東京大学名誉教授/労働政策研究・研修機構リサーチフェロー、
厚生労働省労働基準局賃金課中央労働基準監察監督官、
関西外国語大学外国語学部教授
労働政策研究・研修機構

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 近年、日本企業を取り巻く雇用環境は大きな転換期を迎えている。少子高齢化による人手不足の深刻化、働き方の多様化、ジョブ型雇用への関心の高まり、さらにはデジタル技術の進展などを背景に、「日本的雇用システム」は再編を迫られている。本書は、こうした変化の中で日本における雇用システムがどのように形成され、どう変化してきたのかを多角的に分析する。2021年に刊行された『雇用システムの生成と変貌——政策との関連で——』の続編として、前著で整理された歴史的な変遷を踏まえながら、雇用システムの将来像の考察へと議論を発展させている。
■ 本書は、バブル崩壊以降の暗中模索期からアベノミクス下の経済社会改革期(1990~2020年)まで詳解する第1~4章が中心となり、終章で今後の展望を示して締めくくる。各章では、雇用政策や労働市場の変化、企業経営における環境変化との関係にも触れながら、さまざまな制度がどのような役割を果たしてきたのかを丁寧に解説している。また、立法動向を軸に多様な研究成果やデータを基に検証しているため、雇用制度の変遷や改革の背景、論点を体系的に理解できる。
■ 個別の施策や制度の運用ノウハウを示す実務書ではないが、その前提となる歴史的経緯や政策的背景を深く理解させてくれる。人材確保やリスキリング、シニア人材の活用、処遇制度の見直しなど、多くの企業が抱える人事・労務管理上の課題と、雇用システムが密接にリンクしていることについて異論はないだろう。目先の制度改定に追われるだけでは見えにくい「なぜその改革が求められるのか」について、バブル崩壊後から現在までの長期的な時間軸で、本質的な視点を与えてくれる一冊である。
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『バブル崩壊後の雇用システムの適応と変貌——政策との関連で——』 (クリックするとAmazonの商品ページに移動します) |