ウェルビーイング経営コンサルタント、公認心理師
四六判/224ページ/1600円+税/ぱる出版

BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 働き方改革によって時間外労働の上限規制が設けられ、日本人の総労働時間は減少した。しかし、いまだ休むことに抵抗を感じる管理職やチームリーダーは少なくないようだ。本書では、そうした人々に対して仕事の質を上げるために計画的に休む「戦略的休暇」を提唱する。疲労を回復させて生産性を上げることは、少子高齢化や人口減少による労働力不足への対応策として重要な要素の一つであり、部下やチームメンバーをマネジメントする立場としても欠かせない視点だろう。
■ 第1章は、私たち(日本人労働者)がなぜ休めないのか、その心理的・社会的背景を解説する。第2章では、認知行動療法の観点から休むことに対する意識を変え、実際に休めるようにするためのアプローチを伝授。第3章では、管理職やリーダーとして、メンバーが安心して休めるような具体策を提示する。第4章では、戦略的休暇の第一歩として、疲労回復方法やリフレッシュ方法を紹介し、今の自分に合った休み方を推奨する。第5章では、より充実した人生とするため、未来のビジョンから逆算して休暇の過ごし方を考える重要性を説く。本書では随所に、カウンセラーとして活動する著者が普段用いる手法をワークとして盛り込んでおり、より実践的な内容となっている。
■ 著者自身の実体験や、カウンセリングから得た知見を基に構成された本書は、単なる休み方のノウハウだけではなく、生産性向上やワークエンゲージメントの向上、心身の充実を実現するためのメソッドが詰め込まれている。燃え尽き度や休暇への罪悪感度などのチェックシートもあり、自身の状態を客観視することもできる。人材確保とその育成が求められる人事担当者にとっても、従業員が働きやすい環境を考える上で有益な内容となっているだろう。
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内容紹介 業務効率化だけでは根本的な疲弊は解消されません。 背景には、「休むと迷惑をかける」「リーダーは休めない」といった固定観念や罪悪感があり、それが休暇取得の障壁となっています。その結果、部下も休みにくく、組織全体が疲弊する悪循環に。 本書では、休むことが成果につながるという考え方を、実例とともに紹介。さらに、医療現場でも用いられる「認知行動療法」を応用したワークで、「休めない思い込み」を見直す手助けをします。 個人が取り組めるワークシートも収録し、休暇を促進する組織づくりの具体策まで網羅。働き方改革やウェルビーイング経営を推進する企業にも役立つ一冊です。 |
