2025年11月28日掲載

BOOK REVIEW - 『社員が逮捕されたときに読む本100問100答』

小鍛冶広道、小山博章、宇野由隆、柏戸夏子、金澤 康 著
第一芙蓉法律事務所 弁護士 
A5判/262ページ/3500円+税/労働開発研究会 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ タイトルを見た瞬間、誰もが一抹の不安を感じるかもしれない。「万一自社の社員が逮捕された場合に、慌てることなく対応できるか」を自問し、自信を持って「できる」と言い切れるビジネスパーソンは多くないだろう。まして、人事担当者は会社の窓口として逮捕された社員への毅然(きぜん)とした対応を求められる。本書は、そのような不測の事態が発生した直後から、当該社員の処分に至るまでの各フェーズにおける対応策について、企業側の立場で多くの労働事件に対応してきた弁護士と、元刑事裁判官であり現在は企業法務を専門とする弁護士が解説する。

■ 本書は2~4ページから成る100のQ&A形式で、全6章構成。第1章「はじめに(社員が逮捕されたら…)」では、「社員の逮捕の発覚の経緯」や「被疑者と容疑者、被告人と被告の違い」など、“逮捕” という事案に係る基礎知識を扱う。人事担当者としては、第2章「逮捕されたときの初動対応」が、本書の中で最も優先的に読むべき箇所となろう。警察、マスコミ、顧客・取引先への対応、社内への説明、被害者への対応など、企業の人事として求められる実務について、各法令の条文の解釈と判例を引用しながら詳説している。

■ 第3~5章で扱うトピック(「勾留されたときの実務対応」「起訴されたときの対応策」「裁判・判決後の流れ」)は、企業によっては上位の役職者が関知するものかもしれないが、その補佐を担うためにも、人事担当者として備えておきたい知識ばかりである。第6章「懲戒処分をする際の留意点」は、社内手続きに係る事柄も多く扱っており、第2章同様、人事必見の内容となっている。実際の相談事例を基に書かれた本書は、実務に直結する有用な“憂う前の備え” となるだろう。

社員が逮捕されたときに読む本100問100答

内容紹介
平時にこそ知っておくべき! 万が一の基礎知識

「もし、自社の社員が逮捕されたら」

社員が逮捕されるという事態に直面したとき、企業には迅速かつ適切な対応が求められます。業種や業態を問わず、どの企業にも起こり得る可能性があるからこそ、何も起きていない今のうちに備えておくことが重要です。事前に必要な知識を身につけておくことで、万が一の際にも落ち着いて対応でき、人事トラブルの回避やレピュテーションリスクの低減につながります。

本書は、企業側の立場で多くの労働事件に対応してきた弁護士と、元刑事裁判官であり現在は企業法務を専門とする弁護士による、実務に役立つ必携の一冊です。