臨床心理学者/成人発達学者/オーセンティックワークス株式会社 代表取締役
日本能率協会マネジメントセンター

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「部下を思って叱った言葉が、パワハラだと一蹴されてしまう」「制度改革や企業文化の刷新を目指したプロジェクトが、現場に根づかず形骸化してしまう」——このような逆説が、変化を生み出そうとする現場で繰り返されている。こうした複雑な問題に対して、私たちはどのように向き合い、適切な支援をしていけばよいのだろうか。本書では、25年以上にわたり人の心と向き合ってきた臨床心理学者である著者が、「インテグラル・サイコセラピー」(統合心理療法)という考え方を提案している。これは、思考や感情といった心理的側面だけでなく、身体感覚、他者との関係性、文化的・社会的背景などの多層的観点から「全体としての人間」を理解し、支援するための統合的アプローチである。
■ 本書では、米国の思想家が提唱する「インテグラル理論」を土台に、主観と客観、個人と集団という四つの視点や発達段階などを組み合わせた枠組みを紹介し、善意が逆効果を生む逆説をひもといていく。特に発達段階については、それぞれの段階における適切な支援方法に言及している。また、大きな特徴として、「成人発達理論」と「インテグラル理論」の統合を図っている点が挙げられる。発達段階ごとに異なる世界観を理解しつつ、それを文化的文脈、身体的体験、関係性の中で支援する手法を体系化し、各発達段階の「世界の見え方」に寄り添いながら支援を行うことが核となっている。
■ 本書は、サイコセラピストのための専門書ではなく、リーダーシップ、マネジメント、カウンセリング、組織変革・組織開発といった、他者と協働しながら変化を生み出す営みのための実践書である。経営者や現場のマネジャー、人事担当者など幅広いビジネスパーソンの一助となるだろう。
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心の複雑さに向き合うとは、どういうことか 成人発達理論がひもとく痛みと成熟の心理学 内容紹介 リーダー、コーチ、コンサルタント、教育関係者、セラピスト—— 「役に立ちたいと思って行ったアドバイスが、真逆の結果を招いてしまった」 変化はいつも「人」を通して生まれます。けれど善意から始めた関わりが、思いもよらぬ停滞や対立を生むことも、決して少なくありません。 「気づけば、同じ状況を繰り返している」 本書が扱うのは、こうした個別の悩みへの即効的な処方箋ではありません。 人の心は、なぜこれほどまでに複雑なのか。 |
