健康社会学者
四六判/192ページ/1600円+税/日本経済新聞出版

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 40~60代の方で、「老害」と言われたことが一度でもある人はいるだろうか。職場に中高年が多く、年長者の希少性が著しく低下している現代において、老いることは「害」と見なされるようになり、かつての中高年の威厳は色あせている。そんな時代を生きる中高年に対して、著者は “心の奥底にある「本来的な自己(=ありのままの自分)」を生かさないともったいない” と主張し、自らの手で「自分だけの物語」を創造するために本書を役立ててほしいと語り掛ける。
■ 第1章の40代男性社員と年下である30代上司とのやりとり、第2章の “パーカーおじさん” に代表される「新世代型中高年」の群像などは、本書における老害世代(40~60代)は言うに及ばず、それより若い世代にとっても、思わず「確かに」「なるほど」とうなずけるものばかりだ。これら二つの章は、令和における “老害の実情” を日常目線でリアルに描写しつつ、精緻な分析も加えている。
■ 第3~5章は「本来的な自己」の発揮を妨げる要因について掘り下げながら、その解決策を提示する。「自分の限界は、誰が決めているか」「幸せになれない人に共通する特徴」などのトピックを、さまざまな研究や学説、事例を用いて解説しており、良好なメンタルヘルスの維持の観点で多くの知見を得られるだろう。人事担当者としては、40~60代が生き生きと働いていくための指南書として活用するとともに、ミドル・シニア世代へのリスキリング施策などにも役立てたい。
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「老害」と呼ばれたくない私たち 大人が尊重されない時代のミドル社員の新しい働き方 内容紹介 現代は40歳以上の大人が人口の過半数を占める「超中年社会」。にもかかわらず、決して職場で肩身が広いわけではない令和の中高年。 【目次】 |
