に該当するのは、法定休日に労働する場合のことを指す点に留意が必要です。法定休日に労働させた場合は3割5分の割増賃金、法定外休日に労働させた場合は1週間の法定労働時間である40時間を超えた場合に2割5分の割増賃金の支払いが必要となります。

[3]休日の特定

 労基法は、法定休日の特定を義務づけているものではないと解釈されています。その理由として、①同法35条の文言、②同法89条が「休日」とだけ書かれている点が挙げられます。
 もっとも、行政通達は、就業規則において休日をできる限り特定することが望ましい(昭23.5.5 基発682、昭63.3.14 基発150)としています。
 ここで、週末の土曜日・日曜日を休日とする週休2日制を採用している場合に、いずれの休日が法定休日となるのか、という点が問題となることがあります。
 ①就業規則で、日曜日を法定休日とするとあれば、日曜日となります。②曜日の定めがない場合で、1週間の労働時間を計算するための起点となる曜日(起算日)を就業規則で定めている場合にはそれに従うことになりますが、③そうした定めがない場合には、週の起算日は日曜日となるため(昭63.1.1 基発1・婦発1)、日曜日と土曜日の両方に労働した場合、暦週(日~土)で後に位置する土曜日が法定休日労働になります(厚生労働省「改正労働基準法に係る質疑応答」〔平成21年10月5日〕Q10)。

① 日曜日を法定休日とすると就業規則で定めている場合

法定休日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 法定外休日

③ 就業規則で、法定休日や週の起算日の定めがない場合

法定外休日
または
法定休日
勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 法定外休日
または
法定休日
休んだ
法定休日
勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務した
法定外休日
勤務した
法定外休日
勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 休んだ
法定休日
勤務した
法定外休日
勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務日 勤務した
法定休日

※日曜日が起算日となる

[4]就業規則における休日の定め方

 法定休日を日曜日に固定する場合は次のとおりです。

[具体例1]

(休日)
第●条 休日は次のとおりとする。

① 土曜日、日曜日

② 国民の祝日・休日

③ その他会社が定める日

2 毎週の休日のうち日曜日を法定休日とする。

 ただしこの場合には、日曜日に休日労働をさせると休日割増賃金(3割5分)を支払う必要があります。そこで、以下のような定めをすることで、土曜日と日曜日の両日を働いた場合に、そのうちの1日について割増賃金を支払うことで足りるとすることができます。

[具体例1の変更案]

(休日)
第●条 休日は次のとおりとする。

① 土曜日、日曜日

② 国民の祝日・休日

③ その他会社が定める日

2 毎週の休日のうち、休日労働のない最後の日、またはすべての休日を労働した場合の最後に労働した日を法定休日とする。

 このような定めをすることにより、休日のうち、土曜日だけ休日労働した場合にはその日について時間外割増賃金(2割5分)を、日曜日だけ休日労働した場合にはその日について時間外割増賃金(2割5分)を、土曜日と日曜日の両日休日労働した場合には土曜日が2割5分、日曜日が3割5分の割増賃金を支払うこととなります(前提として、1週間の労働時間を計算するための起点となる起算日を月曜日としている場合)。

[5]休日付与義務

 1週1日あるいは4週4日の休日付与義務について、必ず休日を付与しなければいけない、と誤解されることがあります。
 しかし実際は、36協定を締結した上で、法定休日に勤務させることは可能です。この場合、休日付与義務を履行した上で、適法にその日に労働させたということになるので、労基法35条との関係では、法定休日を与えたという整理になります。

[6]休日の振り替え

 特定の休日を労働日とし、他の労働日を休日とする事前の振り替えのことを振替休日または休日の振り替えといいます。
 振替休日は、事前に休日と労働日を入れ替えるため、本来の休日における労働は労働日における労働となり、休日労働のための36協定の締結や割増賃金の支払いは必要ありません。
 振替休日については、就業規則に定めがなければ、従業員の個別同意が必要となります。振替休日の就業規則例は、次のとおりです。

[具体例2]

(休日の振り替え)
第●条 会社は、業務の都合などやむを得ない事由のある場合、第●条の休日を他の労働日に振り替えることができる。

[7]代休

 代休は、休日のまま労働者に労働をさせた上で、その代償として他の労働日を休日に変更することです。労働させた日が法定休日であった場合には、休日労働のための36協定の締結および割増賃金(3割5分)の支払いが必要となります。
 代休は、事後的ではありますが、労働日の労働を免除するものですから、不就労分の賃金を差し引くことが考えられます。それを行うには、就業規則にその旨を明記しておく必要があります。ただし、休日の労働に対する支払い分1.35(通常の労働分1.00+割り増し分0.35)と代休日に発生しなかった賃金支払い分1.00の差し引きは、同一の賃金計算期間内の場合でなければできません。
 代休について、よく見るものが次の規定例です。

[具体例3]

(代休)
第●条 会社は、従業員が休日に労働した場合には、当該日から1カ月以内に代休を与える。

2 前項の代休は無給とする。

 この場合、休日に1~2時間程度勤務した場合にも、代休を与えなければなりません。代休は、休日に仕事をしたから他の日の労働を免除するという趣旨ですが、1~2時間しか働いていない場合にも代休を付与することは違和感があります。したがって、以下の規定例のように、「8時間以上勤務した場合」という制限を設けるのがよいでしょう。
 また、上記の規定例では、休日に働いた場合には必ず代休を与えなければならないことになりますが、代休を与えるかどうかはその都度考えたい、会社側でイニシアチブを持っておきたいということであれば、次の記載をお勧めします。

[具体例3の変更案]

(代休)
第●条 会社は、従業員が休日に8時間以上労働した場合には、当該日から1カ月以内に代休を与えることがある。

2 前項の代休は無給とする。

休暇

[1]年次有給休暇

 労基法39条1項では、使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならないとしています。また、同条2項は、1年6カ月以上継続勤務した労働者に対して、1年ごとに区分した各期間における全労働日の8割以上勤務した労働者に対して、その継続勤務年数に応じて定める有給休暇を与えなければならないと規定しています。
 年次有給休暇は、労働者が法定要件を充足することによって法律上当然に発生する権利であり、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養とゆとりある生活の実現を図るという趣旨によるものです。
 年次有給休暇については、就業規則の絶対的必要記載事項(労基法89条1号)であるため、就業規則に必ず記載しなければなりません。
 年次有給休暇を就業規則に定める際には、法律にのっとって定めをすれば基本的には足りることになるため、定め方という点において特段留意すべき点はありません。もっとも、手続きの便宜上、年次有給休暇の請求に関して事前申請の定めは設けたほうがよいでしょう。以下に示す規定例では「2日前まで」としています。電電公社此花電報電話局事件(最高裁一小 昭57.3.18判決 労判381号20ページ)は、年次有給休暇の申請を前々日の勤務終了日までとすることを適法としています。ただ、やむを得ない理由でそれが守られなかった場合に、年次有給休暇を取得させないという扱いを行うことには慎重になるべきだと考えます。
 以下は、法律の原則どおり、入社日から6カ月経過時点で有給休暇を付与する場合の定めです。なお、第3項は労基法39条7項で定められた年次有給休暇の年間5日取得義務に関する規定です。

[具体例4]

(年次有給休暇)
第●条 会社は、雇入れの日から6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、10日の年次有給休暇を与える。
 その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において全労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、以下に基づき勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

勤続期間 1年6カ月 2年6カ月 3年6カ月 4年6カ月 5年6カ月 6年6カ月以上
年休付与日数 11日 12日 14日 16日 18日 20日

2 年次有給休暇を請求しようとする従業員は、取得予定日の2日前までに所属長に所定の様式で届け出なければならない。ただし、従業員が請求した時季に年次有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合、会社は時季を変更することがある。

3 会社は、年次有給休暇が10日以上与えられた従業員に対しては、付与日から1年以内に、当該従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日について、当該従業員から意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、従業員が年次有給休暇を取得した場合においては、当該取得した日数分を5日から控除する。

 実務上、年次有給休暇については、全労働者に一律の基準日を定めて与える斉一的付与を取り入れている企業も多くあります。
 それは、入社日基準とすると従業員ごとに有給休暇の発生日が異なり、管理が大変になるためです。斉一的付与を行う場合には、①斉一的取り扱いや分割付与により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものであること、②次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日数を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること――の2点を満たす必要があると通達(平6.1.4 基発1)が定めています。
 斉一的付与を行うことを前提としたのが以下の規定例です。

[具体例5]

(年次有給休暇)
第●条 会社は、毎年4月1日から翌年3月31日までを年次有給休暇の年度とする。

2 勤続期間に応じ、次の年次有給休暇を付与する。

(1)採用初年度は、雇入れ時の月に応じて次の年次有給休暇を与える。

雇入れ月 4〜9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
年休付与日数 10日 9日 7日 5日 3日 1日 0日

(2)次年度以降は、毎年4月1日に、前年度1年間を継続勤務し、全労働日の8割以上勤務した従業員に対して、次の年次有給休暇を与える。なお、採用初年度の勤続期間が1年未満であっても1年に切り上げて取り扱うものとし、切り上げた期間は出勤したものとして計算する。

勤続期間 2年目(採用次年度) 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目以上
年休付与日数 11日 12日 14日 16日 18日 20日
(以下、[具体例4]の2~3項と同じ)

[2]特別休暇

 就業規則の絶対的必要記載事項について定めている労基法89条1項1号の「休暇」とは、年次有給休暇、産前産後休業、生理休暇、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、裁判員休暇、慶弔休暇等を指しますが、ここでは特別休暇について取り上げます。
 特別休暇は、企業が独自に定めるものですので、その定め方は基本的には自由です。例えば多くの企業では、従業員の冠婚葬祭に関する特別休暇として慶弔休暇を定めていると思います。こうした特別休暇を定める際には、無給か有給かを明確にしておくべきでしょう。その一例が以下のものです。

[具体例6]

(特別休暇)
第●条 従業員は、次の各号に該当する場合、各号に定める日数(原則として連続する日数)の特別休暇を取得することができる。

① 本人が結婚するとき:結婚式または入籍のいずれか遅い日から換算して6カ月以内の5日

② 子が結婚するとき:子の結婚式当日を含む2日

③ 配偶者が出産するとき:出産予定日または出産日を含む5日

④ 配偶者、父母または子が死亡したとき:死亡した日から7日

⑤ 祖父母、兄弟姉妹、配偶者の父母または孫が死亡したとき:死亡した日から3日

⑥ 兄弟姉妹の配偶者、配偶者の祖父母および配偶者の兄弟姉妹が死亡したとき:死亡した日から2日

2 前項の休暇日数には、第●条の休日を含む。

3 従業員は、第1項の特別休暇を取得しようとする場合、事前に所属長に所定の様式で届けなければならない。ただし、第1項第3号ないし同項第6号についてやむを得ず事前に申請することができない場合には、事後速やかに申請し、承認を得ることとする。

4 特別休暇は無給とする。

 冠婚葬祭に当たっては、飛び飛びの休みというよりも一定期間の連続した休みが想定されることから、冒頭で「連続する日数」と定めています。
 例えば、従業員本人が結婚する際、新婚旅行に行くことが多いと思いますが、それに充ててもらうために付与する特別休暇を考え、結婚式または入籍日から一定期間内でしか使用を認めない形にしています。これは、結婚して数年たってから新婚旅行に行くという理由での特別休暇は認めないという趣旨です。
 第2項で「休日を含む」というのは、例えば月曜日から金曜日が出勤日である企業において水曜日から新婚旅行で休暇を取る場合に、水曜日から金曜日までの3日に加え、休日である土曜日と日曜日も特別休暇に含まれる(水曜日から日曜日までの5日間が特別休暇となる)ことを意味しています。ただし、このあたりは企業によってさまざまな定め方があり得ると思いますので、自社にとって望ましい形で検討してみてください。

※本稿は個人的見解であり、スタンスの問題による点が含まれることに留意してください。

プロフィール写真 岡崎教行 おかざき のりゆき
寺前総合法律事務所 パートナー弁護士

2000年法政大学法学部卒業、2001年司法試験合格、2002年法政大学大学院卒業、2003年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。経営法曹会議幹事。2015年中小企業診断士試験合格。専門は人事労務を中心とした企業法務。主な著書に『使用者側弁護士からみた 標準 中小企業のモデル就業規則策定マニュアル』(日本法令)。