2026年01月19日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2026年1月

ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介

(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 2025年12月15日、ロート製薬株式会社は、2027年4月入社の大学生・大学院生向け新卒採用において、これまでのエントリーシートによる書類選考を廃止し、全国8拠点での人事担当者との15分間の対話を採用プロセスの第一ステップとする「Entry Meet(エントリーミート)採用」を導入すると発表しました。同社では、従来エントリーシートによる書類選考を新卒採用の初期段階に実施してきたものの、近年の生成AIの普及により、エントリーシートの記載内容の均質化が進み、応募学生一人ひとりの個性を十分に捉えきれないとの課題を感じていたとのこと。生成AIだけでなく、合格者のエントリーシート内容を確認できる就活口コミサイトのサービスの普及も均質化の一因でしょう。
 エントリーシートによる書類選考やAI面接なども採用選考の有効な手段ではあるものの、“通過しやすいエントリーシート” の型が存在しているため、その内容だけでは個性の本質を見極めることは困難です。学生と企業の相互理解が浅いまま選考が進み、結果として入社後のミスマッチにつながっているのではないかとの思いが背景にあるようです。
 同社では、2025年12月15日からエントリーを開始し、採用マイページより2026年1月16日~2月8日に実施される「Entry Meet」枠の予約を受け付けています。エントリーシートによる書類選考に疑問を感じている企業や人事担当者は少なくないと思われますが、書類選考によるふるい落としをやめ、応募者全員との一次面接に踏み切れる企業はどれほどあるでしょうか。昨今の効率を重視する採用の在り方に一石を投じた、同社の試みに賛同する企業が今後どれだけ現れるのか、注目していきたいと思います。

採用計画達成企業は4分の1以下

 今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に実施した「2026年&2027年新卒採用動向調査」(2025年12月。調査期間:2025年11月26日~12月5日)の結果の中から、終盤に差し掛かった2026年卒採用の最新情報をお届けします。ぜひ参考にしてください。

※以下、同調査結果の割合(%)は、小数点以下を四捨五入して整数で表示しています。
そのため、合計が100%にならない場合があります。

 まず、2026年4月入社の採用計画に対する2025年12月初旬時点での内定者充足率を見ると、全体では計画数を達成した「100%以上」を選択した割合は23%と、4分の1を下回る結果になりました[図表1]。これは前年同時期に実施した「2025年&2026年新卒採用動向調査」(以下、前回調査)と全く同じ割合です。「90~100%未満」(24%)と「80~90%未満」(15%)までを加えた「8割以上」の割合は、62%と6割を超えます。その一方で、「5割未満」(「30~50%未満」~「0%」の合計)の企業が18%と2割近くあるなど、内定者充足率において苦戦している企業も少なくありません。
 従業員規模別で見ると、「8割以上」の割合は、1001名以上の大企業では75%となっており、前回調査の85%を10ポイントも下回っています。301~1000名の中堅企業、300名以下の中小企業では、それぞれ58%、57%と大企業を下回るものの、前回調査の50%、52%より増加しています。一方、「5割未満」で見ると、大企業ではわずか6%にとどまるのに対し、中堅企業で18%、中小企業では27%となっています。中でも、中小企業では「0%」が15%に上るなど、従業員規模が小さくなるほど採用活動に苦戦している様子がうかがえるものの、いずれも前回調査よりは改善した割合となっています。

[図表1]2026年4月入社の採用計画に対する内定者充足率

図表1

資料出所:HR総研「2026年&2027年新卒採用動向調査」(2025年12月)([図表2~14]も同じ)

 内定者充足率が「100%以上」以外の企業を対象に、内定者が充足していない主な理由を聞いたところ(複数回答)、最も多かったのは「選考応募者が予定より少なかった」で59%の企業が選択しています[図表2]。次いで、「ターゲット層の選考応募者が予定より少なかった」が47%と半数近くとなっています。「内定辞退が予定より多かった」と「選考辞退が予定より多かった」はそれぞれ34%、19%となっており、応募後の “辞退” の多さよりも、そもそもの “応募” 自体の少なさを理由に挙げる企業のほうが多くなっています。母集団形成の段階で苦戦している様子がうかがえます。

[図表2]2026年卒の採用計画に対して内定者が充足していない主な理由(複数回答)

図表2

 では、“応募の少なさ” や “辞退の多さ” は何に起因しているのでしょうか。その要因を深掘りしてみたところ(複数回答)、「自社の知名度・ブランドが弱かった」が最多の39%、次いで「学生との接触機会(インターンシップ・面談・説明会)が不足していた」が34%で続きました[図表3]。「採用広報が十分に届かなかった(ナビ・SNS等)」(26%)も比較的高い割合となっています。
 興味深いのは、「選考・内定時期が遅すぎた」は18%と2割近くありましたが、「選考・内定時期が早すぎた」は全選択肢の中で唯一0%となっています。しかし、“早すぎる内定” を受諾する学生もいる一方で、いったん受けつつも、後に別の企業から内定が出たことにより、結果的に先に受けていた内定を辞退してしまう学生も少なくないと思われます。企業と学生の相互理解がそれほど深化していない段階での内定出しについて、内定者充足率の未達要因の一つになっていないか、いま一度考えてみてもいいのではないかと思っています。

[図表3]2026年卒の採用計画に対して内定者が充足していない要因(複数回答)

図表3

採用計画の2倍以上の内定を出さざるを得ない中堅企業

 新卒学生の採用活動では、内定(内々定)を出した学生全員が承諾してくれるとは限らず、過去の経験から一定数の辞退者が出ることを見越して、採用計画数よりも多めの内定を出す企業が増えています。その「割り増し度合い」について確認してみたところ、全体では「1.2倍程度」が35%で最多となり(前回調査26%)、前回調査で最多だった「1.0倍(採用計画数と同じ)」(31%、前回41%)を上回りました[図表4]。「1.5倍程度」は22%で前回調査(23%)と同様に2割程度となっています。
 従業員規模別で見ると、大企業では「1.2倍程度」が42%と4割を超えて最も多く、次いで「1.5倍程度」(24%)が続き、「1.0倍(採用計画数と同じ)」(21%)を上回っています。中堅企業でも最多は「1.2倍程度」の38%で、次いで「1.0倍(採用計画数と同じ)」と「1.5倍程度」がともに20%で並んでいます。一方、中小企業では採用人数自体が少ない企業も多いことから、「1.0倍(採用計画数と同じ)」が48%と半数近くになっており、次いで「1.2倍程度」(27%)、「1.5倍程度」(23%)となっています。
 採用計画数に対して「2倍以上」(「2.0倍程度」と「2.5倍以上」の合計)の内定出しを行っている企業の割合を見ると、中小企業がわずか2%で最も低く、大企業で12%となっているのに対し、中堅企業では23%と4分の1近くにも上っています。もちろん、最初から採用計画の「2倍以上」の内定を出すことは、内定承諾の歩留まりが高かった際のリスクを考えると慎重にならざるを得ません。実際には、何段階かに分けて内定出しを行い、辞退状況を確認しつつ、不足が見込まれる場合には追加の内定出しを行っていった結果、内定出しの総数が当初計画の「2倍以上」に達したと推測されます。この回答や推測が学生の内定辞退率の高さの証左でもあり、新卒採用活動において中堅企業が置かれている厳しい状況がうかがえます。

[図表4]2026卒採用における採用計画数に対する内定出しの割合

図表4

 ここ数年、毎年のように「内定辞退が増えた」といわれますが、実際の内定辞退率はどうだったのでしょうか。まず、全体で見ると、内定辞退率が「0%」、つまり内定辞退が1人も出なかった企業は15%で、前回調査の26%から大きく減少しています[図表5]。「10%未満」が20%、「10~30%未満」が21%となっており、これらを合計した「内定辞退率3割未満」は56%で、前回調査の61%から5ポイント減少しています。
 従業員規模別に見ると、内定辞退率は内定者数の影響が大きいため、「0%」の割合は内定者数の少ない中小企業が最も高く、29%と3割近くになっています。ただ、この割合は、前々回調査56%、前回調査44%と、年々大きく減少傾向にあります。中小企業は採用人数が少ない分、各内定者にきめ細やかな対応ができていると思われがちですが、仮にそうだとしても、必ずしも内定承諾から入社まで円滑に進むわけではなくなってきている様子がうかがえます。
 また、中堅企業に着目すると、「50~70%未満」15%、「70~90%未満」13%となるなど、「50%以上」(「50~70%未満」~「100%」の合計)は31%と約3割に達し、大企業の6%、中小企業の15%とは大きな開きがあります。[図表4]の内定出しの割り増しでも見られたように、こちらも中堅企業の厳しさを表す結果となっています。

[図表5]2026年卒採用における内定辞退率

図表5

 「これまでとは変わったなと思う内定辞退の理由」をフリーコメントで回答してもらいましたので、その一部を紹介します。「初任勤務地が未確定」「実家通勤」「オヤカク」「給与」などのキーワードが挙がっています。

内定時点で勤務地が未確定(卒業後の即時転居の有無が分からない)という理由での辞退(1001名以上、メーカー)

初任地確約が当たり前になっている(1001名以上、メーカー)

自宅から通勤可能圏内での勤務希望者が増加した(1001名以上、サービス)

ここ数年で「実家から通える会社」「実家から近い会社」が内定受諾要因として重視されているという話をよく聞くようになった(300名以下、情報・通信)

オヤカクによる内定辞退(301~1000名、メーカー)

親起因での辞退が多くなった。親に相談した結果、辞退しますと伝えてくるケースが多々ある(301~1000名、メーカー)

給与面で「最低でも提示額の2倍をもらわないと足りない」との回答が複数件あった(301~1000名、メーカー)

給与・待遇を理由とする辞退率が増えた(301~1000名、運輸)

10月1日の内定式に代わるイベントの招待を行ったところ、返答にて内定辞退の申し出があった。承諾期限を3度延長し、その間丁寧に説明等を実施したにもかかわらず、このようなタイミングで辞退されたのは初めて(300名以下、メーカー)

内定受諾後の辞退が25卒よりも圧倒的に増えた。何のための内定受諾なのか? 大学のキャリアセンターも学生の権利としてあおっている風潮がある(301~1000名、情報・通信)

学生ごとに多様な理由での辞退が多くなってきた。地元の中堅企業を選ぶ学生がいたり、大企業を選ぶ学生がいたり、業務内容で隠れた優良企業を選ぶ学生がいたりと、場所、仕事内容、待遇など、企業を選ぶ軸が画一的でなくなってきた(301~1000名、メーカー)

ターゲット層獲得にも苦戦する中堅企業

 新卒の採用活動では、過去の採用実績や今後の事業展開を基にして、大学層や専攻、資格・保有スキル、志向・性格タイプなどでターゲット層を設定することが通例です。当初設定したターゲット層が現在の内定者の中で占める割合を確認したところ、全体では、「100%」と「90~100%未満」がともに20%で最も多く、次いで「80~90%未満」「70~80%未満」「50~70%未満」がそれぞれ17%、18%、16%で拮抗(きっこう)する結果となりました[図表6]。内定者に占めるターゲット層の割合が「8割以上」(「100%」~「80~90%未満」の合計)の企業が57%と6割近くになっています。
 従業員規模別では、「100%」の割合は大企業12%に対して、中堅企業20%、中小企業27%と、意外にも規模が小さい企業ほど高い割合となっています。ただ、大企業は内定者数自体が多いことを踏まえ、「8割以上」で比較してみると、大企業が69%と約7割に上るのに対して、中堅企業53%、中小企業52%と5割超にとどまります。ここでは大企業のほうが他の企業規模よりも高い割合となっており、採用力の違いが垣間見えます。
 一方、「70%未満」(「50~70%未満」~「0~30%未満」の合計)の割合で比較してみると、大企業の15%が最も低く、次いで中小企業24%、中堅企業では33%と3社に1社の割合となっています。中堅企業は、内定辞退率で苦戦を強いられているだけでなく、内定者に占めるターゲット層の割合においても苦しい状況となっていることが分かります。もはやターゲット層であるかどうかを厳格な判定基準に据えて内定を出す余裕はなく、とにかく採用計画で設定した数の内定者を集めることに苦心している様子がうかがえます。

[図表6]内定者に占める当初設定したターゲット層の割合

図表6

 では、ターゲット層を募集・採用するために実施している施策の効果について、定量的に把握できているかを確認したところ、全体では、「一部の施策ごとに定量的に把握している」が27%で最も多く、次いで「施策ごとでなく全体的に定量的に把握している」(23%)となっており、「全ての施策ごとに定量的に把握している」は17%にとどまります[図表7]。「定量的には把握していない」(「定性的(感覚的)に把握している」と「取り組み効果は把握していない」の合計)は33%と3社に1社の割合となっています。
 従業員規模別では、大企業と中堅企業では「一部の施策ごとに定量的に把握している」がそれぞれ42%、30%で最も多く、次いで「全ての施策ごとに定量的に把握している」が多くなっています(大企業では「全ての施策ごとに定量的に把握している」と「施策ごとでなく全体的に定量的に把握している」がともに18%。中堅企業では25%)。一方、中小企業では「一部の施策ごとに定量的に把握している」は15%にとどまり、最多は「施策ごとでなく全体的に定量的に把握している」と「定性的(感覚的)に把握している」で、ともに29%となっています。また、「定量的には把握していない」の割合では、大企業の21%に対して、中小企業は48%と半数近くを占めます。中小企業では、何らかの施策を実施しても、その効果について定量的には把握していない企業が圧倒的に多くなっています。

[図表7]ターゲット層募集・採用の施策ごとの取り組み効果の定量的把握状況

図表7

大企業の採用活動終了時期は「2025年6月」が最多

 2025年12月初旬現在で、2026年卒の採用活動を継続している企業の割合はどうなっているのでしょうか。採用活動の継続状況を確認したところ、全体では「継続している」49%、「終了した」51%と、ほぼ半々になりました[図表8]。従業員規模別で見ても、「継続している」の割合は大企業52%、中堅企業50%、中小企業46%と、大きな差異は見られません。[図表1]の内定者充足率「9割以上」(「100%以上」と「90~100%未満」の合計)の割合が66%と最も高かった大企業が、採用活動の継続率においても僅差とはいえ最も高くなっていることには驚きます。中堅企業と中小企業では、内定者充足率「9割以上」が4割程度(中堅企業43%、中小企業38%)にもかかわらず、採用活動の継続率は5割または5割を下回っていることなります。2026年卒採用を諦め、キャリア採用に(かじ)を切ったのか、次の2027年卒採用に軸足を移したのか気になるところですが、採用計画達成が必達目標とは捉えられていない企業が少なくなさそうです。

[図表8]2026年卒の採用活動継続状況

図表8

 次に、2026年卒の採用活動を「終了した」企業を対象に、終了時期を確認した結果が[図表9]です。全体で最も多かったのは「2025年9月」で、26%と4分の1以上を占めます。次いで「2025年6月」(15%)、「2025年10月」(13%)が続きます。採用活動の早期化が叫ばれているものの、「2025年4月まで」(「2024年12月以前」~「2025年3~4月」の合計)に終了した企業は11%にとどまります。採用活動を終了した企業が半数程度であることを考えると、決して多くはありません。採用活動の “早期化” だけでなく、同時に “長期化” が進行していることを表しているといえるでしょう。
 従業員規模別に見ると、大企業では「2025年6月」が44%と顕著に高くなっており、「2025年4月まで」に終了した企業が19%と2割近くになっています。中堅企業では「2025年9月」が40%で最多となっており、「2025年4月まで」に終了した企業は大企業よりも4ポイント少ない15%となっています。一方、中小企業では顕著に高い月は存在せず、最も高い「2025年9月」と「2025年10月」でも19%にとどまるとともに、「2025年4月まで」に終了した割合はわずか4%となるなど、他の規模とは異なる傾向を見せています。2026年卒採用でも、従来同様に大企業が採用・選考活動を先行し、中堅・中小企業が追いかける構図は変わっていないようです。

[図表9]2026年卒の採用活動終了時期

図表9

内定者フォロー施策として増えた「資格取得支援」

 10月の内定式を終え、内定承諾があったからといっても、入社式を迎えるまでは安心できません。では、企業はどんな内定者フォローを考え、実施しているのでしょうか。既に実施した、あるいはこれから実施予定の内定者フォローの内容(複数回答)について確認しました。最も多かったのは「対面での内定者懇親会」(65%)、次いで「定期的な連絡」(43%)、「対面での若手社員との懇親会」(42%)などが実施されるようです[図表10]。これら施策については、前回調査でもほぼ同程度の実施率で、順位も全く同じでした。定番といってもよいでしょう。
 また、「eラーニング・通信教育」(26%)、「入社前集合研修」(19%)など、成長意欲の高い近年の学生に向けて早期に研修を実施する企業も2割程度あり、こちらも前回調査とほとんど変わりません。そんな中、「資格取得支援」の実施率は11%と上記の研修系施策と比較すると半分程度の割合ですが、前回調査では4%でしたのでその増え方には目覚ましいものがあります。
 併せて、遠方の学生や、実習や研究活動などで比較的多忙な理系学生に配慮してなのでしょうが、「オンラインでの内定者懇親会」(36%、前回調査32%)や「オンラインでの若手社員との懇親会」(26%、同20%)など、オンラインを活用する内定フォロー施策の割合はいずれも前回調査よりも増加しています。対面型は頻度が高いと学生の負担も大きくなると予想され、オンライン型をうまく組み合わせて実施している企業が少なくないといえそうです。

[図表10]2026年卒採用で実施する内定者フォロー(複数回答)

図表10

 2026年卒採用で苦労したこと(複数回答)を前回調査と比較したところ、「ターゲット層の応募者を集める」が最多の50%(前回調査55%)、次いで「応募者の数を集める」43%(同52%)で、前回調査と同様にこの2項目が以下を大きく引き離しているものの、いずれも割合は前回調査から低下しています[図表11]。そのほか、「内定者フォロー(内定辞退抑制)」(18%、同26%)、「応募者フォロー(選考辞退抑制)」(17%、同20%)といった辞退抑制を挙げる企業が今回も比較的多くなっています。
 前回調査と異なるのは、3位の「面接官のスキル向上」(19%)です。前回調査の7%から12ポイントも増加し、12位から大きく順位を上げています。冒頭で触れたロート製薬の例にもあるように、学生から提出されたエントリーシートでの判別がより難しくなっている中、面接官には学生を見極める眼力と、ミスマッチが生まれないように、入社動機を向上させることができるコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力がこれまで以上に求められるようになってきています。そのような背景もあり、面接官個々人のスキルアップが不可欠ということなのでしょう。
 [図表10]の内定者フォローの項目では、オンライン活用施策が前回よりも増えていましたが、新卒採用で苦労したことでも、「オンライン説明会の開催」(12%、前回調査8%)、「オンライン面接の実施」(11%、同6%)と、オンライン関連の事柄を挙げる企業が増えています。“対面回帰” といわれる中でも、オンラインをどのように活用できるか、いかに学生との接点を増やせるかに腐心している様子がうかがえます。

[図表11]2026年卒採用で苦労したこと(複数回答)

図表11

初任給引き上げの波は大企業から中堅企業へ

 前掲の内定辞退理由のフリーコメントにもあったように、「初任勤務地」「配属先」は学生の大きな関心事となっています。入社後の初期配属は「配属ガチャ」と称されている中、自分が希望しない配属は「ハズレ」と捉えられ、内定辞退や早期退職の原因にもなっています。近年は、本人に配属先を伝えるタイミングを早める企業が増える傾向にありますが、2026年卒採用ではどうだったのでしょうか。配属先を伝える時期について確認したところ、全体では、「選考途上」が23%(前回調査29%)で最も多く、「年内」(「選考途上」~「内定式(または10月1日)後、年内」の合計)は40%でした[図表12]。「年内」に「年明けから入社式までの間」を加えた「入社前」は56%と、6割近くになります。
 従業員規模別で見ると、前回調査で「選考途上」が30%となっていた大企業は18%に減少し、代わりに「年明けから入社式までの間」と「新入社員研修終了時」がどちらも21%で最多となりました。「年内」は39%で全体とほぼ同じ割合となっている一方、「入社前」は60%に上り、こちらは全体より高い割合となっています。
 中堅企業では、「選考途上」と「新入社員研修終了時」がどちらも20%で最多となり、「入社前」が51%と約半数となっています。一方、中小企業では、「選考途上」が29%と3割程度で最多となっており、「年内」が45%と、他の規模よりも高い割合となっています。配属先を当人に伝え、納得してもらった状態で選考をしている企業が多いようです。内定辞退率「0%」は、中小企業が29%で最も高い割合となっていましたが、この配属先を伝える時期も影響しているのかもしれません。

[図表12]2026年卒採用の配属先を伝える時期

図表12

 新卒採用社員のオンボーディングについての課題の有無を確認したところ、全体では「課題を感じている」(「ある程度感じている」と「強く感じている」の合計)が42%で、「課題を感じていない」(「まったく感じていない」と「あまり感じていない」の合計)の19%の2倍以上となっています[図表13]
 従業員規模別で見ると、大企業では「課題を感じている」36%に対して「課題を感じていない」は27%と、その差は10ポイントもない一方、中堅企業では「課題を感じている」46%に対して「課題を感じていない」は21%と25ポイント差、中小企業に至っては「課題を感じている」44%に対して「課題を感じていない」は15%と、29ポイントもの差があります。中堅・中小企業では、採用時に苦戦しているだけでなく、入社後の早期離職にも課題を抱えている企業が多いことがうかがえます。

[図表13]新卒採用社員のオンボーディングについての課題

図表13

 最後に、ここ数年、企業の新卒初任給の引き上げ合戦が展開されていますが、2026年4月入社者(大学学部卒)の初任給の引き上げについてはどう考えているのかを聞いてみました。本調査の回答期限が2025年12月初旬ということもあり、全体では「未定」が29%と3割近くありましたが、それを除くと「据え置き」が22%で最多となりました[図表14]。引き上げ幅としては、「5千円以上~1万円未満」(17%)が最も多く、次いで「2千円以上、5千円未満」(14%)となっています。中には、「5万円以上」も1%ながらありました。
 従業員規模別で見ると、意外にも「未定」の割合は大企業が最も高く39%と4割程度、中堅企業と中小企業はともに25%となっています。「据え置き」とする割合は、大企業と中小企業ではそれぞれ24%、25%と4分の1程度で最も多くなっていますが、中堅企業だけは18%と2割を下回り、代わりに「5千円以上~1万円未満」が23%で最多となっています。「5千円以上」(「5千円以上~1万円未満」~「5万円以上」の合計)で比較すると、大企業は18%で最も少なく、中堅企業44%、中小企業25%と、中堅企業が最も高くなっています。ここ数年の初任給引き上げは大企業を中心に動いていましたが、その動きが一段落して、中堅企業の初任給引き上げ合戦が本格化してきている感があります。
 また、大企業における「据え置き」の多さから見ると、毎年コンスタントに数千円ずつ引き上げていた昭和時代のような考え方ではなく、ある程度引き上げたらそれ以降の数年間はしばらく据え置くという企業が少なくないのかもしれません。その代わり、引き上げるときは数千円単位ではなく、数万円単位で一気に引き上げるという考え方です。

[図表14]2026年4月入社者(大学学部卒)の初任給の引き上げ幅

図表14

 ところで、最近の企業の動きを見ていると、「転勤の有無」により基本給に差をつける考え方が見直されてきているようです。その背景には、「転勤あり」コースで採用され、「転勤なし」コースよりも高い基本給が設定されていたとしても、結果的に転勤がなかった場合には「転勤なし」コースの社員と同じ待遇であるべきなのに、当初の設定どおりの高い基本給を受給していたのは不平等ではないかという考え方があります。それを避ける方法として増えてきているのが、実際に転勤した人にのみ割り増し基本給を付与しようという考え方です。確かに、理にかなった考え方だと思います。

 次回は、「2026年&2027年新卒採用動向調査」の中から、2027年卒採用に関する調査結果を紹介します。

寺澤康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
https://www.hrpro.co.jp/