代表 寺澤康介
(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)
ProFuture代表の寺澤です。
2026年1月21日、与信管理クラウドサービスを提供するリスクモンスター株式会社は、第11回「大学1、2年生が就職したいと思う企業・業種ランキング」調査結果を発表しました。1位は「任天堂」(回答率4.7%)で、2位「国家公務員」(同3.7%)、3位「グーグル(Google)」(同3.5%)、4位「地方公務員」と「アップル(Apple)」(同3.2%)、6位「サンリオ」(同3.0%)、7位「ソニー」(同2.8%)、8位「味の素」(同2.7%)、9位「トヨタ自動車」と「ソニー・ミュージックエンタテインメント」(同2.5%)がトップ10となります。
過去10回の調査のうち、8回で公務員(国家公務員、地方公務員)が1位、2位を占めていたようですが、第11回では「地方公務員」はトップ3からも外れるなど、公務員人気にやや陰りが見えます。ちなみに、2024年12月発表の第10回調査では、1位「国家公務員」(回答率6.5%)、2位「地方公務員」(同5.7%)、3位「任天堂」(同5.0%)となっていました。
第11回のトップ10をはじめとする上位企業には、エンターテインメントサービス提供企業をはじめ、スマホや食品、自動車など生活に身近な企業がランクインしており、就活本番となる大学3年生を対象とする就職人気企業ランキングとはずいぶんと顔ぶれが異なることが分かります。就職先としての企業の見方が変わるタイミングやきっかけがどこにあるのか、気になるところです。
採用計画の2倍以上の内定数が必要な中堅企業
今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に実施した「2026年&2027年新卒採用動向調査」(調査期間:2025年11月26日~12月5日)の結果の中から、2027年卒採用の最新情報をお届けします。ぜひ参考にしてください。
※以下、同調査結果の割合(%)は、小数点以下を四捨五入して整数で表示しています。
そのため、合計が100%にならない場合があります。
まずは、2027年卒採用計画数の前年との比較です。全体では、前年同時期に調査した「2025年&2026年新卒採用動向調査」(以下、前回)と同様に45%が「前年並み」と回答し、「未定」と「採用なし」の合計は40%(前回38%)でした。「減らす」は3%(同4%)にとどまり、「増やす」は12%(同13%)と、依然として「増やす」が「減らす」を上回る傾向が続いています[図表1]。
[図表1]2027年卒の採用計画数の前年比較

資料出所:HR総研「2026年&2027年新卒採用動向調査」(2025年12月)([図表2~11]も同じ)
従業員規模別で見ると、1001名以上の大企業で「増やす」は9%であるのに対して、301~1000名の中堅企業と300名以下の中小企業ではどちらも13%と大企業を上回ります。大企業では、「前年並み」が68%と7割近くに及び、他の規模と比較して「減らす」が6%と最も高く、「増やす」との差は3ポイントにとどまります。大企業での新卒採用数の拡大傾向は弱まってきているといえるでしょう。近年、大企業では年間の採用数全体に占めるキャリア採用比率を高める傾向にあり、その影響が現れているものと推測されます。
一方、中小企業では「採用なし」が31%(前回30%)と依然3割を超えているものの、前述した「増やす」は前回よりも3ポイント増えるとともに、「減らす」はわずか1%(同3%)にとどまるなど、新卒採用意欲の高まりが感じられます。
新卒採用においては、内定を辞退する学生が一定数出てしまうことから、採用計画数を上回る数の内定を出すことが一般的です。では、どの程度の割り増しを想定しているのでしょうか。2027年卒採用における採用計画数に対する内定予定数を聞いたところ、全体では「1.2倍程度」が最も多く34%と約3分の1を占め、次いで「1.0倍(採用計画数と同じ)」28%、「1.5倍程度」22%が続きます[図表2]。「2.0倍以上」(「2.0倍程度」と「2.5倍以上」の合計)も17%と2割近くあります。
[図表2]2027年卒の採用計画数に対する内定予定数

従業員規模別で見ると、大企業では「1.2倍程度」が41%と4割を超え、「2.0倍以上」も12%と1割を超えています。「1.0倍(採用計画数と同じ)」が最も少なかったのが9%にとどまった中堅企業で、逆に「2.0倍以上」の割合が34%と、他の規模と比較して顕著に高くなっています。内定辞退への対応に非常に苦労していることがうかがえます。
一方、中小企業では、採用計画数がごく少人数の場合、内定辞退が発生しなかった際に過剰な内定者を抱え込むリスクを考えると、安易な内定数の割り増しはしづらいものです。そのため、一定の内定辞退を見越して内定を出すのではなく、全員が承諾してくれる前提で内定を出し、万一、辞退者が出た場合にはその時点で改めて選考・内定出しを行うという考え方となります。その結果、「1.0倍(採用計画数と同じ)」が42%と最も多くなっている反面、「2.0倍以上」はわずか7%と、大企業を下回る割合となっています。
最重要課題は「ターゲット層の応募者を集めたい」
次に、2027年卒採用に向けた課題(複数回答)について見てみましょう。全体で最も多かったのは、「ターゲット層の応募者を集めたい」で47%と半数近くとなり、2位の「応募者の数を集めたい」(30%)を大きく引き離しています[図表3]。単に応募数全体の底上げをしたいというよりも、重点ターゲット層の応募数の確保に苦心している企業が多くなっています。次いで、「内定辞退者を減らしたい」(27%)、「大学との関係を強化したい」(25%)、「採用ホームページをもっとよくしたい」(24%)などが続きます。
[図表3]2027年卒採用に向けた課題(複数回答)

従業員規模別で見ると、大企業では「ターゲット層の応募者を集めたい」が53%と半数を超え、「応募者の数を集めたい」(24%)の2倍以上となっています。また、大企業が他の規模と比べて多かったのが「採用数の根拠を明確にしたい」32%(中堅企業18%、中小企業15%)で、大企業では2位となっています。安易に「前年並み」と採用計画数を出すのではなく、どういったスキル・知識を持った学生が、どれだけ必要なのかをより明確にしたいとの意図がうかがえます。ジョブ型採用(職種別採用)が広がりを見せる中、当然出てくる課題だといえるでしょう。
中堅企業で特徴的なのが「大学との関係を強化したい」で34%と、大企業18%、中小企業23%と比較して顕著に高くなっています。ターゲット層の確保のためにも、大学のキャリアセンターや研究室との関係をより密なものにして、大学ルートからの学生確保を増やしたいとの狙いが見えます。その他、中堅企業では「内定辞退者を減らしたい」(36%)も、他の規模(大企業26%、中小企業21%)より10ポイント以上高くなっています。[図表2]で、採用計画数の「2.0倍以上」の内定者を予定する割合が高かったことの背景が垣間見えます。
採用担当者から寄せられた具体的な課題についてのフリーコメントの中から、一部を抜粋して紹介します。今回は経営層に向けた苦言が多数ありました。
【経営層関連】
・経営層が新卒採用にお金をかけたがらない(301~1000名、メーカー)
・経営陣の意識が昔のまま。今は本当に超売り手市場で、企業側に選択肢がない状態。経営に新卒採用の苦労を分かってほしい(301~1000名、商社・流通)
・経営層と現場責任者の求める人材像の乖離(300名以下、マスコミ)
・経営層が求める人物像の理想が高く、内定を出せる学生が少ない(300名以下、メーカー)
【人事部門関連】
・採用活動に係る工数の効率化、グループ会社間でのプロセスの標準化・共通化、採用ブランド強化(1001名以上、メーカー)
・社内の採用担当者のスキル不足により対応が遅れがちであるとともに、きめ細かい学生対応ができていない(300名以下、商社・流通)
・面接人員が不足している現状を鑑み、各人員の面接スキルの向上などにより、効率的な採用活動を実施できるようにする必要がある(300名以下、コンサル)
・採用全般における同業他社との差別化、採用担当者の負荷軽減(300名以下、メーカー)
・AIを活用し、効率的かつ効果的な採用を実行していきたいが、AIに関する知識や活用スキルが追い付いていない(300名以下、マスコミ)
・業務量過多により定常業務に終始している(1001名以上、メーカー)
・リソース不足に伴う準備不足(1001名以上、メーカー)
【応募者関連】
・学生の企業選定の重視点が「福利厚生の充実」にあることから、まずは福利厚生の現状やトレンドについての分析が必要(300名以下、商社・流通)
・内定から入社までの期間が長いので、内定後の学生との “にぎり” が重要(301~1000名、情報・通信)
・受験者の志望度の低さ(301~1000名、コンサル)
・経営への意識や関心がある人はターゲットそのものであるが、それに気づいていない人にどうアプローチするか(1001名以上、情報・通信)
・学生に刺さる企業PRをどのように行うか(301~1000名、メーカー)
・理系学生の早期選考、獲得(301~1000名、メーカー)
・外国籍社員の採用(300名以下、運輸)
・情報系等の特定のスキル保有者をターゲットとする人材採用、地方採用、データドリブンな採用活動(1001名以上、メーカー)
【その他】
・そもそも新卒採用を継続することを是とする組織構造を続けるのかどうか(1001名以上、メーカー)
・内定者への引っ越し手当などの補助的制度がない(301~1000名、メーカー)
“対面回帰” の傾向がさらに加速
ここからはインターンシップについて取り上げます。まずは、2027年卒採用向けインターンシップの実施状況を尋ねたところ、全体では「未定・検討中」が22%あるものの、61%が「実施する」(「前年は実施していないが、今年は実施する」と「前年同様に実施する」の合計)と回答しています[図表4]。
[図表4]2027年卒採用向けインターンシップの実施状況

従業員規模別で「実施する」割合を比較してみると、大企業85%、中堅企業61%、中小企業47%と、大企業では大半の企業で実施しているのに対して、中小企業での実施率は5割を下回っています。中小企業では、「未定・検討中」が31%と3割を超えているなど、採用活動の計画開始自体が遅れている感が否めません。前回との「実施する」割合比較では、大企業では3ポイント増、中小企業では2ポイント減にとどまっています。これに対して、中堅企業では前回の84%から23ポイントも減少しており、この大きな落差は気になるところです。一方で「未定・検討中」の割合が10ポイント近く増えており、中小企業と同様に採用活動の計画開始の遅れがうかがえます。
次に、2025年12月までに実施したインターンシップの形式について尋ねました。全体では、「全て対面形式で実施」が40%と前回の51%から11ポイント減少しています[図表5]。その代わり、「対面形式とオンライン形式を混合して実施」が54%と前回の43%からちょうど11ポイント増えていますので、両者を合わせた「対面形式を一部でも実施」した割合は前回と全く同じ94%となっています。「全てオンライン形式で実施」は今回もわずか6%にとどまっています。
[図表5]2025年12月までに実施したインターンシップの形式

従業員規模別に見ると、「全て対面形式で実施」は中堅企業が最も少なく26%、大企業は38%、中小企業では55%と半数を超えています。「対面形式とオンライン形式を混合して実施」と合わせると、大企業で93%、中小企業では90%といずれも9割を超えており、中堅企業に至っては100%となっています。「全てオンライン形式で実施」は極めて少数派となってきており、 “対面回帰” が大きく進行しています。
インターンシップを有効活用できていない中堅企業
次に、インターンシップの開催ピークである2025年8~9月に対面形式で実施したインターンシップの日数タイプ(複数回答)を尋ねたところ、全体で最も多かったのは「1週間程度」(40%)で、次いで「半日程度」(29%)、「2~3日程度」(25%)、「1日程度」(24%)と続きます[図表6]。前回の調査と比較すると、「半日程度」が前回の17%よりも12ポイント増加し、その半面、「1日程度」は前回の44%から20ポイントも減少しており、前回の1位から4位に後退しています。
[図表6]2025年8~9月に対面形式で実施したインターンシップの日数タイプ(複数回答)

従業員規模別に見ると、大企業では「1週間程度」が50%と前回の42%から大きく増加し、中堅企業の38%、中小企業の31%と比較して顕著に多くなっています。また、大企業では前回の調査で回答が多かった、オープン・カンパニー[注]に当たる「半日程度」はわずか6%(前回17%)にとどまり、「1日程度」も前回の50%から28%へと20ポイント以上も減少しています。三省合意によりインターンシップは「5日間以上」と定義されたことを受けた結果といえるでしょう。「1週間程度」だけでなく、「2週間程度」11%(前回0%)、「3週間~1カ月程度」11%(同8%)、「1カ月以上」6%(同0%)と、長期インターンシップの実施割合も軒並み増えています。
[注]オープン・カンパニー:2022年6月改正の「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(三省合意)により整理された、 “学生のキャリア形成支援の取り組み” の4類型の一つ。参加期間が非常に短く(単日)、実際の就業体験がないものを指す
一方、中堅企業と中小企業では、「1日程度」がそれぞれ前回44%→29%、同39%→13%へと減少した代わりに、それより手軽な「半日程度」が同17%→33%、同17%→50%へと大きく増加しています。「1週間程度」を実施する割合は、中堅企業も中小企業も前回・今回ともに3割台で大きくは変動していません。
インターンシップと採用選考との連動状況について聞いたところ、全体では半数以上の52%が「選考と結び付ける」と回答し、「選考とは結び付けないが、優秀な学生においては考慮する」も22%となっており、両者を合わせた「選考と少しは結び付ける」企業が74%と、全体の4分の3程度を占めています[図表7]。「選考とは一切関係ない」とする企業がいまだに6%あることに驚きます。
[図表7]2027年卒採用のインターンシップと採用選考との連動状況

従業員規模別に見ると、「選考と結び付ける」と回答した割合が最も多かったのが大企業の55%で、次いで中堅企業52%、中小企業48%と、従業員規模が大きい企業ほど、選考と結び付けていることが分かります。大企業では、「選考と少しは結び付ける」が86%と8割超、中小企業は72%と7割超であるのに対して、中堅企業では63%にとどまっています。一方、中堅企業の「参加学生には採用情報を知らせる程度」は33%にも上っていて、インターンシップを有効活用できていないことが、中堅企業で新卒採用に苦戦している企業の割合が高い要因の一つかもしれません。
大学3年生の6月以前に大企業の半数以上がセミナーを実施
次は、セミナー・会社説明会(以下、セミナー)の開催時期(複数回答)についてです。[図表8]は、開催月別の推移を折れ線グラフでまとめたものです。全体では、セミナー開催のピークは「2025年6月以前」の35%です。あまりの早さに驚きます。次いで「2026年3月」(32%)で、「2025年9月」「2025年11月」「2026年1月」「2026年2月」がいずれも31%となってます。ただ、「2025年6月以前」から「2026年3月」まで20%台後半から30%台が続いており、特に大きな山(ピーク)がないまま推移しています。
[図表8]2027年卒採用のセミナー・会社説明会の開催時期(複数回答)

従業員規模別で見ると、全体で「2025年6月以前」が最も多かった理由が、大企業にあることが分かります。大企業では「2025年6月以前」に既に56%がセミナーを実施しており、「2025年8月」(35%)と「2025年9月」(32%)も3割台となるものの、以降の月は早くも20%台前半から10%台に落ち着いてしまいます。全体で2番目に多かった「2026年3月」でも18%にとどまり、「2026年4月」には早くも1桁台(9%)になる見込みです。かつて経団連が就活ルールの推進役だった時代には、就活ルール上の採用広報解禁(会社説明会解禁)である「3月」(今回であれば「2026年3月」)は多くの大企業が会社説明会を開催したものですが、今や就活ルールを最も意識していないのが大企業だと言っても過言ではないでしょう。
中堅企業では、「2025年6月以前」は23%と大企業に後れを取ったものの、「2025年7月」以降は30%台から40%台が継続して続き、他の規模の企業よりも高い割合でセミナーが実施されています。この傾向は前回の同時期でも見られており、母集団形成のためにセミナーを数多く開催する様子がうかがえます。開催のピークは、「2025年12月」の48%で、前後の「2025年11月」と「2026年1月」もいずれも45%と高くなっています。「2026年2月」で41%とやや低くなった後、「2026年3月」で再び45%へと増加し、2回目のピークを迎える見込みです。
一方、中小企業の傾向は他の規模と比べて最も全体傾向に近く、「2025年6月以前」が32%で最も多く、次に「2026年3月」が31%と再び30%台となっています。
「オンライン面接派」が根強い中堅企業
面接の開始時期を確認してみましょう。全体では、「2026年3月」が15%で最も多く、「2025年11月」(13%)、「2026年1月」(11%)、「2025年6月以前」(10%)が続きます[図表9]。大学3年生の12月、つまり「2025年12月」までに面接を開始する企業の合計は46%(前回の同時期38%)と半数近くに及び、就活ルールで採用広報解禁となる「2026年3月」になる前に面接を開始する割合は64%(同59%)と6割を超え、「2026年3月」には79%(同75%)と8割近くに迫るなど、前年以上に面接開始が前倒しになっていることが分かります。
[図表9]2027年卒採用の面接の開始時期

従業員規模別に見ると、大企業では「2025年6月以前」が21%(同11%)で最も多く、前回の同時期よりも10ポイントも増えています。次いで「2025年11月」と「2026年4月」がともに18%で続きます。その他の月はいずれも1桁台に収まっており、これら三つの月がそれぞれ面接開始の「早期」「中期」「後期」のピークを形成しています。「2025年12月」までに面接を開始する企業の合計は59%(同46%)と6割近くに及び、「2026年2月」までだと76%(同75%)と4分の3を超えています。
中堅企業では18%で「2025年11月」(同6%)と「2026年3月」(同14%)が最多となっており、次いで「2025年7月」11%(同3%)となっています。「2025年12月」までに面接を開始する企業の合計は52%(同47%)と半数を超え、「2026年2月」までだと70%(同75%)と7割に及びます。
一方、中小企業では「2026年3月」が21%(同22%)と突出して多く、「2026年1月」が13%(同5%)で続きます。「2025年12月」までに面接を開始する企業の合計は34%(同29%)と、他の従業員規模より明らかに低くなっています。「2026年2月」までで52%(同43%)とようやく半数を超える見込みです。
面接開始時期はいずれの従業員規模においてもさらなる早期化が見られるものの、大企業と中堅企業では超早期の段階から前倒し傾向があるのに対して、中小企業では中期になってからの前倒し傾向がうかがえるなど、規模による違いが垣間見えます。
面接の実施形式について、全体では、「対面形式を主軸にオンライン形式でも一部実施」が49%(前回43%)で最も多く、「対面形式のみで実施」19%(同28%)と合わせた「対面派」が68%(同71%)と7割近くになっています[図表10]。一方、「オンライン形式のみで実施」は今回もわずか5%(同6%)にとどまります。オンライン形式よりも対面形式が重視される傾向は、今回も変化は見られません。応募者をジャッジする見極めの面だけでなく、採りたい学生に採用側の熱意を伝えて入社意欲の向上を図る面においても、対面形式のほうが優位であるとの評価は不動のようです。面接を準備・実施する際の工数やコストを考えれば、断然オンライン形式のほうに分がありますが、それらを加味したとしても、対面形式で得られるメリットのほうがはるかに大きいということなのでしょう。
[図表10]2027年卒採用の面接の実施形式

規従業員規模別に見ても、すべての規模で「対面派」が、「オンライン形式を主軸に対面形式でも一部実施」と「オンライン形式のみで実施」を合わせた「オンライン派」を上回っています。ただし、大企業と中小企業では「対面派」が7割を優に超えているのに対して、中堅企業だけが52%と5割強にとどまり、「オンライン派」の43%との差はわずかとなっています。面接における「オンライン派」がいまだに根強く残っていることも、中堅企業における内定辞退率の高さの原因の一つかもしれません。
内定出し開始の前倒しが鮮明に
最後に、内定出しの開始時期について見てみましょう。全体では、「2026年3月」(前回の同時期10%)と「2026年4月」(同19%)がともに14%で最も多く、次いで「2025年12月」(同5%)が10%で続きます[図表11]。それ以外の月はすべて1桁台となっていますが、その中でも比較的高いのは、9%で並んだ「2025年6月以前」(同8%)と「2026年1月」(同10%)です。「2025年12月」までに内定出しを開始する割合は39%(同21%)と前回の同時期の2倍近くに及び、対象期間を「2026年3月」までにすると67%(同50%)と約3分の2に達します。前回の同時期と比較して、内定出しの開始時期も明らかに前倒し傾向が見て取れます。
[図表11]2027年卒採用の内定出し開始時期

従業員規模別に見ると、大企業では「2025年6月以前」が24%(同11%)で13ポイントも増え、早くも内定出し開始のピークとなっています。「2026年4月」が18%(同18%)、「2025年12月」(4%)と「2026年3月」(同14%)が12%で続きます。「2025年12月」までに内定出しを開始する割合は50%(同21%)と前回の同時期の2倍以上のペースとなっており、「2026年3月」までには71%(同57%)と7割以上の企業が内定を出し始める見込みです。
中堅企業では、「2025年6月以前」のような超早期から内定出しを開始する企業は見られず、「2025年11月」(同3%)、「2025年12月」(同8%)にともに16%とピークを迎え、その後「2026年2月」と「2026年4月」にともに11%と高くなる見込みです。「2025年12月」までに内定出しを開始する割合は45%(同33%)、「2026年3月」までには73%(同69%)と、大企業を上回る割合の企業が内定出しを開始する予定としています。
一方、中小企業においても、「2025年12月」までに内定出しを開始する割合は29%(同14%)と他の規模よりは低いものの、前回との比較では2倍以上のペースとなっています。「2026年3月」までには61%(同37%)と、大企業や中堅企業に引けを取らない割合の企業において内定出し開始を計画しており、これまでのような大企業や中堅企業の内定出しが落ち着いてから内定出しを本格化する中小企業の割合は、大きく減少していくものと推測されます。中小企業の採用活動スケジュールが大きく変わりそうです。
次回は、HR総研が就活口コミサイト「就活会議」と共同で、2027年卒業予定の同サイト会員学生を対象に2025年12月に実施した「2027年新卒学生の就職活動動向調査」の結果を紹介します。
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寺澤康介 てらざわ こうすけ ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長 1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。 著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。 https://www.hrpro.co.jp/ |
