2026年03月13日掲載

BOOK REVIEW - 『偽装請負を防ぐフリーランス・個人事業主の「労働者性」判断 法理・判例・指針』

佐藤広一 著
HRプラス社会保険労務士法人 代表社員 特定社会保険労務士 
A5判/216ページ/2600円+税/中央経済社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 「労働者とは誰か?」——近年、多様な働き方が広がりつつある中で、企業と業務委託契約をして就労するフリーランスや個人事業主が急増している。しかし、外形的には業務委託であっても、実態は使用者の指揮命令を受けているなどして「労働者」と判断された場合には、未払い賃金などの労務問題、さらには偽装請負の問題にも発展する可能性があり、企業は大きなリスクを伴う。そこで本書は、企業が安心して業務委託契約者を活用し、適法に戦力化することができるよう、法律上の定義と業務委託契約の側面からこれらの問題を整理・解説する。

■ 第1章は、各労働関係法規によってニュアンスが異なる「労働者」の定義・解釈についてまとめている。第2章は、労働基準法における「労働者」の判断基準について、裁判実務等で具体的基準として用いられている枠組みを紹介し、「使用従属性」に関する基本的な考え方と裁判例上の論点を整理する。第3章は、労働基準法上の「労働者」よりも広い概念として、異なる基準が用いられる労働組合法における労働者性の判断要素を紹介。第4章は、労働者性の問題と混同されがちな「偽装請負」に関して、適正な請負契約との違いを図解して、分かりやすくまとめている。第5章は2024年11月に施行されたフリーランス法について、第6章は『労働基準関係法制研究会報告書』を引用しながら「労働者」の解釈をめぐる今後の検討課題に言及する。

■ 本書は、労働者性判断に関する行政解釈資料を多用し、正確性と客観性を担保しつつ、網羅的にフリーランスと個人事業主の労働者性について解説している。行政に準拠した実務対応を行う人事担当者や、労働者性の問題に関心がある実務家にとって参考となる一冊である。

偽装請負を防ぐフリーランス・個人事業主の「労働者性」判断 法理・判例・指針

内容紹介
多様な働き方時代のもとでのフリーランス・個人事業主の労働者性判断と偽装請負リスクを体系的に整理し、適正な業務委託活用に企業を導くための本。

多様な働き方が当たり前となった現代において、「労働者とは誰か」という問いは、もはや理論上の問題ではなく、企業経営や人事実務の根幹に直結するテーマです。フリーランスや個人事業主を業務委託契約で活用する企業が増加する一方で、労働者性の判断を誤れば、未払い賃金や社会保険未加入、偽装請負といった深刻なリスクを招くことになります。

本書『偽装請負を防ぐフリーランス・個人事業主の「労働者性」判断』は、厚生労働省の行政解釈や研究会報告及び裁判例等の公情報から請負・委任契約での「労働者性」を体系的に整理し、実務家と企業の人事担当者の方々にフリーランスの適法かつ戦略的な活用のための指針を示す一冊です。