代表 寺澤康介
(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)
ProFuture代表の寺澤です。
2026年4月23日、リクルートワークス研究所が「第43回ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)」を発表しました。2027年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は、2026年卒の1.66倍よりわずかに低下し1.62倍となりました。2026年卒の求人倍率も2025年卒より0.09ポイント低下しており、2022年卒から2023年卒にかけて上昇して以降、3年連続で上昇した後、2年連続して低下したことになります。
従業員規模別の求人数では、「5000人以上」の企業では前年から増加したものの、「300人未満」、「300~999人」、「1000~4999人」の企業では前年から減少しました。求人数が減少した背景として、前年の新卒採用で計画未達だった企業において、新卒採用予定数を減少させたり、キャリア採用の割合を増やしたりする動きが見られるとのことです。近時は特に大企業において、採用計画の未達かどうかに関係なく、キャリア採用の割合を増やす動きが広がっているイメージが強いですが、それにもかかわらず新卒採用の求人数はさらに伸びているわけですから、大企業の採用意欲の力強さには驚くばかりです。
2026年3月時点で文系6割以上、理系は4分の3が内定取得済み
今回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2027年卒業予定の同サイト会員学生を対象に実施した「2027年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」(調査期間:2026年3月5~16日)の結果から、2026年3月初旬時点(以下、2026年3月時点)の内定(内々定)に関連する項目について取り上げます。
※以下、同調査結果の割合(%)は、小数点以下を四捨五入して整数で表示しています。
そのため、合計が100%にならない場合があります。
まずは、2026年3月時点で既に取得した内定(内々定)社数を確認してみましょう。文系では「0社」が36%で最多となっていますが、理系では「1社」が最多で31%、「0社」は26%と4分の1程度にとどまっています[図表1]。つまり、少なくとも既に1社以上から内定を受けている学生は、文系で6割以上、理系では約4分の3に上っていることになります。さらに、“2社以上” (「2社」~「10社以上」の合計)の割合は、文系で35%、理系で43%と、4割前後の学生は既に入社企業を複数の選択肢から選ぶことができる状態であることがうかがえます。また、文系・理系ともに2%の学生は “7社以上” (「7~9社」と「10社以上」の合計)と回答しています。この時期にこれだけの内定を保有しているとなると、もはや “内定コレクター” と呼んでもよいかもしれません。
[図表1]文理別 既に取得した内定(内々定)社数(2026年3月時点)

資料出所:HR総研×就活会議「2027年新卒学生の就職活動動向調査(2026年3月)」([図表2~8]も同じ)
少なくとも1社以上から既に内定を受けている学生が多数派となっていますが、就職活動をしている学生は、内定承諾を決断して就職活動を終了するまでに、いったい何社程度からの内定を得たいと考えているのでしょうか。そこで、就職活動を終了するまでに内定を獲得したい社数を聞いてみたところ、「第一志望に内定すれば1社でよい」が圧倒的に多く、文系で61%、理系で66%と、文理いずれでも6割を超えています[図表2]。これに「2~3社」が文系で22%、理系でも21%と続きますが、いずれも2割程度にとどまっています。多くの学生は、内定社数が多ければ多いほど良いと考えているわけではなく、第一志望の企業からできるだけ効率的に内定を得て、納得して就職活動を終えたいと考えているようです。
[図表2]文理別 就職活動を終了するまでに内定(内々定)を獲得したい社数

ちなみに、「4~5社」は文系・理系ともに11%となっていますが、「6社以上」の割合は理系の2%に対して文系は6%と、文系のほうがより多くの内定を得ておきたいと考える学生の割合が高くなっています。[図表1]で見た “7社以上” の学生の多くは、まさにこの層の学生ということなのでしょう。
2026年3月時点で、内定取得者の6割が就活を終了
では、2026年3月時点で内定承諾し、就職活動を終了した学生はどの程度いるのでしょうか。内定を1社以上から得ている学生の中で、「内定承諾した、もしくは、内定承諾する企業を決めた」とする割合は、文系で50%、理系で54%となっており、既に半数程度に上っています[図表3]。また、「まだ決めかねているが、就職活動は終了した」割合は文系10%、理系8%で、これらを合計した “就職活動を終了した” とする学生は文系で60%、理系で62%と、文理いずれでも6割程度に上ります。政府が定める就活ルールでは、大学3年生の3月からプレエントリーや会社説明会参加といった就職活動解禁、4年生の6月から面接選考解禁となっていますが、実際には3月時点で7割近くの就活生が既に内定を取得し、さらにその6割は就職活動を終了している、つまり就活生全体の4割程度は既に就職活動を終了しているということになります。しかし、これだけ形骸化している就活ルールについて、政府が2029年卒の学生からの適用を検討している見直し案では、解禁時期をそれぞれ1カ月程度前倒しする案も出ているといいます。昨今の企業と学生の就職活動への対応などを踏まえると、政府の議論は論点が大きくずれているように思えてなりません。
[図表3]文理別 内定承諾の状況(2026年3月時点)

“内定承諾した(決めた)” (「内定承諾した、もしくは、内定承諾する企業を決めた」)学生と、“まだ決めかねている” (「まだ決めかねているが、就職活動は終了した」と「まだ決めかねており、就職活動を続ける」の合計)学生の2グループに分けて、「就職活動を終了するまでに内定を獲得したい社数」の傾向を比較してみました。その結果、“内定承諾した(決めた)” グループでは「第一志望に内定すれば1社でよい」の割合が74%と圧倒的であるのに対して、“まだ決めかねている” グループでは46%と半数未満にとどまり、その差は28ポイントにもなります[図表4]。逆に、「2~3社」「4~5社」「6社以上」を選択した学生の割合は、“まだ決めかねている” グループと “内定承諾した(決めた)” グループとを比較して、約2倍から3倍にもなっています。したがって、この時期に内定承諾する学生は、第一志望に効率よく内定し、あまり迷うことなく納得した上で内定承諾の決断ができていることがうかがえます。このことから、3月初旬という超早期に内定承諾をした学生は、入社意欲の高い学生であると推測され、承諾後に辞退に転じる可能性が比較的低いと捉えてよさそうです。
[図表4]内定承諾別 就職活動を終了するまでに内定(内々定)を獲得したい社数

2026年3月時点で既に内定を受けた学生を対象に、内定を受けた時期を聞いたところ(複数回答)、文系で最も多かったのは「2026年2月」で28%、次いで「2025年12月」21%となっています。一方、理系では「2025年12月」と「2026年2月」がどちらも28%で最多で、次いで「2026年1月」も25%と多くなっていました[図表5]。理系では12月から翌年の2月に内定出しが集中しており、その他の月では「2025年1月」の11%を除いて1桁台となっています。一方、文系では早期に2桁台となった月はなく、その代わり「2025年10月」が10%、「2025年11月」が16%と、理系よりも早くピークを迎えています。また、文系では、「2025年8月」7%、「2025年9月」9%となだらかにピークに向かっていくのに対し、理系は「2025年10月」「2025年11月」の9%から「2025年12月」の28%へと急激にピークを迎えている様子がうかがえます。
[図表5]文理別 内定(内々定)を受けた時期(複数回答)

「2024年12月以前」が文系・理系ともに3%となるなど、超早期の「2025年4月」までは内定出しが見られるものの、「2025年5月」「2025年6月」には内定出しがいったん落ち着き、内定を受けた学生はゼロとなっています。そして、秋口には夏期インターンシップに参加した学生を対象とした早期選考による内定出しが始まり、年末年始の内定出しのピークへと進んだものと推察されます。
4割の学生は中堅・中小企業を志望
学生が2026年3月時点で内定承諾した企業の規模について見てみると、文系・理系ともに「5001名以上」が最多でそれぞれ35%、44%に上っています[図表6]。これに次いで、文系では「1001~5000名」が27%、理系では「101~300名」が18%、「1001~5000名」が16%となっています。文系・理系ともに “1001名以上” (「1001~5000名」と「5001名以上」の合計)の大企業に内定承諾した割合が6割程度と多数派となっていることが分かります。3月初旬の時点で内定出しを行っている企業は大企業が多い傾向にあるため、内定承諾先も大企業が多数派となるのは当然であるものの、残りの4割程度は中堅・中小企業に内定承諾している点も見逃せません。
[図表6]文理別 既に内定承諾した企業の規模(2026年3月時点)

では、中堅・中小企業への入社を志望して内定承諾した、もしくは企業規模を問わない学生は、どのような理由からそのような意向を持っているのでしょうか。フリーコメントで寄せられた理由の中から、主な意見を抜粋して紹介します。
・大きな会社だと個人として働いている実感が持てないと思うから(文系、一橋大学)
・大企業だと会社の歯車になりそうで、規模の小さい会社のほうが裁量を持って働けそうだから(文系、立教大学)
・企業規模よりも、自分が活躍できるか、やりたい仕事ができるかを重視しているから(文系、新潟経営大学)
・大手だから自分にとって良いとは思わないから(文系、東洋大学)
・やりたいことができる環境を優先しているから(文系、明治大学)
・中堅企業はある程度の責任感を持ちつつも、バランスよく働けると考えているから(文系、愛媛大学)
・規模より事業内容を優先したいから(理系、早稲田大学)
・大きな会社でたくさんの人と関わるのがあまり得意ではないから(理系、秋田県立大学)
・自分の望む勤務地で勤務できればいいと思っているため(理系、青森大学)
・社員が少ない環境のほうが、働きやすいと感じているから(理系、日本福祉大学)
・自身の企業選択の軸として、仕事の内容と人の雰囲気を大切にしたいから(理系、名城大学)
・就職したい分野であることを重視しているから(理系、新潟大学)
・企業規模よりも、働く職種やチーム、声の通りやすさ、風通しの良さのほうが日々の仕事に大きく直結すると考えるから(理系、東北大学)
早期の内定承諾は「就活開始時から第一志望だった」がトップ
早期に内定承諾を決めた理由では、文系・理系ともに「就活開始時から第一志望の企業だったから」が最多で、文系で49%と半数程度、理系では64%と6割を超えています[図表7]。理系のほうが第一志望だった企業から内定を取得できた割合が15ポイント高くなっており、それだけ理系のほうが「売り手市場」の恩恵を受けているといえそうです。
また、「採用選考を受ける中で入社意欲が高まったから」(文系25%、理系16%)と「インターンシップや説明会への参加で入社意欲が高まったから」(同22%、14%)を合わせると、文系の半数近く、理系の3割は第一志望ではなかったものの、就職活動を通じて入社意欲が高まったとしています。
[図表7]文理別 内定承諾を決めた理由

では、どんなことが入社意欲を高めるきっかけになったのでしょうか。フリーコメントからは、社員の印象の影響力が大きいことがうかがえます。
・社員の人柄を知ったこと(文系、福岡大学)
・社員の方と話をする中で自分に合っていると感じたこと(文系、一橋大学)
・社内イベントで学生や社員の方と話す機会が増え、会社へのイメージが高まったこと(文系、明治大学)
・社員がどんな質問でも答えてくれたこと(文系、ウーロンゴン大学〔豪〕)
・カジュアル面談での対応に好感が持てたこと(文系、大妻女子大学)
・面接官や人事の方がとても優しそうで雰囲気が良かったこと(理系、秋田県立大学)
・ずっとサポート受けることができると聞いて、自分のペースで成長できそうと感じたこと(理系、青森大学)
育成系の内定者フォローにも強い関心
最後に、内定後のフォローとして企業に実施してほしいことを、2026年3月時点の内定承諾の有無別に確認してみます。内定承諾の状態にかかわらず、「内定者懇親会」を望む学生の割合が最も多く、“2026年3月時点で内定承諾した学生” ([図表3]で「内定承諾した、もしくは、内定承諾する企業を決めた」と回答した学生)では73%、“その他学生” (同「まだ決めかねているが、就職活動は終了した」または「まだ決めかねており、就職活動を続ける」と回答した学生の合計)では59%となっています[図表8]。これに次いで、「若手社員との懇親会」がそれぞれ41%、37%に上っています。学生は総じて、まずは内定を受けた学生同士や同世代の若手社員とのコミュニティー形成と交流を望んでいることがうかがえます。中でも、既に内定承諾した入社意欲の高い学生は、「内定者懇親会」を望む割合が特に高いことが分かります。せっかく早い時点で内定承諾したのだから、これから同じ会社で同期となるであろう学生同士で交流し、入社までに仲間をつくって、安心して入社式を迎えたいという考えの表れなのでしょう。
[図表8]内定承諾の有無別 内定後のフォローとして企業に実施してほしいこと(複数回答)

なお、内定承諾の有無別に順位は異なりますが、3位、4位にはどちらも「資格取得支援」と「eラーニング・通信教育」がランクインしています。また、「入社前集合研修」も比較的上位にランクインするなど、人材育成系のフォローが望まれているようです。知識・スキルを取得し、いち早く入社先企業の戦力になりたいという意欲の高さがうかがえます。企業としては、このような学生のニーズに応えつつ、内定受諾から長期戦となる内定者フォローを持続可能な形で実施することが期待されています。
次回は、今回と同じく「2027年新卒学生の就職活動動向調査(3月)」の結果の中から、2026年5月の本稿で紹介できなかった就職意識に関連した項目と、HR総研が採用担当者を対象に2026年6月に実施する「2027年&2028年新卒採用動向調査(6月)」の結果をいち早くお届けします。
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寺澤康介 てらざわ こうすけ ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長 1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。 著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。 https://www.hrpro.co.jp/ |
