2026年03月27日掲載

BOOK REVIEW - 『なぜコンプライアンス違反はなくならないのか? ~法と心理の観点から読み解く~』

波戸岡光太 著
アクト法律事務所 弁護士、ビジネスコーチ 
四六判/212ページ/2200円+税/日本生産性本部生産性労働情報センター 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ ルールを “知っていること” と “守れること” の間には大きな隔たりがあり、これを探るためのヒントになるものが社会心理学である。社会心理学は、個人が社会や集団、組織の中に置かれたときに受ける影響や取る行動などを明らかにしようとする学問だ。本書では、コーチング弁護士として多くの企業でコンプライアンス研修を行ってきた筆者が、法律という「守るべきルール」と、社会心理学が明らかにする「心の動き」について、身近な例を用いながら解説する。

■ 第1章で、コンプライアンスと、これを理解する上で欠かせないキーワード「インテグリティ(誠実さ)」の概要に触れる。本書のポイントとなる第2章は、コンプライアンス違反が起きる「自己正当化バイアス」「内集団バイアス」など九つの心理について、実際に職場で起こり得るケースを基に説明している点が分かりやすい。第3章は「職場」「会社」「取引先」「お客様」「情報」の5分野に関わる各種法律(労働法、会社法、民法、独占禁止法、中小受託取引適正化法等)の要点を押さえ、終章となる第4章で企業がコンプライアンス体制を整えるために必要な10のポイントをコンパクトに解説している。

■ コンプライアンス違反は、悪意やモラルの欠如だけで起きるものではなく、集団心理が影響し得ることを認識する必要があり、一人ひとりが誠実に行動し、間違った方向に働かないような環境をつくることが、企業がすべき真のコンプライアンス対策ではないかと筆者は問いかける。「人はなぜ誤った判断をするのか」を理解し、自社のインテグリティを発揮できる環境をつくる一助として、本書を活用いただきたい。

なぜコンプライアンス違反はなくならないのか? ~法と心理の観点から読み解く~

内容紹介

企業不祥事が報道されるたび、私たちは、「なぜそんなことをしたんだろう」と、批判的に見てしまいがちです。しかし、不正を起こす原因や仕組みを読み解いていくと、そこには、誰もが影響を受けている「人の心理」が関係しており、その心理を理解することが、コンプライアンス違反を防ぐことにつながります。

本書は、数多くの企業事例と向き合ってきた弁護士・ビジネスコーチの著者が、コンプライアンス違反の奥にある心理とともに、コンプライアンスに関わる5つの法律分野、企業が「コンプライアンス体制」を整えるために必要なポイントなどについて、丁寧に解説しています。

【目次】
第1章 今の時代の “コンプライアンス”
第2章 コンプライアンス違反の奥にある心理
第3章 知っておきたいコンプライアンスに関わる5つの法律分野
第4章 企業が「コンプライアンス体制」を整えるために必要な10のポイント